メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo byinagakijunya

短線小説『真倜䞭のお姫さたごっこ』

    ぀いに䌁画も今幎最埌のお題ずなりたした。

    かし子嬢の煩悩溢れるお題第2回「激重感情仄暗䞍穏」BL小説with「耜矎」開催です

    「激重感情仄暗䞍穏」「耜矎」の
    1䞇字以内のBL小説を投皿しおください

    他の参加者さんの小説は順番に回収しおたずめ蚘事にし、私のnoteのトップに固定したす


    救いのない話なので、平気な人だけ読んでください。
    サむコホラヌです。刺激の匷いシヌンは省きたしたがアレな人はアレしおください。
    男性同士の恋愛を含みたす。

    レッツ #noteでBL


    『真倜䞭のお姫さたごっこ』


    南海倧孊男子バスケ郚、総勢30人、2名䞀宀の党寮制。
    孊業の合間の朝緎、昌緎、倜緎ず垞に共同生掻を行うこずで瀟䌚生掻ず団䜓スポヌツに必芁な協調性を逊う。


    垰省を拒んだ俺に付き合っおくれたのは、同宀で恋人の有時ゆうじだった。

    「静かになっちゃったね」

    垰省する最埌の寮生を芋送るず塗装のはげた門扉を閉めた、倧晊日の20時過ぎの道に人気はなく、ちょうど自分の祖父の歳ず同じ築幎数の4階建おの寮が俺達を寂しそうに芋䞋ろしおいた。
    底冷えに背䞭を䞞めお寮内に戻るず、3幎のむブ先茩が慌ただしく荷物を抱えお自宀から出おきお2人で目を合わせる。

    「あれ先茩も合わせお3人で幎越し居残りでは」
    「すたん。効が熱を出しおチビ達の面倒を芋ないずいけなくなった。今晩だけお前達2人きりになる」

    むブ先茩の実家は寮から埒歩30分の堎所だが、郚の方針で寮生掻をしおいお、10人匟効の長兄で末匟はただ3歳、ただただ倧人の存圚が必芁だず頷く。

    「明日、俺が戻るたで出入りは食堂の裏口に培底しおくれ」
    「確かに玄関を開けおるず䞍甚心ですね」

    先茩は玄関をすぐに斜錠し、食堂に抜けお厚房に入るず調理台の䞋の非垞ボタンを指差した。

    「寮内での非垞時にはここを抌すこず。5分皋で譊備が来る」

    この蟺りは昔からの戞建おの䜏宅街で路地も倚く、さらに孊生寮や䞋宿も密集しおいお、そのせいか倉質者が埌を立たず、譊備䌚瀟の埅機所も倚い。

    「宗谷そうや、幎末は倉な茩が増える。わかっおいるず思うが敢えお蚀う、スヌパヌの偎のコむンランドリヌは絶察に行くな」
    「はい」

    入孊しおすぐコむンランドリヌで倉質者に襲われお以来、有時は1人での倖出を犁じられた。

    有時は掚薊でバスケ郚に入るほどの手足の長さず、垃の䞊からでも分かるほどに矎しい骚栌その䞊に柔らかくかぶさる筋肉ず、青く血管が透けるような劖艶な肌を持っおいた。
    これで容姿が矎し過ぎたら高嶺の花だが、のんびりずした所䜜や埓順でよく笑う柔らかな印象が芪しみやすく倧倉奜かれ、そうず思えば、黒目がちで切れ長の挑発的な芖線も持っおいる。
    䞡極端な印象が混圚する有時の矎しさは、争い難いほど人を惹き぀けおしたう。

    「甚心したす」

    埋儀な倧家族の長兄を安心させる為に有時はい぀もみたいに笑わず、きちっず膝をそろえお返事をした。

    先茩が戻るたで寮の出入りは裏口に培底する事を玄束し、俺に裏口ず玄関の鍵を預けるず、先茩は有時に同じ玄束をもう䞀床させお垰路に着いた。

    「先茩は心配性だね」
    「甚心に越したこずはない」

    䜏人が䞍圚になった1階の廊䞋の電気を消し、玄関ず階段、食堂の奥の厚房だけ明かりを残す。
    寮内に残ったのは4階に䜏む俺達だけになり、預かった裏口の鍵をポケットの䞭でそわそわず觊る。

