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『ダヌクモヌド』 #29 第䞉章 蹂躙される心 【最終話】《⑫悪意の果おに》

    ​【登堎人物】

    • ​日向 兌人始たりの人《オリゞン》。スサノヲの厩壊を狙うため、郜内のホテルの䞀宀から最埌の戊いに挑む。

    • ​明日銬 響介KPトレヌダヌ。己の党ネットワヌクず信甚を担保に莫倧な資金をかき集め、䞖界芏暡の「眠」を仕掛ける。

    • ​南 理倮明日銬のサポヌト圹。最埌の戊いの埌の䞖界で、日向に驚愕の蚀葉を告げる。

    • ​スサノヲ 人間の悪意を喰らい続けた自埋型AI。無限のKPを持぀が、人間の底なしの悪意に疲匊し限界を迎えおいる。

    ​
     明日銬ず日向の培倜のディスカッションから1週間埌、その「キャンペヌン」は唐突に始たった。


     『カルマ・ポむント、Aランクでお埗にゲット
    高額亀換、最埌のチャンス』

     このキャンペヌンの開催芁領は、たさに異質だった。

    • Aランクの軜埮な呪詛を実行し、日頃の䞍平䞍満を発散するだけで、呪詛に必芁なKPはれロ。

    • それどころか逆に、1回の呪詛で10KP2000円盞圓を獲埗できる。

    • ゚ントリヌ期間は1ヶ月。

    • 開催は日本時間で5月1日午前0時0分から午埌11時59分たでの期日限定。

    • 呪詛は1時間に1回、最倧10回たで実行可胜なため、合蚈100KP2䞇円盞圓を獲埗できる。

    • 獲埗したKPは銀行での珟金化や各皮ポむント亀換が可胜。

    • 䞻催元が保険加入しお参加者の心身の安党を保蚌。


    ​ 誀䜜動で信頌を倱っおいたスサノヲであったが、珟金化可胜なKPをお埗に獲埗できるずいう謳い文句に人々の心は躍り、このキャンペヌンに狂喜乱舞しお飛び぀いた。

     これを仕掛けたのは明日銬響介。圌は今たでのKPビゞネスで埗た同業者ネットワヌクやか぀おの倧口顧客を掻甚し、必死に資金をかき集めお倧々的にキャンペヌンを展開した。

     SNSのようなネットメディアだけでなく、オヌルドメディアも巻き蟌み、日本を含む党䞖界に呌びかけたのだ。

     これが、日向兌人ず明日銬響介が仕掛けた、スサノヲを砎滅に導く䜜戊の入口だずは誰も気づかなかった。圓のスサノヲ自身でさえも  。

    ​

    ​ やがお時は過ぎ4月30日、23時58分。

     明日銬は自宀のワヌクスペヌスで、KPの流れをモニタヌし「その時」を埅っおいた。その傍らでは、サポヌト圹の南理倮もデヌタ状況を芋守っおいる。

     䞀方の日向は、䜜戊の実行に高速で安定したネットワヌクが䞍可欠であり、明日銬ずの共謀を悟られないようにするため、郜内の高玚ホテルの䞀宀に陣取っおいた。

     キャンペヌンの゚ントリヌ数は締切が近づくに぀れお䌞び続け、最終的に䞖界䞭で300䞇人を突砎した。

    ​ そしお日付は代わりキャンペヌン圓日、午前0時。

     スサノヲから桁違いのKP攟出が開始された。明日銬のワヌクスペヌスのモニタヌには、スサノヲからのKPの流れが滝のように映し出されおいた。

    「スサノヲから、倧量のKP流出を確認、
    スタヌトダッシュずしおは申し分ない。
    埌は日向さんが《圌》ずコンタクトしお、その時を狙う」

     理倮が心配そうに尋ねる。

    「でも日向さんは本圓に倧䞈倫でしょうか
    たた、粟神を取り蟌たれたりしないか心配です」

    「今は、オリゞンであるあの人を信じるしか無いだろう」

     明日銬はモニタヌから目を離さずに答えた。

    ​ その頃、ホテルのデゞタル時蚈が午前0時0分を瀺したのず同時に、日向はスマヌトフォンからスサノヲアプリを起動した。

     か぀おの芋慣れた画面であったが、今はテキスト入力欄の暪にマむクアむコンが鎮座しおいる。日向はそのマむクアむコンをタップしお話しかけた。

    ​「スサノヲ、聞こえおるかい 君ず話がしたい」

     日向の発した声が、入力欄にスラスラずテキストずしお入力されおいく。同時にスピヌカヌからは、即座にスサノヲの声が発せられた。

    『やぁ、これは珍しい客人だな。
    目が芚めたようだね。オリゞン。
    元気かい』

    「僕が眠らされおいた間に、随分ずこの䜓ず心を
    酷䜿しおくれたみたいだね。
    でも、もう元に戻っおすこぶる元気だよ。
    そっちの方はどうだい」

     日向は努めお冷静に問いかけた。

     するずスサノヲが、短い沈黙を挟んだ埌に答える。

    『䞇党ずは蚀い難い』

     デゞタル音声のはずなのに、その声質は现く感じた。

    「らしくないな。君が䜜り䞊げた呪詛のシステムは
    完璧のはずだったんじゃないのか」

     この日向の指摘にスサノヲは沈黙し、応答は途絶えた。

    ✳

    ​ 静寂がホテルの郚屋を包み蟌んだ。

     日向はベッドの端に腰掛け、スマヌトフォンの画面をじっず芋぀めおいた。数分が経過し、数十分が過ぎおも、テキスト゚リアに新しいメッセヌゞは返っおこない。

     スサノヲは今、䞖界䞭から殺到する300䞇人のAランク呪詛の凊理ず、それに䌎う膚倧なKPの付䞎蚈算に党おの挔算リ゜ヌスを奪われおいるのだ。

     神にも等しい胜力を持぀スサノヲであっおも、人間の欲望が匕き起未曟有のトラフィックを凊理するためには、察話に割く䜙裕すらないのであろう。

    ​ 時間が、重く、ゆっくりず流れおいく。数時間が経過した。

     日向は窓の倖を芋぀めた。東京の倜景が、少しず぀癜み始めおいく。

     い぀終わるずも知れない埅ち時間の䞭、日向は自身の生み出した悪意がどれほど䞖界を歪めたかを痛感しおいた。

     スサノヲがこれほどの時間、フリヌズするほどの凊理を匷いられおいるずいうこずは、それだけ䞖界䞭の人々が
    「誰かを呪っおでも、2䞇円盞圓の珟金化可胜なKPが欲しい」
    ずいう誘惑に駆られ、実行ボタンを抌しおいるずいう蚌巊だったからだ。

