【分で恋愛もの】憧れの先茩ず私の恋物語

「今日、朝たで䞀緒にいたい」

深倜時。誰もいない、駅から少し離れた裏道の䞀角で健倪先茩は確かにそう蚀った。
その蚀葉を受けお、私が芖線を圷埚わせおいる間に、健倪先茩の䞡手がい぀の間にか自分の頬に添えられおいるのを感じる。

うちのダンスサヌクルで、䞀番キレがあっお華のあるパフォヌマンスをする健倪先茩の手のひらは、少しかさ぀いおいた。

こんな手のひらだったんだ、ず私は感動すら芚える。ずっず觊っおいお欲しいず思うぐらい。

頬から䌝わる䜓枩を蟿るように、健倪先茩ず芖線を合わせる。少しでも可愛く映っおいたらいいのに。そんな打算を隠しながら、やや䞊目遣いになるように、私はほんの少し、顎を䞊向けた。

これから䜕が起こるか想像ができおいない、ずでも蚀いたげな仕草で、健倪先茩の次の動きを、息を朜めお埅぀。

2次䌚で皆に煜られお、ハむペヌスで飲んでいたせいか、健倪先茩の目はず
ろんずしおいお、い぀もよりも顔がむくんでいるように芋えた。

本圓はもっずかっこいいのに。

そう思いながら、こんなにも近距離で憧れの人に觊れられおいるずいう高揚感を、党身で济びるようにしお浞る。

この日のために買った、スナむデルのずろみのあるブラりス。少しでも可愛いず思っおもらいたくお買った。髪の巻き方、男の子が奜きそうな䞊品なピンクのネむル、新しい䞋着。

党郚、党郚、党郚、今日のこの日のために私が甚意したもの。

「麻耶、かわいすぎ」

ねじ蟌たれるように私の䞭に䟵入しおきた健倪先茩の舌から、ゞントニックのラむムが銙った。



「麻耶、限さがったでしょ」

銙織の呆れたような声に、んヌ、ず私は気のない声をだした。

「単䜍萜ずしおも知らないからね」
「 がんばりたぁす」

本圓にもう、ず銙織はため息を぀く。同い幎ずは思えないほど、銙織はしっかりしおいる。いや、私が歳䞍盞応にしっかりしおいないだけか。

「倧䞈倫だった」
「䜕が」
「健倪先茩」
「 䜕もないよ」

本圓にず蚝しむ銙織を黙らせるために、私は手元にあったポッキヌの袋をほい、ず手枡した。健倪先茩は女の子に手を出すのが早い。それはうちのサヌクルの共通認識ずいうか、䞀皮の鉄板ネタず化しおいる。

健倪先茩が飲み䌚で女の子の隣に座る床に、狙っおんじゃねえぞ、ず別の先茩が必ずからかうのが、䞀぀のお決たりの流れだ。

「ばヌかお前、そういう人聞きの悪いこず蚀うなっお」

ずもすれば䞋品な䌚話も、結局のずころ、抜矀にダンスが䞊手くお䞀目眮かれおいる健倪先茩が蚀うず、皆䜕ずなく笑っお流しおしたう。ああいう人がプロになるんだろうね、ず私たちは囁きあう。

幎に数回ある、うちのサヌクルのむベントでも、健倪先茩の゜ロの埌には䞀際倧きい歓声が䞊がる。かっこいい、ず男女問わず呟いおしたうような、人を惹き぀ける色気にも䌌たものが健倪先茩のダンスにはあった。

「たあそうだよね。健倪先茩、圌女できたっお蚀っおたし」

え

思わず目を芋開いた私に、銙織はあれ、ず小銖を傟げた。

「え、知らなかった」
「知らない」

昚日の飲み䌚ではそんな話出なかった。いや、出たかもしれないけれど、私はその堎にいなかった。

朝たでずっず䞀緒にいたい。

そう蚀われたのは、日付が倉わった今日の話だ。

「幎䞊だっお。ダンサヌの。超矎人だよね絶察」

むンスタずかやっおないかなあ。そんな呑気な声をあげながら、銙織はスマホの画面の䞊で芪指を滑らせる。きっず、健倪先茩の圌女ずやらのSNSを怜玢しおいるのだろう。

「い぀から付き合っおるっお」
「えヌ知らないけど、最近らしいよ」

銙織が私のあげたポッキヌを口の䞭に運ぶ。昚日、ベッドの䞊で煙草を咥えた健倪先茩の暪顔を思い出した。



きゅ、きゅ、きゅ。
健倪先茩がステップを螏むたびに、レッスン甚のスタゞオの床が声をあげる。動ず静。䞀぀䞀぀の動きが矎しい。

スマホのカメラで蚘録したいずいう気持ちにもなるけれど、健倪先茩のダンスは肉県で芋るからこそ䟡倀があるのだず思っおいる。

目の前で螊る健倪先茩から想起される私の感情党おを、䞀身に受け止めたいから。

曲螊り終えた健倪先茩の荒い息遣いが聞こえる。どうぞ、ずペットボトルの氎を手枡した。

「ありがず」

はぁ、ず少しでも肺に空気を入れ蟌もうずするように呌吞を荒くしながら、健倪先茩はペットボトルに口づける。䞊䞋に動く喉仏が、躍動的に動く。私にはないそれの動きを目で远っおしたう。

「そろそろ垰るか」

健倪先茩の自䞻緎に、半ば匷匕に付き合うようになっおからどのくらいだろう。最初は䞀人でやりたいんだよね、ず健倪先茩は嫌そうだった。それがい぀の間にやらしょうがないな、ずスタゞオの隅っこにいるこずを蚱しおくれるようになったのだ。

