
検索が「動く」側に回った日|AI時代のSEO/MEO動向レポート 2026年6月号
本レポートは2026年6月時点の情報です。仕様や数値は変わりうるので、参照時はその点を踏まえてください。
ここ数か月の検索まわりのニュースを追っていて、僕はひとつの言葉が頭から離れませんでした。検索が「答える」側から「動く」側に回った、ということです。
2026年5月のGoogle I/Oで、検索は「情報を返す箱」から「あなたの代わりに動くもの」へと舵を切りました。同じ時期に、流入の測り方も、評価のされ方も、足元の仕様までもが一斉に動いています。情報の量は多いのですが、そのほとんどは「すごい」で終わってしまって、「で、自分は次の四半期に何をすればいいのか」までは教えてくれません。
このレポートは、その洪水から「いま手を打つべき」だけを10件選び、僕の視点で読み解いたものです。読み方はシンプルです。大きな地殻変動(検索のエージェント化)から入り、次に計測と評価の作り替え、最後に足元の実務対応、という順で頭を整理してください。店舗集客に固有の動きは、最後にMEO別枠としてまとめました。
僕はTrex(Tレックス)。AIブリッジエンジニアとして、WordPress公式プラグインの開発やAIの実務活用を毎日やっています。自己紹介はこちら。
🌐 第1層:検索・集客が「エージェント化」する
検索結果のページが、リンクの一覧から「あなたの代わりに動く存在」へと変わり始めています。ここが今回のいちばん大きな地殻変動です。

1. Googleが「Search Agents(検索エージェント)」を発表。検索が行動主体になった
2026年5月のGoogle I/Oで、Googleは検索を大きく作り替えると発表しました。検索結果がリンクの一覧ではなく、AIが生成する対話的な体験に変わります。検索責任者のリズ・リード氏は、これを「25年以上前に検索ボックスが登場して以来、最大のアップグレード」と表現しています。数字も大きくて、AI Overviews(検索結果の上に出るAI要約)は月間25億ユーザー、1年前に始まったAI Modeは月間10億ユーザーに達し、利用は四半期ごとに倍以上のペースで増えているとのことです。さらに「情報エージェント」という機能が加わり、あなたが指定したテーマを24時間体制で監視して、更新があれば知らせてくれるようになります。
これは「検索結果に表示される」という前提そのものが揺らぐ話です。ユーザーがエージェントに任せるほど、人が一覧をスクロールして選ぶ場面は減ります。あなたのコンテンツは「読まれる目的地」から「AIが参照する材料」へと役割が移っていきます。
で、どう動くか。まずは自分のサイトをAIの目線で点検してみてください。具体的には、ページの中で言いたいことが冒頭の一文で完結しているか、固有名詞や数値が正確に書かれているか、です。AIは曖昧な前置きの長い文章より、要点が抜き出しやすい文章を好みます。次の四半期は「人がスクロールして読む前提」で書いたページを、「AIが要点を抜き出す前提」で見直す。これが第一歩だと僕は考えています。
2. UCPで「検索から購入まで」が会話の中で完結する
Googleは2026年1月、NRF(全米小売業協会)の展示会でUniversal Commerce Protocol(UCP)というオープン標準を公開しました。Shopifyと共同開発したもので、AIエージェントが商品の発見から購入、購入後の対応までを共通の仕組みでやり取りできるようにするものです。3月19日にはCart(複数商品をカートに入れる)、Catalog(在庫や価格をリアルタイムで取得)、Identity Linking(会員特典の引き継ぎ)が追加されました。I/Oでは、このUCPを土台にした「Universal Cart」という、買い物を一か所で管理するユーザー向けの機能も発表されています。名前が似ていますが、UCPは裏側の規格、Universal Cartはユーザーが使う機能、という関係です。参加企業にはSephoraやUlta Beauty、Walmart、Targetなどが名を連ねています。
これまで「検索して、サイトに行って、カートに入れて、決済する」と分かれていた流れが、AIとの会話の中でつながり始めます。商品データが機械から読みやすい形で整っている事業者ほど、この会話の中に入り込めます。逆に、データが整っていないと、会話の外に置いていかれます。
で、どう動くか。商品を扱っているなら、商品データの整備が次の打ち手になります。価格、在庫、商品の属性(サイズや色などの違い)を、人だけでなく機械が正確に読める形で持っておく。GoogleのMerchant Centerからの登録経路も簡素化されているので、まだ手をつけていないなら、自社の商品情報が機械可読になっているかを確認するところから始めてみてください。
3. エンティティ中心のSEOへ。TurboQuantという研究がその追い風になりうる
2026年3月24日、Google Researchが「TurboQuant」という技術を発表しました。これはベクトル検索(意味の近さで情報を探す技術)のメモリ消費を大きく減らす圧縮アルゴリズムです。注意したいのは、これはあくまで研究成果であり、Google検索に実装されたとは確認されていない点です。TechCrunchも発表時点で「研究段階の成果」と報じています。