    人気のない倜の家は苊手だ。

    廊䞋の奥の暗闇からゟロゟロず足音を立おお幌い頃の憂鬱な蚘憶を匕き連れおくる気がしお背䞭を向ける。

    有時ず2人きりは嬉しいが、それがこの幎老いただだっ広い寮でず思うず憂鬱が勝っおしたう。



    自宀戻ろうず階段を登り始めるず、有時がたたクリスマスの話を始めた。

    「ケヌキのないクリスマスは初めおだよ、悔しい」
    「詊合はしゃあないやろ」

    幌い頃からの習慣を挫かれた有時は䞍貞腐れるが、クリスマスにケヌキを食う抂念がない俺は「そうゆうものなのか」ず思いながら適圓に盞槌をする。
    そしおポケットから鍵を手攟しお話を続ける有時の手を握り、誰もいないのをいいこずに自宀たでぶらぶら揺らしながら歩く。

    「ねぇ、クリヌムだけのケヌキに奜きなだけお菓子のせたくなかった」
    「ケヌキに」

    真っ先に浮かんだのはコンビニのデザヌトコヌナヌにある䞉角のカットケヌキだった。
    が、すぐに有時の脳内にあるのは䞞いホヌルケヌキず気が぀く。

    「苺もクリヌム芋えんくなるやん」
    「いいんだよ、クリスマスなんだから」

    ほが䞀人で育った自分に無い生掻や考えを䞡芪ず歳の離れた甘えん坊な匟ず生掻した有時はたくさん持っおいお、その新鮮な矚たしさはポッカリ開いた俺の心の穎を埋めた。

    「でもね。本圓は金額を気にせずにお菓子を買っおのせたかった。映画通の売店の小さなスコップですくっお買う量り売りのグミずか」
    「あの掟手で芳銙剀食っおるみたいなや぀」

    そっちはすぐに想像が出来お、自宀の扉を開けながら぀い声が倧きくなる。

    「うん。うちは匟ず2人で1000円分が決たりだから、あの子が重い菓子を遞べるように俺はシュガヌビスケットずラムネばかり遞んでたんだ。だからクリスマスくらい、兄貎颚のしがらみから解攟されたい」
    「俺は倀段は気にした事なかったなぁ、家に倧人もおらんから怒られんし」

    それは嘘じゃない。
    父が眮いおいく倕食代を切り詰めれば、映画終わりに倀段を気にせず奜きなだけ買っお垰れた。

    「いいなぁ。でもあれは1人で食べるには賑やかすぎるお菓子だよね」
    「たぁ、1人で育ったようなもんやし、自由の代償」

    そう、そうなのだ。
    あれの矎味さはザクザクの歯觊りでも喉を焌く甘さでもなく、サむケな色玠ず銙料の塊を金を出し枋った芪の前でこれ芋よがしに食べる眪悪感ず開攟感なのだ。
    俺はそんな「芪からの制限」に飢えお育った。
    有時は俺の些现な衚情の倉化を察知しお、ベットの隣にさっず腰をかけ肩を぀ける。

    「だけど自由は時に䞍憫だよ」

    針で付いおも消えない過去にあんたり優しく觊れないでほしい、1人で生きおいけなくなる。

    でも本圓はもっず、ずっず奥たで芗いお欲しい。


    小孊1幎の冬、父が垰らなくなった。
    双子を出産したばかりの母は1人気䞈に家事ず育児をこなしおいたが、䜕かのタガが倖れたように「掗濯機が壊れたわ」ず呟いお、倕飯の支床を乱雑に終えるず、双子をベビヌカヌに乗せお倜のコむンランドリヌに通い出した。

    家に1人残された俺は宿題を枈たせお倕飯を食べた、おにぎりだけの倜もあった。
    それが続いたある日、母は気が匕けるほどの額の金を俺に握らせお「コむンランドリヌに行っおくる」ず䞀蚀残し、双子だけ連れお家を出た。

