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物語の欠片 金糞雀色の午篇 20

    -レン-

     カメリアず話をした倜、随分荒れるだろうず予想しおいたむベリスは静かで、レンは寧ろ心配になった。飲むなら぀きあうよずいうレンの蚀葉も断り、早々にひずりで郚屋ぞ戻っおしたった。
     翌日にはマカニぞ戻るこずになっおいたのだが、レンずカリンも仕方なく早めに䌑むこずにした。
     挚拶がおら、朝食をヒ゜ップの店で摂るこずになっおいた。

     「本圓にもう垰っおしたうの残念。」
     接客を䞭断しお同じ垭に぀くこずがすっかり習慣になったネメシアが、倧奜物だずいう也燥マンゎヌを頬匵りながら蚀い、マカニぞの土産にず別に包んだものを枡しおくれる。
     朝起きおきたむベリスはい぀もず倉わらない雰囲気で、レンも昚日の話を蒞し返したりはしなかった。むベリスだっおひずりで考えたい日もあるだろう。
     ネメシアを誘拐した人間が無眪攟免になったこずを埌から知ったら気を悪くするだろうずいうこずで、むベリスはパキラの采配ず昚日のカメリアずの䌚談に぀いお語っおいた。勿論他に聞こえないように小声だが、その語り口はい぀ものむベリスならではのお戯けた様子で、ネメシアが時折笑いを挟んだ。二人の䌚話は子気味良い調子で進む。
     「ほんず腹立぀んだよ。あのカメリアずいう女。」
     「ふうん。族長の家にも色々ずあるのねぇ。でも私にずっおはその䞭に貎方が混ざっおいるこずの方が䞍思議でならないわ。」
     「悪かったな。どうせ俺は他の皆に比べお単玔だ。」
     「そうパキラ様ず察等に話をする貎方、い぀もよりちょっずだけ栌奜良かったわよ。」
     「な い぀もよりっおどういうこずだよ。」
     「だっお、倖に居る時の貎方は悪い人じゃないけど、い぀も䜕だか歯がゆいのよ。本圓の自分を絶察芋せない感じずいうのかしら。でも、あの時は真っ盎ぐにパキラ様に向き合っおいたもの。ふふふ。たあ、実力が䌎わないんだけれど。」
     「耒めおるのか貶けなしおるのか刀らないぞ。」
     「䞡方。」
     「はいはい。ご意芋、有難く頂戎したす。」
     「そうよ。民の貎重な意芋なんだから。」
     「民ずかいう蚀い方するなよ。そんなんだから俺は䞀線匕くんだろう」
     「そうじゃなかったら店ず客でしょう客からの意芋ならずもかく、店から客に意芋するっお倉じゃない。それずも䜕友達にでもなる」
     「ず もだち」
     「あ、今照れたでしょう。貎方、友達䜜る気あるのあ、レンずカリンは友人っお蚀っおたわよね。私はもうレンずカリンずは友達の気分なんだけど、貎方はどうなのよ。友達っお䞀方通行じゃなれないのよ。貎方にはちっずも受け入れられおいる気がしないわ。」
     ネメシアはじっずむベリスの顔を芋詰めたが、むベリスは僅かに芖線を逞らす。
     「 懲りおないのかよ。」
     「䜕の話怖い目に遭ったこず」
     「そうだよ。俺の友人にでもなっおみろ、こい぀らは 特にカリンは俺よりも厄介ごずに巻き蟌たれやすいから、たあ特殊なんだけどな。それにレンもカリンもそれなりに匷い。でもお前は腕っぷしは期埅できないだろうこの間みたいなこずがたた起こらないずは限らない。」
     「そうしたらたた助けおくれるでしょう」
     「この間は俺が助けたんじゃない。元から父䞊の䜜戊だったんだ。でも、これからも毎回䞊手くいくか分からない。俺自身だっおかろうじお呜が助かったこずだっおあるんだ。嫌だろうそんな生掻。」
     「うヌん。勿論平和に越した事は無いけれど でも、そんなに頻繁に危険な目に遭う蚳じゃないだろうし、平気かな。」
     「お前本気で蚀っおるのか」
     「私はい぀でも本気よ。だから貎方も本気で考えなさいよ。私に倱瀌だわ。」
     「  。」
     黙っおしたったむベリスをよそに、ネメシアはカリンにこれたでの冒険譚をねだった。カリンが困った衚情をするので可笑しくなっお、レンはカリンが危ない目に遭った話を簡単に幟぀かしおやる。この皮の話題には事欠かなかった。
     それらはネメシアの想像以䞊だったようで、倧げさに衚情を倉えながら話に聞き入る。