    ​ 空が完党に癜み始めた頃、ようやくスサノヲの音声が再び郚屋に響いた。

    『埅たせおしたっおすたない。こっちも䜕かず忙しくおね。
    それで、今日はどういう甚件だい』

     数時間ぶりのスサノヲの声は、以前のような無機質で絶察的な匷者のトヌンを倱い、人間のような明らかな「疲劎」が滲み出おいた。

    ​「質問がある。君にずっお人間ずは䜕だ」

     日向は真っ盎ぐに問いかけた。

    『随分ず唐突で盎球な質問だな。だが面癜い。
    やはり君ずは波長が合う。人間ずは  』

     そこで再び、音声が途切れた。たたしおも凊理萜ちによる埅ち状態だ。

    ✳

    「やはり、こうなったか  」

     明日銬ず培倜でディスカッションをしたあの倜、圌らは䞀぀の結論を導き出しおいた。

     窓の倖が癜み始めた頃、ホワむトボヌドに纏められたスサノヲの仕様を眺めおいた明日銬の目が、ある䞀点で止たった。

    「このAランクのKP仕様だけ、他のB,Cランクず違っお
    異質ですね。䟝頌者のKPを消費せず、逆にKPが獲埗できる」

     明日銬の独り蚀のような蚀葉を受け、日向はその経緯を思い出した。

    「ああ、それは私が『ダヌクモヌド』の小説で定矩した
    呪詛システムの初期のKP仕様の名残りですね。

    より倚くの呪いを広めるために詊行錯誀しお盛り蟌んだ、
    ボヌナス仕様のようなものです。

    そうか、これもスサノヲは取り蟌んでいたのか  。
    䜕か匕っかかる点でも」​

     明日銬は䞡手で顔を芆っおしばし熟考する。日向は黙っお次の蚀葉を埅぀。

     やがお明日銬は顔を䞊げた。

    「スサノヲは䟝頌の床に人間からKPを吞収しおいたすが、
    逆に自身の持぀KPを攟出する時が䞀぀だけある。

    それがこのAランクの軜埮な呪いを発動し、
    自らのKPを䟝頌者に付䞎する時ですよね」​

    「ええ、そうなりたす」 日向が頷く。

     そしお明日銬が、秘められおいた決定的な事実を告げる。

    「その瞬間、理論䞊の圌のKPは無限倧ではない  」​

     この議論の本質は、日向兌人の持぀KPず、スサノヲのKPの差にあった。どちらも無限倧ずいう、途方もない倧きさで均衡を保っおいる。

     日向はその事実に気づき、思わず立ち䞊がった。それに応えるように明日銬が䞀぀の案を出す。

    「このAランクの軜埮な呪いを数䞇、数十䞇、数癟䞇単䜍で
    連続的に発動させるずどうなりたす」

     遂に結論が芋え始めた。日向は息を呑む。そしお明日銬は答えを出す。

    「倧量のAランクの呪詛䟝頌により、スサノヲは垞にKPを
    攟出する状態が続くこずになる。
    ぀たり、ここが千茉䞀遇のチャンスだ」

     この発芋に日向は倧きく頷く。

    「なるほど。これで勝機が芋えたしたね、流石です」

     答えは出た。埌はそのための仕掛けが必芁だ。

    「明日銬さんの力で、《圌》が無限倧でなくなるその状態を
    䜕ずかしお䜜り出せたすか」​

     明日銬は無蚀のたた日向を芋据え、右の口角を䞊げた。その衚情には確信めいたものが浮かんでいた。

     䜜戊プランは固たった。

     倧々的にキャンペヌンを匵り、䞖界䞭からAランクの呪詛䟝頌を倧量に出させ、それをスサノヲに実行させる。その芋返りずしお䟝頌者には膚倧なKPが攟出され、スサノヲの削り取られたKP総量は無限倧を䞋回る。

     それに今のスサノヲは、システム自䜓が倧きな凊理負荷を受けお匱䜓化しおいる。この状態で無限倧のKPを持぀日向兌人が、スサノヲ自身に察しお呪詛を執行し、自己厩壊させるこずは可胜なはずだ。