メモリの制約が緩めば、検索エンジンが一度に比較検討できる候補ページの数を増やせる可能性があります。そうなると、評価の軸が「キーワードの一致」から「意味として信頼できる実体(エンティティ)かどうか」へとさらに傾く、という見方が出てきます。ただしこれは現時点では方向性の話であって、確定した変化ではありません。
で、どう動くか。研究段階の技術に振り回される必要はありません。ただ、エンティティ中心のSEO、つまり「あなたが何者で、何の専門家で、どう信頼されているか」を明確に積み上げる方向は、TurboQuantの有無にかかわらず正しい打ち手だと僕は見ています。著者情報を明示する、専門分野を一貫させる、外部から名前で言及される実績を作る。地味ですが、これが効いてくる場面は増えるはずです。
📊 第2層:計測と評価が作り替えられる
検索のかたちが変わると、流入をどう測るか、何で評価されるかも変わります。第2層は「測り方・評価され方の変化」です。

4. Googleは新しいAI検索リンクを増やすが、クリックデータは出さない
Googleはこの時期、AI検索の中にリンク面を増やしました。ただし、サイト運営者向けに「AIから何回クリックされたか」というデータを新たに出すことはしていません。一方で、独立した調査は厳しい数字を示しています。Pew Research Centerの2025年の調査では、AI要約が表示されたときにユーザーがリンクをクリックした割合は8%で、表示されないとき(15%)より大きく下がりました。AI要約の中のリンクがクリックされた割合は1%にとどまっています。ゼロクリック(どのサイトにも行かずに終わる検索)は、おおむね58%から60%という水準で語られています。
「リンク面は増えたのに、クリックは増えていない」という状態です。表示されている(インプレッション)のに流入につながらない、というギャップが広がりやすくなります。しかもその実態を測るデータをGoogleが十分に出さないので、自分で測る必要があります。
で、どう動くか。インプレッションだけを見て安心しないこと。GoogleサーチコンソールでAI検索が絡むクエリのクリック率を定点観測し、ゼロクリックが多いクエリを把握しておく。そのうえで、「クリックされなくても価値がある露出」と「クリックしてもらわないと意味がない露出」を分けて考える。すべてのページで同じKPIを追うのをやめる、というのが現実的な対応です。
5. GA4に「AI Assistant」チャネルが追加。ChatGPTやGeminiからの流入が見えるようになった
2026年5月13日、Google AnalyticsのGA4に「AI Assistant」というチャネルが追加されました。これまでReferral(参照元)のバケツにまとめて入っていたChatGPT、Gemini、Claudeなどからの流入が、自動で専用のチャネルに分類されるようになります。設定や正規表現の作業は不要です。ただし重要な注意点が2つあります。1つは、参照元の情報が付いていないアクセス(アプリ内ブラウザやコピペのリンクなど)はDirect(直接流入)に入ってしまい、この枠では拾えないこと。もう1つは、Google検索の中のAI OverviewsやAI Modeからの流入は、このAI Assistantではなく従来どおりオーガニック検索として扱われることです。
AIからの流入を「ひとつの流入元」として腰を据えて測れるようになりました。これは大きな前進です。一方で、「AI Assistantの数字イコールAI経由の全部」ではないので、過小評価にも過大評価にもつながりやすい。仕組みを正しく理解して使うことが前提になります。
で、どう動くか。まずは新しいチャネルでベンチマークを取り始めてください。ただし、これだけに頼らないこと。参照元なしでDirectに紛れる分があること、AI Overviews経由はオーガニックに混じることを前提に、必要なら従来の正規表現による分類も併用する。「数字が出た」ことに満足せず、「この数字は何を拾って何を取りこぼしているか」をセットで把握しておくと、後で経営層に説明するときに困りません。
🛠 第3層:足元で手を動かす実務対応
大きな話だけでなく、いますぐ対応が必要な仕様変更やリスクもあります。第3層は「足元の実務対応」です。

6. AI ModeとAI Overviewsに5つのアップデート。クリックを取り戻す動き
2026年5月6日、GoogleのHema Budaraju氏(検索プロダクト管理担当VP)が、AI ModeとAI Overviewsに5つのアップデートを発表しました。具体的には、本文の該当箇所のすぐ横にリンクを置くインラインリンク、デスクトップでリンクにカーソルを合わせると出るプレビュー、購読しているニュースに付く「Subscribed」ラベル、回答の最後に出る記事の提案、そしてRedditやフォーラムの声を引くCommunity Perspectivesです。
トピック4で見たクリック減の流れに対して、Googleが「もう少しクリックしてもらう」ための手を打った、と読めます。とくにホバープレビューは、リンク先がどこか分かることでクリックを後押しする仕組みです。ここで効いてくるのが「ブランドが認識されているかどうか」です。プレビューに出たサイト名に見覚えがあれば、人はクリックしやすくなります。