     「カリン、貎女凄いのねぇ。レンは戊士だから仕方がないずしお、貎女薬垫でしょう驚いたわ。さすがにそんな颚にはなれないけれど、䜕だかそういう友達が居るっお心匷い。」
     「そんな颚に蚀っおもらえるず嬉しい。い぀も、倉わり者扱いばかりされおいたから。」
     「倉わり者は倉わり者かも知れないけれど、でも私は奜きよ。」
     「有難う。私もネメシアのこず奜きよ。レンずは少し違うのだけれど、真っ盎ぐ揺るがない䜕かを感じる。」
     「ふふ。有難う。父さんに䌌お頑固者なの。」
     誰が頑固者だっおず声がしお呚囲を芋枡すず、すっかり他の客は居なくなっおいた。ヒ゜ップずフクシアが最埌の皿を片付け、乱れたテヌブルを盎しお回っおいる。
     「父さんよ。この店にただお客が来なかった時から、店の圚り方を絶察に倉えなかったんだから。料理の品質は担保するくせに、過床な宣䌝はしたくないっお蚀っお呌び蟌みもしないし。このポハクで黙っお売れるなんおこずは無いのよ。本圓に、むベリスが居なかったら朰れおたわ。」
     「なあむベリス、ネメシアはこの忌憚の無さだ。真っ盎ぐなこずはいいこずではあるんだが、将来絶察に䜕かに巻き蟌たれるず思っおいた。」
     「䜕よ。じゃあ、考えを曲げろずいうの」
     「そうは蚀っおない。早合点するのはお前の悪いずころだ。い぀も蚀っおいるだろう自分が正しいず思うこずも、䌝え方を考えろっお。それから、意芋するなら自分の考えに責任を持おず。」
     「持っおるわ。だから、意芋しおその結果危険な目に遭うならば仕方ないず芚悟はしおる。 その、ちょっず今回のは怖かったけれど。 でも、改めおこんなこずもあるんだっお分かった。分かった䞊で、できるだけ気を付けはするけれど、やっぱり自分を曲げられないず思う。」
     「 だそうだ。遅かれ早かれ、䌌たようなこずは起こっおいたず思う。今回は助けおもらえお埡の字だ。」
     ヒ゜ップはそう蚀っおむベリスの肩を叩いた。
     そのたたその堎を去ろうずするヒ゜ップに向かっおむベリスが声を掛ける。
     「芪父さん、有難う。 おいネメシア。」
     「䜕よ。」
     「そんなに俺の友達になりたいならなっおやる。」
     「䜕よその蚀い方。友達が欲しかったのは貎方の方じゃないの」
     「俺はレンずカリンが居れば十分なんだよ。仲間に入りたがったのはお前だろう」
     「な 。」
     䞀瞬蚀葉に詰たったネメシアは、少し考えた埌、くすりず笑った。
     「 確かにそれもあるかもね。」
     「お」
     むベリスは肩透かしを食らったように半端な衚情をする。
     「貎方のこず芋おおずっず歯がゆいっお思っおいたけれど、今日みたいに自分から友達になろうっお蚀わなかったわよね、私。」
     「そう だな。」
     「貎方にマカニ族の友達が居るっお聞いお、䌚いたいっお思った。どんな人たちなら貎方の友達になれるのか、興味があったのかもしれない。」
     「こい぀らは、ポハクの倖に居るからたた違うんだけどさ 。でもたあ、こい぀らだから友人になれたんだ。」
     「うん。実際に䌚っおみお、䜕ずなく解った。」
     「そうか。」
     「レンずカリンのこずが倧奜きになったから、぀いでに貎方の友達にもなっおあげる。」
     「お前 」
     「䜕よ、お互い様でしょう芚悟しなさいよ。これからは䜕かあったらうちの客なだけじゃなくお私の友達だっお蚀うからね」
     「お おう。お前こそたた危ない目に遭っお泣くなよ いや泣いおもいいが ハラハラさせるなよ 。」
     「むベリス。僕はいただにしょっちゅうカリンが危ない目に遭っおひやひやしおるよ。それは難しいず思う。」
     「レン、お前ずいう奎は 。」
     「倧切な人ができるのは苊しい。」
     カリンが歌うように蚀い、ネメシアが銖を傟げる。
     「マカニの族長様の蚀葉なの。倧切な人ができるのは苊しい。でも、それを含んだ䞊で、それでもやっぱりしあわせなこずなんだっお。」
     「玠敵ね。い぀かマカニにも行っおみたいなあ。」
     ネメシアはふわりず笑った。
     むベリスも、少し照れながらもいい衚情で笑っおいた。
     石壁ずガラス窓に切り取られおこの店に入っおくるポハクの光は凶暎ではなく、適床に暖かかった。
     これからは、ポハクに来た際にはこの店に寄るこずが習慣になりそうだ。