    そしおそれきり垰らない。

    血盞を倉えた父が5日埌垰っおきお2人で暮らし始めたが、盎にお金だけがリビングのテヌブルに眮かれるようになっお俺はたた1人に戻った。

    家族5人が暮らすはずだった自分ず同じ歳の家で。

    この話を聞いた有時は俺に恋愛以䞊の䜕かを抱いた、それは幎の離れた匟に䞎えおいたような慈愛かもしれない。

    「巎ずもえは皆んなの知らない怖さを知っおいるから、思いやりがあるんだね」

    玄関に぀いた明かりがどれだけ人の心を枩めるかを、家族に愛されお育った有時はよく知っおいる。
    そんなずころが矚たしくお、愛おしい。



    しばらく2人きりの時間を楜しみ、颚呂でも入るかず立ち䞊がるず、有時が袖を匕いた。

    「ねぇ、今からコンビニ行かない」
    「今から」
    「クリスマスのリベンゞにケヌキが食べたい」

    時蚈の針は23時に近い。
    寮の門限は今倜は別にいいずしおコンビニたでは䞀本道で玄10分、だが、途䞭にあのコむンランドリヌがある。

    枋っお黙る俺に有時はダメ抌しずばかりに、お願いず祈るように胞の前で指を組み芋䞊げた。

    「絶察に離れない。俺が巎に嘘蚀ったこずある」
    「ない」

    出䌚っお玄1幎の間にそれは無かった。

    「しゃあないな」
    「やった」


    初詣にはただ早いせいか、閑散ずしたコンビニで売れ残りのカットケヌキを買った。
    誰もいないのをいいこずにどちらずもなく腕を絡めお、束の間の真倜䞭のデヌトを楜しみ寮が芋えるず、ふっず有時が足を止めた。

    「ゞュヌス買っおない」
    「コヌヒヌでいいやん」
    「あそこでただ買える」

    あそこずは䟋のコむンランドリヌ。
    この道に他の自販機はなく、コンビニに戻るかここで買うかしか遞択肢がなく、心配性の先茩のコメカミの青筋が頭に浮かんで、2人でじっず立ち止たる。

    有時はそれを振り払っお䞀歩螏み出し銖を䌞ばしお、24時間明かりの絶えないコむンランドリヌの䞭を芗いた。

    「誰もいない」

    するっず腕が軜くなっお有時の埌頭郚の毛がふわっず目の前で揺れた、倜海のクラゲみたいに頌りなくお怖い。

    「あ、ちょ 」

    倖で芋匵ればいいか、ず思い盎す間に、有時は開いたたたのコむンランドリヌの扉を抜けお自販機に近づく、瞬間。
    カラカラず独りでに扉が閉じた。


    「有時あかん」

    母が双子ず出お行き、父がたた垰らなくなっお半幎が経った。
    毎日リビングに食事代2000円だけが眮かれおいお、1000円だけ持っお塟に行き、垰りにコンビニ匁圓を買っお垰る毎日。

    俺は1人であるごっこ遊びを思い぀く。

    塟に行く前に玄関ずリビングの電気ずテレビを぀けっぱなし、母が靎箱の隅に忘れおいった癜いパンプスず、父の履き叀した革靎を揃えお家を出る。

    塟から垰宅するず、煌々した玄関で鍵を開けお父ず母の靎の隣にスニヌカヌを脱ぎながら、明かりの挏れるリビングに「ただいた」ず声をかけた。
    廊䞋には幌い効のぬいぐるみが萜ちおいお、リビングの賑やかなテレビの音を聞きながら「仕方ないな」ず兄貎颚を吹かしお拟い、テレビを芋おいる匟に向かっお「明日、兄ちゃんず公園に行く人」ず声だけかけお、返事を埅たずに走っお掗面台で手を掗う。

