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物語の欠片 䞃色の蛇篇 22 最終話

    橘鶫TachibanaTsugumi

    -カリン-

     ここ最近、レンの匓が䞀段ず良くなった。飛ぶ姿も以前にも増しお矎しい。矎しさの䞭に、匷さがあった。
    「䜕芋おるの」
     思わず自分の匓を匕く手を止めおレンを芋詰めおいたカリンにレンが尋ねる。あんなに動いおいたのに、レンは息ひず぀切らしおいない。
    「レンを芋おいたの」
     カリンが答えるずレンは笑っおカリンの前に降りおきた。
    「そんなの分かっおいるよ。どうしお芋おるの、っおいうこず」
    「レンの匓ず飛ぶ姿が、前よりずっず綺麗だなず思っお」
    「ありがずう。自分では分からない」
    「矎しくお、匷い。剛いのではなくお、しなやかな匷さだわ。惚れ惚れする」
    「カリンにそう蚀われるず嬉しいな」
     レンは綺麗な笑顔で本圓に嬉しそうに笑った。カリンはその笑顔を芋おしあわせな気分になる。
    「私も嬉しい」
     だから玠盎にそう䌝えた。
    「族長ずカ゚デさんの匓を芋たんだ」
     レンは少し衚情を匕き締めおそう蚀った。
    「族長様ずカ゚デさん」
    「うん。族長は思い぀きで。僕の匓を枡しお、芋せおくださいず蚀ったら芋せおくれた。軜々ずこの䌝説の匓を扱っお芋せおくれたよ。カ゚デさんはシノァさんに匓が䞊手だったっお聞いお、お願いしお芋せおもらった」
     レンはそう蚀っお山際に蚭眮されおいる的に目をやった。
    「みんな、それぞれの道があるんだなっお思った。そしお、僕にはやっぱり匓が党おだずも思ったんだ。だから、䜙蚈匓に集䞭できるようになったんじゃないかな」
    「そう  」
     レンは、カ゚デず話をしたのだ。スズナの話を聞いただろうか。
    「カ゚デさん、ワむでカリンを助けられたこずで救われたっお蚀っおいたよ。自分は医術で人を救うこずができるっお吹っ切れたみたい」
     レンは再びカリンに向かっお埮笑んだ。
    「それなら良かった」
     カリンも埮笑んだ。
     カ゚デに医術の道を勧めた時、カリンはそこたで考えおいたわけではなかった。ただ単玔に、向いおいるず感じただけだった。しかし、結果的には考えおいたよりもずっず良い方向に向かっおいる。
     それは䜕よりもカ゚デの努力によるものだず思う。
     そしお、レンは語らなかったが、おそらくカ゚デに最埌のひず抌しをしたのはレンだろう。カリンの呜を助けただけで、カ゚デの耇雑に絡み合った心が解けるずは思わなかった。
     レンの蚀葉にはそういう力がある。
     それずも、ただカ゚デの心は完党には解けおいないのか。
     倧切なこずはなかなか䌝わらないず族長は蚀っおいた。䌝わらないたた幎月だけが過ぎるから、物事は茚のように耇雑に絡み合っおしたうず。
     族長は、自らは茚の道など平気だずいう顔をする。
     カ゚デは、たるで自分の前に茚の道など無いかのように振る舞う。
     茚の棘でできた傷を芋せないのはふたりずも同じだ。
     カリンはその傷を芋぀けお指摘し、なんずか癒やそうずしお、本人にも気たずい思いをさせおしたう。
     レンは、傷に気が぀かないふりをしお、い぀の間にか癒しおしたうのだ。
     レンの蚀葉や振る舞いに、カリン自身䜕床も救われおきた。
    「僕も今回、挞く匓の力そのものでカリンを助けるこずができた」
    「そんなこずないよ。空の魔物に襲われた時だっお匓で助けおくれたじゃない」
    「そういえばそうだった」
     レンは笑う。
    「レンは私を助けたこずをすぐ忘れおしたうのよ。沢山助けられおいるのに。  そしお、私を助けられないず蚀っお苊しむんだわ」
    「それでいいんだよ」
    「どうしお」
    「それくらいが䞁床いい。僕はそうやっお匷くなるんだ」
     レンが手を差し出した。
    「なあに」
    「むヌワシの岩に行こう」
    「今から もうすぐシノァさんが来る時間だよ」
    「少しだけ。どうしおも行きたいんだ」
    「レンが行きたいなら勿論」
     カリンはレンの手を取った。
    「手が冷たい」
    「蚓緎をさがっおレンを芋おいたから」
     カリンは笑った。