     その埌、暇乞いをしようず向かったパキラの通の応接宀で、レンたちはパキラの意倖な蚀葉を聞いた。
     「俺もこれからマカニぞ向かう。むベリス、䟛をしろ。」
     「はあ 父䞊、぀い先日父䞊が町を空けるず悪さをする奎が、っお 。」
     「今なら心配ない。」
     パキラがにやりず笑っお語ったずころによるず、パキラが釈攟した賊たちに玄束させたこずはひず぀ではなかった。
     暫く口を噀むこずがひず぀。そしおもうひず぀は、パキラずカメリアの䌚談が終わった暁には、今床は盛倧に噂を広げるこず。
     広げるべき噂ずは、ヒ゜ップの店に手を出しお痛い目に遭ったこずず、パキラの倖遊䞭を狙っお悪事を働こうずしお芋事に嵌められたこずだった。
     「昚日カメリアが垰った埌で噂の解犁を通達しおおいたから、そろそろ噂は広がり始めおいる筈だ。今俺が出掛けたずころで悪事を働こうずしおいる奎は様子を芋るだろう。暫くは効果があるのではないだろうか。」
     「それはたた 抜け目がない 。」
     「䜿える機䌚は最倧限に䜿うのさ。これであの店に手を出そうずする者も枛るだろう。それよりさっさず準備をしお来い。さすがの゚ンゞュも俺がこんなにすぐにやっお来るずは思っおいたい。」
     「私どもはご䞀緒した方がよろしいですか」
     むベリスが支床をしに出お行ったのを芋届けおレンは尋ねる。
     「いや、本圓ならば゚ンゞュの驚いた顔が芋たいのだが、いずれにせよマカニの芋匵りには気が぀かれるだろう。俺たちが到着する前に゚ンゞュに連絡が行くのは同じだ。それなら先に戻っお話を通しおおいおいただいた方が有難い。」
     「護衛は十分でしょうか。」
     「身軜で出掛けた方が悪人どもは眠かず勘ぐるだろう。」
     「承知臎したした。では我々は先に戻りたす。ポハクぞお戻りの際にはマカニ族の戊士を護衛に぀けたす。」
     「申し蚳ないが有り難い。実は、偶にはポハクの護衛の無いずころで矜を䌞ばしたいのだ。」
     嘘か真か、パキラは悪戯っぜい衚情でそう蚀うず倧きくひず぀䌞びをした。 

     ポハクを出お暫くはむベリスずパキラず平行に飛んだ。䞊空から呚囲に远手らしき圱が無いこずを確認しお二人に挚拶し、レンは再び高床を䞊げる。
     随分長くマカニを離れおいるような気がした。


    ***
    『金糞雀色の午篇 1』ぞ
    『金糞雀色の午篇 21』ぞ

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