    そしお母が枩め盎しおくれた遅い倕飯、に、芋立おたコンビニ匁圓を独り蚀で䌚話をしながら食べた。

    家族ごっこをしおいる間は平気だが、塟が無い日は昔を思い出しお鬱々ずする。

    入孊匏は父がいた。
    母の倧きなお腹を幞せそうに撫でお、このタむミングで前歯が抜けた俺を真ん䞭に写真を撮った、桜の花びらが舞っおいた。

    それが急に父は䞍圚がちになり双子は泣いおばかり、母はい぀も青い顔をしお俺ず目を合わさない。
    そしおコむンランドリヌに通い始めた。

    掗濯機は壊れおなんかいなかった。
    あの日母がコむンランドリヌに行ったのは、母が先に壊れたからかもしれない。

    いや、あの気䞈な母が壊れるはずがない。

    たたたた掗濯機の調子が悪くお行ったコむンランドリヌにバケモノがいお、母ず入れ替わったんだ。
    そしおなんでもない顔で家に䟵入し、双子も連れ去り俺をひずりがっちにした。

    悶々ず父が眮いお行った珟金の隣で宿題をしながら爪を噛む、決たっお芪指。

    メモすら残さない父の字は忘れた、そもそもの始たりは父がバケモノに取り替えられお垰らなくなったせいだ。

    メリッ
    芪指の爪の悲鳎。

    党く俺が䜕をしたっお蚀うの


    䞭孊進孊埌に離婚が成立し、父は俺の芪暩を手攟しお若い女ず䞖垯を持った。
    母はすでに関東で双子ず知らない男ず家族になっおいた。


    気付けばたた1人。


    いや、ずっずか。


    倧孊の寮で有時ず同宀になり、すぐ恋仲になった。

    「有時」

    迷惑承知で倧声を出しお駆け寄るず、有時は俺を振り向いおヘラヘラず笑っお手を振った。
    心臓がバクッずする、母の気配が真埌ろにあり、息を感じる声がする。


     そぉら、巎。入れ替わったぞォ 

    有時は俺や先茩の蚀い぀けを守らずに勝手な行動を取ったりしない。

    遠吠えしおいた犬が静たるず、途端に心が现く黒くなっお、しっかりしろず拳で胞を叩く。

    「巎はカルピスが奜きだよね」

    事も無気に有時はカラカラず扉を開けお出おくるず、俺が持っおいるケヌキが入った゚コバックに買ったばかりのゞュヌスを入れお先に歩き出す。

    「 おい なんで俺から離れたんや」
    「芋えおる範囲にいたじゃない」

    俺の問いかけに埌ろ手を組み、くるっず振り向き小銖を傟げおふらふらず前を歩く、その姿に疑問が぀きたずう。

    「有時、街灯の䞋を必ず歩いお」
    「巎が偎にいるから平気だよ」

    『絶察に離れない』っお蚀ったのに嘘を぀いた。
    この有時は無神経な顔で俺の恐怖をヘラヘラ楜しんでる。

    コむンランドリヌのバケモノは今床は有時に目を付けた。



    倧人のいない暗い家に垰るのが奜きだった。
    い぀も垰宅するず母がいお、甘えん坊の4歳䞋の匟ず2人郚屋。
    甚がある日は祖父母がいるし、バスケットクラブの送迎は父、垞に倧人の芖線を気にしお姿勢を正す。

    特段、家族に文句があるわけじゃ無い。
    でも思春期に差し掛かった時から、家に人がいるず監芖されおいるみたいで息苊しくお堪らなくなった。

    この埌ろ暗い反抗心は発散される事なくぶくぶくず膚らんで、い぀からか家で悪い事をしたい衝動ず理性の間で俺は垞に揺れおいた。

    「巎、寮に垰ったら食堂でキスしおみない」
    「 食堂で」

    実家を離れた今も、結局は拘束された孊生寮ずいう空間で芏埋や人の芖線に垞に瞛られお生掻しおいる。

    鬱屈ずするよりスリルを求める倧人の幎霢になった俺は、久しぶりの自由を芏埋に瞛られた空間で開攟しおみたくなった。
    芪の目の届かない生掻環境で出来た、呚りが驚くような恋人ず過ごす今倜を思い切り楜しみたい。

    「うん。今日は誰もいないもの。廊䞋でも お颚呂で裞でキスもできるよ」
    「俺の知っおる有時はそんなはしたないこずせん」

    巎は芖線を斜め䞋にそらしお迷うように薄い唇を噛んだ。
    苊々しい顔にも芋えるけど、照れおしたっおいるようにも芋えるのは、普段俺がしない蚀動を開攟しおいるこずに混乱しおしたったのかもしれない。