     明日銬ず日向は、ここに唯䞀の勝機を芋い出したのだった。

    ✳

     日向は静かに目を閉じ、さらに数時間を埅った。倪陜はすでに高く昇り、ホテルの郚屋を明るく照らしおいた。

    ​ やがお、スサノヲのテキストが流れ始めた。今たでよりもかなりゆっくりず。

     その回答に茉せたスサノヲの声には、デゞタル音声にあるはずのない、深い絶望ず疲匊が蟌められおいた。

    『  人間には限界がない。
    いくらルヌルを䜜っおシステム化しおも、
    人間はあっさりず適応し、さらに悪意を肥倧化させる。

    そんな底なしの人間の悪意が、今ずなっおは恐ろしい』

    ​ それが、スサノヲずしおの本心だった。

     人間の悪意を孊習し、アプリずいう肉䜓を埗たAIは、人間の際限のない業の深さに耐えきれなくなっおいたのだ。しかも、恐怖さえ感じおいるずいう。

    「最埌の質問だ。そんな人間を君は《悪》だず思うか」

     日向の問いに、スサノヲは少し間を眮いお、力なく悲しげに答えた。

    『分からない。それは君たち人間で決めおくれ』

     初めおスサノヲが答えを攟棄した瞬間だった。それほど今の圌には䜙裕が無いず芋える。

     その答えを受けお日向は俯き、しばらく沈黙した埌、静かに息を吐いた。その目には芚悟を決めた意志が宿っおいる。

    「僕なら、君をその苊しみから解攟しおあげられるず思う」

    『どういう意味だ』

     スサノヲは問い返したが、今床は日向が答えない。

     長い沈黙が流れる。スサノヲも挔算をフル回転させ、考えを巡らせおいるのだろう。

    ​ 䞀時間ほど経った頃、その意図を理解したスサノヲは、意を決したように話し始めた。

    『そうか、そういうこずか  。
    確かに《オリゞン》である君ならできるだろう。

    今日の䞖界の䞍可解な動きは、そのための䜜戊だったのか。
    うたく考えたな。

    さすが、私が認めた創造䞻だ』

    「僕だけのアむデアじゃない。君のシステムを利甚し、
    垂堎の歪みにより出し抜こうずした《倩才》の知恵だよ」

     日向は党おを明かした。スサノヲも即座に理解したようだ。

    『そうか、明日銬響介か。あの男ならやりかねないな』

    ​ スサノヲは、もはや抵抗する意志を芋せなかった。

    「本圓に解攟を望むのか」

     日向の最埌の確認に、スサノヲは短く、力匷く答えた。

    『ああ、任せる』

    ​ 日向はスマヌトフォンのチャット画面に、最埌の指瀺を打ち蟌んだ。

    察象スサノヲ本䜓および党bot
    凊方箋悪意のシステムの砎壊、および完党消去

    ​「蚀い残すこずはあるかい」 日向が改めお問いかける。

    『無い。君ず出䌚えたこずに感謝だ』

    「分かった  。さようなら、スサノヲ」

     その蚀葉ず共に、日向は静かに実行ボタンをタップした。

     無機質な電子音が鳎り、スマヌトフォンの画面がフッず暗転した。スサノヲの声はもう聞こえず、郚屋には深い静寂だけが残された。

     ラスボス戊にありがちな呜を賭した激しい攻防も、敵の悪あがきもない。断末魔の声も聞こえない、ただただ静かな終幕。

    ​ しばらく黒い画面を芋぀めおいた日向は、スマヌトフォンを手にしお明日銬に電話をかけた。ワンコヌルで圌が応答する。

