
『Trinos Biophilic Method』⑩ 〜舞台裏:この連載が生まれた理由〜
■ 量子力学の話を、なぜ私が書けるのか
この連載を読んで、こう思った人がいるかもしれない。
「植物と石の話はわかる。でも、量子力学とかフラクタルとか、なんでそんな話が出てくるんだ?」
正直に言おう。私は植物学者でも、哲学者でも、スピリチュアルの人でもない。もともとは、応用物理の世界で働くサラリーマンだった。
波動、エネルギー、共鳴。この連載に登場した言葉の多くは、私にとって「比喩」ではなく、仕事で毎日扱っていた言語だった。

■ サラリーマン時代、もう一つの顔
サラリーマン時代、私は目に見えないエネルギーの世界に片足を突っ込んでいた。
応用物理の知識を持ちながら、東洋の風水と現代科学の接点を探す仕事だった。詳しくは書かないが、「エネルギーが空間に与える影響」を、毎日真剣に考えていた。
「第2章:量子風水」という言葉を書いた時、私の頭の中にあったのはこの時代の記憶だった。あれは思いつきではない。科学と風水、両方の視点から空間とエネルギーの関係を実際に扱ってきた経験が、あの言葉を生んだ。
そしてこの時代に、一冊の本に出会った。
■ 「バイブレーション・メディスン」が、すべてを繋いだ
リチャード・ガーバーの『バイブレーション・メディスン』。西洋医学の医師が、エネルギー医学の観点から人間の身体と自然の関係を解き明かした本だ。
読んだ瞬間、頭の中でカチッと音がした。
応用物理で培った知識、風水で学んだ空間の原理、仕事で体感してきたエネルギーの働き。それらがこの本の世界観と、完全に繋がった。
「これは全部、同じことを言っている」
その確信が、のちにバイオフィリックメソッドへとたどり着く、最初の一歩だった。
■ それでも、植物と石に救われた
皮肉な話だが、エネルギーと空間の力を誰より知っていたはずの私が、最もそれを必要とする状況に追い込まれた。
独立して起業した。5年目、ブレイクの直前と思っていた時期に、信頼していた人たちに裏切られた。詳しくは書かない。今も、傷は癒えていない。
ただ、あの時期に私を支えたのが、この連載に書いた植物と石だった。
知識として知っていたことが、体に刻まれた。頭でわかっていたことが、ようやく本当の意味で「わかった」。
人は、追い詰められて初めて、本当に必要なものに気づく。私にとってそれが、半径50センチの自然だった。

■ この連載は、私の「再インストール」の記録だ
①から⑨まで読んでくれた方に、改めて伝えたいことがある。
あの連載は、机上の理論ではない。応用物理の知識と、風水とエネルギーの実践と、そして地獄のような時期を経て、私が自分自身にインストールし直したものを書いた。
「生命のルールをインストールせよ」というサブタイトルは、あなたへのメッセージであると同時に、かつての私自身への言葉でもあった。
知っていても、できていなかった。できていると思っていたが、できていなかった。
植物に水をやり、石を握り、光のサイクルを取り戻す。その小さな繰り返しの中で、私は少しずつ、自分を取り戻してきた。
今もまだ、その途中だ。
■ 読んでくれた、あなたへ
①「はじめに」から始まり、序章、第1章から第6章、そして終章まで。10本の記事を最後まで読んでくれた方に、心から感謝を伝えたい。
量子力学、フラクタル、風水、サーカディアンリズム。難しい言葉が並ぶ連載だったかもしれない。それでも読み続けてくれたのは、きっとあなた自身の中に、同じような「違和感」があったからだと思う。
灰色の箱の中で、息を潜めているような感覚。このままでいいのだろうかという問い。
私もまだ、その途中にいる。完璧に答えを出した人間が書いた連載ではない。もがきながら、植物に水をやり、石を握りながら書いた。
あなたのデスクに、一鉢の緑と、一個の石が増えたなら。この連載は、その役目を果たせたことになる。
読んでくれて、ありがとう。
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