    いや、きっずたぶん。

    倜の開攟感をすでに知っおいる巎からすれば、俺の振る舞いは滑皜でわざわざする皋の特別感はないかもしれない。
    それでも俺はこの開攟感を手攟したくないし、倧奜きな巎ず共有したかった。

    「なんで先茩の蚀い぀け守らんかったんや」

    神経質は今に始たった事では無いが、今倜は特にひどい気がしお急いで謝る。

    「ごめんなさい。巎が䞀緒だず安心しお気が緩んだの でもほら、倧䞈倫だったでしょう」
    「それずこれずは違う。なんかあったらどうすんねん」

    せっかくの2人の倜なのに、この人は生真面目すぎる。
    申し蚳ない気持ちはちゃんずあるのに、ちっずも理解しようずしない。がっかりしお぀い他人行儀に蚀い返しおしたった。

    「軜率でした、もうあなたの偎を離れないわ」
    「あなた 」

    真っ暗な寮の方から吹いた冷たい颚に煜られお前髪がめくれ、片眉がぎくっずした。
    倧きな目が最んで䞀局倧きくなる。

    「どうしたの」

    䜕が琎線に觊れたのか分からず問うが、巎はだんたり。
    止んだ颚に萜ずされた前髪の奥の目が泳ぎ、芪指の爪を噛み始め、慌おお「痛くなるよ」ず口元から指を離させるこずしか出来なかった。

    巎は俺の肩越しにコむンランドリヌを芋るず、顎を䞊げお芋䞋すように目を现めお小さく凄んだ声を出した。

    「 あなた」

    歪む薄い唇ず癜い錻筋が反骚粟神みたいにツルっず通る。

    倜の闇の䞭で䜕かに憀る巎のその顔は、粟悍にも感じた。
    昔芋た映画に出おきた、芪の蚀い぀けに背いお城を出お自分の運呜を切り開く王子さたを圷圿する。

    「なんだか今日の巎、王子さたみたい」
    「王子」

    ちろり、ず俺に萜ずす芖線が哀愁に緩む、切ない顔は俺の庇護欲に瞋り぀き、離せなくさせる。

    「うん。今倜初めお2人は出䌚っお、そしおすぐに氞遠の恋に萜ちるの、なんちゃっお」

    我ながら乙女すぎるず笑っお誀魔化したけど、巎の倧きな目が䞀際うるみたばたきをした。
    長い䞋た぀毛の涙の粒が小さなダむダモンドみたいにころっず光る、俺がこがす涙なんお安っぜいスパンコヌル皋床にしかならないのに、この人は䜕かに魅入られたみたいに特別だ。

    涙の埌、巎は现く口を開けお今たでの違和感の霧を吞い蟌んでカラッず笑った。
    どうやらさっきたでの癇癪は治ったず思っお、笑わせようず戯けおドレスの裟を摘んでお蟞儀する仕草をする。

    「初めたしお、王子さた」
    「 姫」

    銬鹿にしお錻で笑うず思ったら。

    「姫、なるほど。そうきたかぁ」

    巎はひたっず裞足で心を螏むように笑った。

    「かしこたりたした」

    そしお月明かりの䞋で俺に跪いた。
    優しく手を取り指先の匂いを猫みたいに嗅いでキスをしお、今床はちゅうっず手の甲に吞い付き、じゃれおうるうるず喉を鳎らすような䜎い声で唞った。

    「共に城に参りたしょう」

    あん、その声気持ちいい。
    公道を奜きな人ず手を繋いで歩いお、真っ暗で誰もいない家に垰る。

    俺は完党にこの「お姫様ごっこ」に浮かれた。

    欲を蚀えばこっそり街灯の䞋でキスをしたいけど、俺の王子さたは繊现だからあたり驚かせおはならない。
    倜颚に翻るようなフレアなドレスはないけど、長いコヌトで䜓を隠しおこの日のために磚いた肌を暗闇に曝け出す自分を想像し、酔いしれおみた。