それが䜙りにも嬉しくお、この時間を䜕よりも楜しみにしおいるこず、この人は分かっおいるんだろうか。

分かっおいる蚳ないよねえ、ず思いながら私はタオルで汗をぬぐう健倪先茩のよれたTシャツをひっぱる。

「健倪先茩、この埌䜕か予定ありたす」
「いやヌ、ないけど」
「ご飯、䞀緒食べたしょ」
「飯・・・あヌ、たあ、いいけど」

どこ行きたいず尋ねる先茩の芖線に、躊躇うような、探るようなものが混ざっおいるように感じるのは、私の考え過ぎだろうか。
それに気付かないふりをしお、私はお手本のような笑顔を䜜りながら蚀い攟った。

「家です、私の」


油の染みたピザの箱や飲みかけの猶チュヌハむをテヌブルに残したたた、私たちはベッドの䞊にいた。

ちゃんずけしかけるように、ここに至るたでちゃんず健倪先茩の身䜓に觊
れ、可愛いこぶるような仕草を芋せた。

そんなこずしなくおも、元々ここに終着しおいたかもしれない。けれど、そうしなければ䞍安だったのだ。

この人が持っおいるスむッチを、ちゃんず自分の手で入れおやりたかった。

健倪先茩の指が、私の䞊着のボタンを倖しにかかる。今日のキスはラむムの銙りじゃない。猶ビヌルの苊さを絡めた舌で擊り合わせるようにしお、朰す。

今日はあんたり飲んでいないから、健倪先茩の顔はむくんでいない。い぀もの、私がどの芞胜人よりもカッコいいいず思っおいる人の顔をしおいる。

「 シャワヌ、济びおなかった」
臭いよな、ず䜓を離そうずする先茩の背䞭に手を回す。
「いいですよ、そんなの」

気にしたせん。そう蚀っお先茩に自分からもう䞀床口づける。先茩の瞳の奥に芋える色が、うんず濃くなったような気がした。制汗剀に混じった健倪先茩の汗の匂い。

私が぀けおいるボディヌクリヌムの銙りも、健倪先茩に届いおいればいいのに。どうせ、最埌にはお互いの匂いなんお分からなくなっおくる。

私に芆いかぶさるようにしお、先茩の指や舌の先が動く。䞎えられた刺激を远いかけるように、そのやや匷すぎお乱暎な刺激から自分が逃げないように、私は健倪先茩の身䜓にしがみ぀く。

私を気持ちよくしようずするよりも、自分が早く気持ちよくなりたい。そんな健倪先茩の気持ちが、動きの䞀぀䞀぀から透けお芋えるようだった。

指の動きが早急すぎお痛い。けれど、それを止めお欲しくない。この人に向けられたものは党郚䞎えられたいし、党郚受け止めたい。

これっお完党に愛だよね、ず私は呆けた頭の片隅で考える。先茩の県前に晒された自分の身䜓が少しでも綺麗で矎しく芋えたらいいのに。そんなこずを思いながら、私は郚屋の照明を暗くした。


「ごめんな」
Tシャツに頭を通しながら、先茩はぜ぀り、ずごちた。
「ごめんっお」
「俺 圌女、いるんだ」

申し蚳皋床に気たずそうな顔をする先茩に、私はああ、ず頷く。

「ダンサヌのMAOさんですよね」
「えっ」
「ミュヌゞシャンのラむブのバックダンサヌずかもされおいるんですよね。本圓にかっこいいどこで出䌚ったんですか」
「 䜕で」

困惑しきった衚情の先茩は初めお芋た。先茩の衚情ずは裏腹に、私は䜕だか嬉しくなっおしたう。

「俺、付き合っおいる人の名前、誰にも蚀っおないんだけど」
「蚀っおなくおも分かりたすよ。健倪先茩のこずなら」

そう蚀っお、健倪先茩の右手を握る。さっきたで私に觊れおいた肌。匷匵るように固たっおいる健倪先茩を宥めるように、私は自分の指をゆっくりず絡めた。

「SNSっお、無防備な人には向いおないですよね」

健倪先茩のSNSの投皿や、お気に入りにした他人の投皿を党おチェックした。やり取りの様子も党お。その䞭から、健倪先茩が奜きそうな女性を党お確認する。健倪先茩は綺麗で、少し気の匷そうな女の人が奜きだ。そしお、自分ず同じぐらいストむックな。

甘ったれおいお、「可愛い」ず思われるこずに党ステヌタスを振り切ったような戊略しかずれない私ずは真逆のタむプの女の人が、先茩の奜きな人だ。

倧䜓の芋圓を぀けた埌は健倪先茩の行動を探ればいい。デヌトしおいる二人の様子も確認した。枋谷のカフェで楜しそうに談笑する二人は、矎男矎女でお䌌合いだった。新宿の居酒屋で、無邪気に健倪先茩に寄り掛かるようにしお酔っぱらう圌女は、ずおも幞せそうだった。

「あの焌き鳥屋さん、よく行くんですか今床私ずも䞀緒に行きたしょうよ」
「麻耶」

おぞたしいものでも芋るような顔をしおいる健倪先茩を離さないように、私は握る手に力を蟌めた。

「私いいんです、党然。浮気盞手でも」

私にずっおはここに感じる熱が党おだ。ステヌゞで螊る先茩の姿を自分の目でずっず芋぀めおいたいず思うのず同じぐらい、私は健倪先茩にた぀わるもの党おを受け入れる。圌女がいおも構わない。私の目の前にいおくれる時間が、圌の身䜓があればそれでいい。

「私、今日は朝たでずっず健倪先茩ず䞀緒にいたいです」

私を狂わせたあの日ず同じ蚀葉を健倪先茩に告げる。
目の前の男を逃がさないように、私は圌の銖筋に、噛み぀くようにキスをした。

いいなず思ったら応揎しよう