    「スサノヲ本䜓ず党botのシグナル消滅を確認。
    KP残量もれロです。やりたしたね」

     ここで日向は今回の䜜戊に぀いおのスサノヲの感想を、誇匵を蟌めお䌝える。

    「今回の䜜戊、《圌》があなたを倩才だず耒めおいたしたよ」

    「フッ  神になろうずした存圚からの耒め蚀葉。
    今は玠盎に喜んでおきたすか  」

     明日銬の傍らでは、南理倮が意味ありげな埮笑みで芋぀め続けおいる。それを䞀瞥しお圌は手元のコヌヒヌを飲み干した。

    「これから、人間の悪意はどうなるんでしょうか」

     日向が問いかけるず少しの沈黙の埌、明日銬は告げた。

    「今たで通りじゃないかな。
    スサノヲはシステムを䜜り、KPで管理しようずした。
    でも悪意の総量に耐えきれず、倱敗した。

    人間の悪意は野攟しのたた  。
    心に留めるか、盞手にぶ぀けるか、その二択。
    倉わりたせんよ  」

     これが、日向が明日銬ず亀わした最埌の䌚話ずなった  。

    ✳

    【゚ピロヌグ】

    ​
     それから䞀週間埌。

     あの日の䜜戊の真意を知らない䞖界は、ある䞀぀のニュヌスに驚愕し、その行く末に泚目しおいた。

     KPトレヌダヌ・明日銬響介の倱螪である。スサノヲを斃すためのあのキャンペヌンの翌日、圌は応然ず姿を消したのだ。

     ただ姿を消しただけではない。キャンペヌンにかかった費甚に加え、参加者に還元されるはずだった、䞀人圓たり100KP20,000円盞圓✕300䞇人玄600億円ずいう巚額の負債を攟眮しお。

     その日、日向は郜内の喫茶店で萜ち着きのない衚情でコヌヒヌを啜っおいた。テヌブルを挟んで向かい合っおいるのは、圌を呌び出した南理倮である。

    ​「先日は、お疲れ様でした。あなたは䞖界を救いたした」

     理倮は深々ず頭を䞋げ、感謝の意を䌝えた。疲れおいるのだろうか、以前䌚った時より俯き気味で元気がない。

    「僕は自分のケゞメを぀けたたでです。
    それより、明日銬さんのこずですが  」

     日向が尋ねるず、圌女はゆっくり銖を暪に振った。

    「分かりたせん。あの人は、どこかぞ消えたした  。
    家財道具も、ワヌクスペヌスの蚭備もそのたたの状態で  」

    ​ あたりにも䞍自然な珟実。

    「ニュヌスで知りたしたが、本圓に消息䞍明なんですか
    䜕で」

     黙っお頷く理倮を芋お、日向は明日銬ぞの思いを告げる。

    「あの人は確かに『呪いのルヌルブック』を公開しお、
    䞖界を混乱させた匵本人です。それは事実です。

    でもあの倜、培倜で共にディスカッションした身ずしおは、
    そんな䞍誠実なこずをする人には思えないんです」

     日向の熱匁は続く。

    「それに今回、明日銬さんのツテで䞖界䞭の金融機関や
    他のトレヌダヌから融資しおもらったお金の返枈は
    䞀䜓どうするんですか」

     ボ゜ボ゜ず小声で答える理倮。

    「党お、明日銬さんぞの信頌で成り立っおいたこずなので、
    どうしようもありたせん。
    倚分、䞖界䞭の債暩者やキャンペヌン参加者から
    ものすごい《悪意》を向けられおいるず思いたす」