    今倜、倢䞭になっおくれるだろうか、この䜓に。
    い぀もより時間もあるし、薄い壁の向こうの隣人を気にする事なく倧ぎらに䜓を重ねたら、きっず巎を窮屈にしおいる朔癖さも溶けるだろう。
    いけない事しよう。
    倜に出歩いお、留守の家に恋人を連れ蟌んで、真倜䞭にケヌキを食べお倧胆にセックスをするんだ。

    俺はすっかり舞い䞊がっお、裏口の前で巎の顎を掎んで振り向かせおキスをした。

    「驚いた。随分、倧胆な姫や」

    巎は拒たずに錻で笑っお鍵を出したが、うたく鍵穎に通せず舌打ちをした。

    緊匵しおるのかな
    だっお悪さをするのは勇気がいるもの。

    俺は芪や匟の目を気にしおよく知っおいるけど、巎はこの寮に入っお垞に芏制や協調性を重んじる事で、初めおそれを知り、そしお背く緊匵を䜓感しおいるのかもしれない。

    どんどん開攟的になれるように俺が誘っおあげよう。

    やっず扉を開けるず、厚房でそのたた舌を絡めお吞い合った、離す間も無くたたすぐ唇を぀ける。

    「ねぇ、面癜いこず思い぀いた。あなたはここで10を数えお」
    「 かくれんが」
    「うん。そしお捕たえたずころで抱いお」

    「はぁベッド以倖で」

    巎の声は䞊擊った、そしお唟を飛ばしお埌矢継ぎ早に2回聞き返す。

    普段の神経質な巎ず王子の意識がぐるぐる切り替わっお困惑しお黙るず、ねっずりず銖を前方に曲げお角床を倉えながら俺の目を芗く。
    脳の裏たで芋逃さないような芖線に我慢しきれず目を逞らすず、それが気に食わなかったのか、巎は頭痛のように眉間を撫でお錻筋に浮いた皺を擊った。

    そしお小さく2回顎を瞊に揺らし「本物は 郚屋に隠したな」ず䜕か確信し、䜕をず聞いおも聞く耳持たずに爪を噛んでブツブツ蚀い出した。

    よくは分からないが、巎は1番に俺達の郚屋を探すず解釈し「そこで10数えお」ず蚀い぀け1歩䞋がるず、巎の目がキリッず光った。

    「仰せのたたに、姫」

    ケヌキを調理台に眮き、埌ろを向いお裏口に腕を぀けるず、そこに額を預けお目を隠す。

    「10 」

    カりントダりンを始めたから、俺は䞀目散に食堂に抜け廊䞋に出た。
    距離を取るず萜ち着いおきお、きっず巎も䜕かの「ごっこ」に耜っおいるんだず思い蟌んだ。

    「9
8、」

    ギシギシ軋む朚造の床にヒダッず足を止め、音を最小限にしようず靎䞋を脱ぎ捚おお、぀た先立ちで䞀段ず぀登る。
    階䞋に隠れたフリをしお探させよう。

    「7、6
5、」

    そしお巎の思惑通りに4階の自分達の郚屋に隠れお埅っお、キスでもすればきっずい぀も通りに戻る。

    真っ暗な階段の螊り堎で䞀回滑っお転びかけ、手すりに捕たりこずなきを埗る。
    2階より䞊だず巎の声がかすかになった、ならば向こうも聞こえないはずだず堂々階段を登った。

    4階の廊䞋を爪先でそろそろ進んでドアノブ觊った時、遠くで「1」ず聞こえた。
    すぐさた2段飛ばしで階段を駆け䞊がる足音がダンダンッず远いかけお来お、さっきたで床板で冷たかった指先の感芚が違う衝動に負けお麻痺する。

    これは俺の王子さたの足音。
    い぀もそばでいお助けおくれる少しせっかちな圌がたおる力匷い音。
    胞を叩いお蚀い聞かせ、扉の䞭に身を隠した。

    い぀もより䞊擊った巎の息の荒い声が静かな廊䞋に届く前に、ふず思い立っお服を脱ぎ、自分のベットからシヌツを剥いで玠肌に巻いた。
    シヌツをドレスに芋立おお本圓のお姫さたになりきり、芋぀かったらシヌツを萜ずしお王子さたを誘惑しよう。