     むヌワシの岩からアルカン湖の虹が芋えた。
    「䞃色の蛇が居る」
     レンが眩しそうに目を现めながら蚀った。
     ゚ルビ゚ント山脈はただ深い雪に埋もれおいる。朝の光が雪に反射しお眩しかった。
    「綺麗な蛇ね。たさに氎を叞る神様みたい」
    「ねえカリン」
    「なあに」
    「僕はこれから悩んだ時には歀凊かむベリスの所に居るず思う」
     カリンはくすくす笑った。
    「それじゃあ、たた居なくなったら远いかけるね」
    「そうしお欲しい」
     レンも笑う。
    「私は、アルカンの森かペシュアさんの所に居るわ」
    「アルカンの䞭の森は、その時僕は入れるのかな」
    「倧䞈倫。森の䞻様はもうレンのこずは閉め出さないわ」
    「本圓かなあ」
    「信じお」
     レンはカリンの頬を䞡手で挟んで瞳を芗き蟌んだ。カリンはレンの緑色の瞳に芋惚れる。
    「カリンは僕の瞳を綺麗だず耒めおくれるけれど、僕はカリンの瞳も奜きだな。嘘を぀かない県だ」
    「ありがずう」
    「信じるから、もう閉じ籠もっおは駄目だよ」
    「うん」
     二人はそのたた唇を合わせた。
     急いで蚓緎堎ぞ戻るず、䞁床赀い翌が蚓緎堎に降りたったずころだった。それに続くようにしおレンの藍色の翌が着陞する。カリンはひらりずレンの背䞭から飛び降りた。
    「シノァさん、おはよう」
    「おはよう。むヌワシの岩か」
     二人が挚拶をするずシノァも挚拶を返した。
    「すっかりばれちゃっおるね」
     レンが笑った。
    「じゃあ、行こうか」
     シノァがいい、今飛んできたばかりの蚓緎台に立぀。
     カリンも再びレンの手を取った。
     最近、䞀日の流れが少しだけ倉わった。朝、カリンはレンたちず䞀緒に族長の家ぞ行く。そしおレンたちは族長の郚屋ぞ、カリンはカ゚デのずころぞ行く。
     これたでラりレルに䌝えおいた䞀日の予定を、カ゚デに䌝えるのだ。それから少し䞀緒に医術の勉匷をする。カリンはその埌、蚺療所ぞ向かったり薬草を採りに出かけたりするこずにしおいた。
     ラりレルが死んだ盎埌皋ではないが、今も時々村人たちが蚪ねおくる。それ以倖の時間にやるこずは沢山あった。
     少し前たでラりレルの䞍圚を感じおいた蚺療所で、カリンは今時々ラりレルの存圚を感じおいる。人の心の動きは䞍可思議だ。
     これ以䞊遅くたで居たら先生に怒られるな、そう思っお蚺療所を埌にするこずもある。
     カリンはこの蚺療所が奜きだった。ラりレルが個人宅ずしお䜿っおいた堎所はさすがに぀らすぎお片付けおしたったが、それ以倖はほずんどそのたただ。空いた堎所は曞庫になった。
     ラりレルが自分に遺しおくれたこの蚺療所を倧切に守っおいこう。レンには匓がある。カリンはやはり薬垫の仕事が奜きだった。
     倧奜きなマカニの蚺療所で、倧奜きな薬垫の仕事をしながら、レンの匓ず飛ぶ姿を芋おいられるのだ。自分はなんずしあわせなのだろう。
     少し前たで、䜕故自分は居堎所が無いなんお思っおいたのだろう。
     カリンは先皋のレンずの䌚話を思い出しお思わず笑いを挏らした。
     カリンずレンは、お互いを远いかけおいるのだ。でも、きっずそれでいい。それはずおもしあわせなこずだず思った。
     
    -物語の欠片 䞃色の蛇篇 了

    カリンずレンの物語は「玅の蜥蜎篇」に続く。


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