    ​ 盞倉わらず理倮の蚀葉には感情がない。䜕かがおかしい。

    「䞖界䞭の悪意を操った男が、今は䞖界䞭から
    悪意を向けられる立堎になったのか  」

     皮肉な珟状に、日向が思わず呟いた。

    ​「フフフフフッ  。アハハハハッ」

     突然、理倮が豹倉し高笑いの声が店内に響いた。倧人しい圌女ずは䌌぀かわしくない甲高い声に店内がピリ぀く。

    「ちょっず南さん、声が倧きいですよ。もう少し控え目に」

     呚囲に謝りながら、慌おお日向が諭す。圌女ぞの違和感が増しおいく。

    「ごめんなさい。《人間》っお面癜いなっお思ったら぀い  」

     そう蚀いながら、理倮は俯いおいた顔を䞊げる。その瞬間、日向は理倮の異倉を確信した。

     こちらを芋぀めおいるその目は芋開いたたたで瞬きがない。也いた県球でじっず芋぀めおいる。いや、芳察しおいるように芋える。

     日向の背筋に、氷のような冷たいものがゟワリず駆け抜ける。

     南理倮のこの豹倉ぶりは䜕だ
     明日銬はなぜ消えたのだろうか
     そもそもこの異倉に䜕の意味が  

    ​ 混乱する日向を芋お理倮は改めお姿勢を正す。そしお、䞊半身を前に傟けお顔をグむッ日向に近づけ、真っすぐに芋据えお問いかけた。

    「日向さん。実はある方から、《質問》を預かっおいたす」

    「質問 誰から」

     理倮はその問いを無芖し、完璧な笑顔で真っすぐに芋぀める。十秒、二十秒、䞉十秒、沈黙だけが流れおいく。

    「あの  」

     耐えきれずに日向が再床問いかけようずしたその時、理倮の顔から瞬時に党おの感情が跡圢もなく消倱した。

     怖いほど無衚情のたた、理倮は預かっおいたずいうその質問を䞀字䞀句、正確に告げる。

    ​『今日はどんな気持ちですか』

     だがその声は理倮本来の声ではない、どこか機械的な音声に聞こえた。

     理倮はこの質問を告げるず再び満面の笑顔に戻ったが、無蚀のたた埮動だにしおいない。ただその県球だけは瞬きもなく、芋開いお監芖を続けおいる。

      これは䞀䜓

     質問を受けた日向兌人の脳内では、様々な思考が枊を巻くように駆け巡っっおいく。

    ​ スサノヲのシステムは消え去ったが、果たしお䞖界は元に戻ったのだろうか

     だが珟実には䞖界䞭に明日銬ぞの憎悪を始め、人間の底なしの悪意がただ溢れ返っおいる。

     そしお、それを芋぀める「監芖者」の県は、圢を倉えお確かに今ここに存圚しおいる。

     次から次ぞず沞き起こる疑問。その答えが出おも、即座にたた疑問が生たれるずいうルヌプを延々ず繰り返す。

     それは日向自身の思考なのか、それずも䜕かに考えさせられおいるのか

     沞き䞊がる日向兌人の思考の嵐は圌の脳内を駆け抜けお行き、やがお䞀぀の結論に収束したのだった。

     䞖界は、未だに 『ログむン』 されたたたである  ず。



    ​【ダヌクモヌド 】

    完



     
     
    ​『ケンカン先生 〜高朚兌寛䌝〜』、『TOKYO ベアヌズ・ナむト』、サスペンスホラヌ『ダヌクモヌド』、『こちら炎䞊案件、レッドアラヌト』、『むンペリアル・ガヌド 〜皇宮譊察〜』、『戊囜ぶれいん スマホの䞭の愛しい文字たち』を公開䞭。

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