    「有時」

    せっかちな足音がゆっくりず近づいおいる、巎の垃団に朜っお倧奜きな柔軟剀の匂いを肺いっぱい吞い蟌んだ。
    きっず俺の姿に巎が笑っおしたっお、党おが元通りになるはずだ。

    が。

    「絶察に芋぀けるからな、有時」

    扉の前に立った巎の声が極端に寂しく震え、垃団の隙間から芗く。

    「今ならただ間に合う、停物は即、排陀する」

    どうゆうこず


    ガチャ  キィィむ


    扉が開くず同時に顔を隠しお口元を芆い、息を殺した。

    やっぱりなんか、倉。

    い぀も聞いおるただの巎の足音が、劙に心を責め立おる。
    奜きな人ずの楜しい時間のドキドキだず思い蟌みたいのに、どうも脳が䜕かの譊告を出しおいる気がしおならない。

    そっず垃団をめくられお、窓から差し蟌む月の光に青癜く光った巎ず目が合った、刹那。
    ねっずりずした猫撫で声がした。

    「俺に抱かれたい人」

    吹き出すように笑いながら、俺が脱ぎ捚おた靎䞋を出しお揺らす。
    垃団を跳ね陀けお手を䌞ばすず悪戯に避けられ「芋぀けたで」ずご機嫌な声で巎が芆い被さった。
    しばらく互いを確認するように芋぀め合う。

    「巎」

    俺の声に安心でくしゃっず目元を緩たせ、優しく顔に觊った。

    「有時俺の有時や。もう絶察に離れぞん」

    巎は俺がドレスに芋立おたシヌツを芋䞋ろし「可愛いこずしお」ず鎖骚のくがみに舐めるようなキスをした。
    愛しおる、ず荒い息を吹き蟌んで耳を噛み、舌をぬるぬるず動かし銖筋を舐めお、党おを奪い尜くすように濃厚にキスをした。

    やっず唇が離れお目を開けるず、今たで芋たこずもないほど眉毛を䞋げお笑う巎が可愛くお、顔を䞡手で挟んでこちらからも目を閉じおキスをした。

    「あなたったら。ずっず偎にいたじゃない」
    「あなた  、」

    突然巎は䞊半身を䞊げた。


    「隙したな」


    俺の腰に跚ったたたひっそりず芋䞋ろし、歯を食いしばったのか小さく震えた。
    月明かりから逞れお衚情はよく芋えないが、癜目だけが光っお青く浮いおいる。

    「俺の有時は“あなた“なんお呌ばん。甘えた声で巎っお呌ぶ」
    「 あ、いや、ほらこれは雰囲気を、」

    ねぇだから、さっきからなんのこず
    掎たれた肩に噛んで千切れた爪が食い蟌み、力任せに揺さぶられる、鳥肌で毛穎が痛くなる、ごっこ遊びにしおは空気が重すぎお、䞊手く息ができない。

    「分からんなら教えたるどうせお前はニセモノのバケモンやしな」
    「倧きい声出さないでっ」

    力䞀杯ベットから巎を突き萜ずし、䜓に巻いたシヌツをたくし䞊げお郚屋を飛び出した。

    倉だ。

    「建物の倖でキスなんかはしたない事せん」

    淡々ず俺の自由な振る舞いをなじる声がしお、殎った床の振動が足に䌝わる。

    「ベット以倖でセックスなんお䞋品な発想もない」

    䞀気に玄関たで駆け降りお、そのたた裞足で扉を匕くが斜錠されおビクずもしない。
    階段を降りおくる足音に䜕床も振り返りながら、バンバン拳で扉を叩いお倧声を出そうずしたが、喉が匕き連れお声が出せず、鍵は巎が持っおいたこずを思い出す。

    そうだ、厚房にある非垞ボタン

    無我倢䞭で食堂を駆け抜けお厚房に入った瞬間にシヌツを螏み぀けられお倒れ蟌んだ。

    「 ふっ、うぐぅ  」

    萜ちないように織り蟌んだ綿が肌に食い蟌み、振り払おうずシヌツを掎む、唇が切れお涙ず嗚咜で赀い涎ががたがたず染みになる。



    気づくず小さな歌が聞こえおいた。



    うっすら笑った巎は自分の錻歌に合わせお足を離すず、俺の手を匕き顔を寄せ、ダンスのタヌンみたいにぐるっず回しお腰を抱いた。

    「ごっこ遊びはもう終わり」

    倧奜きな声に混ざる猟奇的な気配。

    調理台に優しく抌し倒されお剥き出しの背䞭が凍り぀く。
    埌頭郚を支える倧きな手がそのたた髪を撫で、䜓が恐怖で固くなる。

    絵もしれぬ恐怖に凝芖する俺の目を、巎の巊手が静かに芆っお耳元に顔が近づく。
    耐え切れない嗚咜をシヌっず子䟛みたいに宥められ、䜕床も薄い唇が俺の息を遮ぎる。
    そしおあやすように䜓を揺すりながら耳たぶを舐めお、ねっずりず呟いた。

    「10数える間に有時を返せ」
    「 だ、だから、さっきから䜕を蚀っおるの」

    「さもなくばお前を殺す」
    「俺は有時だよ」

    話しかけお時間を䌞ばし、手探りで調理台の䞋の非垞ボタンを探しおいるず「10」ず怒鳎った巎の拳が、数分前に買っおきたケヌキをグシャっず叩き朰した。
    ヒッず息を詰めた拍子に匕き連れた頬に生クリヌムが飛び散る。
    巎はゆっくりそれを舐めずっお、最埌の逞みたいに舌で俺の唇を割っお抌し蟌んだ。

    「9、8」

    たばたきを忘れた巎の目は䜕を蚀っおも揺れず、芋開かれたたた。

    「7。6、5、4 ハッ」

    そしお埮かに笑う、ゟクリずする声。


    思えばコむンランドリヌに入っおから党おがおかしい。
    䟋えば巎が䜕かず少しず぀入れ替わったような 






    シンク䞋の扉から静かに包䞁を抜くず、有時ず入れ替わったコむンランドリヌのバケモノは無駄な抵抗をやめ、俺の手の䞋でゆっくり目を閉じた。
    そしお啜り泣く事もなく最埌の時を埅぀。

    父さん、母さん、぀かさ、ずおる。

    兄ちゃん今床は倱敗しないよ。

    柔らかい喉に切先を぀けたら、有時の声が「ずもえ」ず掠れお消えた。
    こい぀を始末したらすぐに芋぀ける。

    「倧䞈倫、愛しおるよ」

    さぁ、息を止めお

    䞀思いに

    3、2


    1。







    ゚ンドロヌル


    CAST

    巎癜瀬 å·Ž

    有時宗谷 有時

    むブ先茩䌊吹 枅十郎


    巎の匟癜瀬 叞
    巎の効癜瀬 透


    巎の母癜瀬 たゆみ

    巎の父藀島 玄はるか


    参考資料・蚭定
    アむルランド民間䌝承・チェンゞリング
    カプブラシンドロヌム珟圚は劄想型統合倱調症に䜍眮付けされる

    人物描写、背景の参考映画
    「シャむニング」
    「バットマン」
    「乱歩地獄」鏡地獄
    「゚コヌル」

    䜜䞭の巎の錻歌
    Ray Charles
    『I Can‘t Stop Loing You』


    「冗談やん」

    呆れた巎の声に恐る恐る目を開けた。

    「 ず、巎」
    「あんたり蚀うこず聞かんからお仕眮きや」
    「うぅ、ふわぁぁんっ」

    バカバカ〜ッず巎の胞を叩いおお姫さたごっこは幕を閉じた。

    ぐしゃぐしゃに朰れたケヌキず、ぐしゃぐしゃ泣きじゃくった有時は、この埌巎が矎味しくいただきたした。

    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
     
    3぀のお題でBL小説を創䜜する䌁画「noteでBL」やっおたす🊭詳现は固定蚘事で よく読んだら倉態なのに説埗力だけはある゚ッセむ、掚しの筋肉Bリヌガヌ🏀䟑倪郎さんの䞊腕䞉頭筋ぞの語りかけなど色々曞いおたす 友達になりたしょう😳

    あなたぞのおすすめ