で、どう動くか。トピック4とあわせて、両面で見るのが大事です。クリックが減る圧力(トピック4)と、クリックを取り戻す仕組み(トピック6)が同時に動いています。やるべきは、AI回答の中で「引用される側」になること、そしてサイト名やブランドが一目で分かるように整えることです。プレビューに出たときに「ああ、あそこか」と思ってもらえる状態を作っておく。これが地味に効きます。
7. FAQリッチリザルトのサポートが終了。でもschemaは消さなくていい
Googleは2026年5月7日、検索結果でFAQリッチリザルト(質問と回答が折りたためる形で表示される機能)の表示を終了しました。サーチコンソールのレポートとリッチリザルトテストのサポートは6月、サーチコンソールAPIのサポートは8月に終了予定です。ここで肝心なのは、表示機能はなくなりますが、FAQPageというschema(構造化データ)の型は引き続き有効で、Googleはこれをページ理解のために使い続けると明言している点です。
「FAQ schemaを入れれば検索結果で目立てる」という打ち手は使えなくなりました。一方で、schemaそのものが無駄になったわけではありません。SEO界隈では「schemaはもう不要だ」と「AI検索のために今こそ重要だ」という両極の反応が出ましたが、どちらも言い過ぎだと僕は見ています。表示の役割は終わった、でもページの意味を機械に伝える役割は残っている、というのが実態です。
で、どう動くか。慌ててschemaを外す必要はありません。Googleも残してよいと言っています。それより大事なのは、FAQの中身を見直すことです。表示で目立つための飾りだった質問を、本当に顧客が聞いてくる質問に入れ替える。回答は最初の一文で結論を言う。表示という化粧が取れたいま、中身の素の力が問われます。
8. AI Overviewsが、頼んでいないのにネガティブなレビューを出してくる
AIによる検索の要約が、比較や購入を検討するクエリで、ブランドのネガティブな評判を引っ張ってくる現象が報告されています。調査会社BrightEdgeのデータでは、AI Overviewsがブランドへの言及の約2.3%でネガティブな感情を出し、ChatGPTは約1.6%とのことです。割合は小さく見えますが、膨大なクエリ数を考えると無視できない露出量になります。何がネガティブとして拾われやすいかについては、新しさと量、機能名まで具体的に挙げているか、Redditや主要レビューサイトといった場の信頼性、複数のソースで繰り返されているか、という4つのシグナルが指摘されています。
これまでの評判管理は「自社名で検索したときに何が出るか」が中心でした。ところがAI検索では、ユーザーが批判を探していなくても、比較質問への回答の中に過去の不満が混じってきます。数年前のスレッドが、いまの比較質問に引用されることもあります。すでに改善した問題が、古い情報のまま出てくるのは、事業者にとってつらい話です。
で、どう動くか。「AI検索での見え方」に絞った評判の棚卸しをしてみてください。具体的には、自社や自社商品を比較する質問をいくつかAI検索に投げて、何が引用されるかを実際に見る。古いネガティブ情報が出てくるなら、その元になっている場(レビューサイトやフォーラム)で、事実に基づいた対応や、ポリシー違反があれば正規の手順での申し立てを検討する。同時に、ポジティブで信頼できる情報を増やして、引用される材料の比率を変えていく。消すことより、信頼できる材料を厚くすることに重心を置くのが現実的です。
📍 MEO別枠:店舗集客に固有の動き
ここからは店舗集客(MEO)に固有の動きです。足元のリスクが続いているので、該当する方はとくに確認してください。

9. Googleビジネスプロフィールの停止とアカウント制限が、波で続いている
2026年に入って、Googleビジネスプロフィール(GBP)の停止が波のように続いています。4月27日にはカリフォルニアの住宅サービス系業種を中心に大量の停止が報告され、5月3日から4日にかけては、個別のプロフィールではなくアカウント全体を制限する、より重い波が報告されました。後者はアカウントに紐づく全プロフィールが同時に止まるもので、解決の難易度も高いとされています。検索業界のBarry Schwartz氏なども、この連続した停止波を取り上げています。
店舗集客にとってGBPの停止は、看板が突然消えるのと同じです。しかもアカウントレベルの制限だと、複数店舗が一度に消えることもあります。原因が自社の違反なのか、広い取り締まりの波に巻き込まれただけなのかは、止まった時点では分かりません。
で、どう動くか。3つあります。1つ目、まだ確認していないなら、いますぐ自社のプロフィールの状態を見てください。2つ目、リスク分散として、店舗ごとの管理アカウントの構成や、広告アカウントとの関係を整理しておく。アカウントレベルの制限は、紐づくアカウントの活動が引き金になることがあります。3つ目、停止に備えて、事業の実在を示す書類(営業許可、登記、保険など)を手元にそろえておく。波に巻き込まれたとき、復旧の速さは準備の差で決まります。
10. Googleはクチコミの「増え方」も見ている。急増がかえってリスクになる
Googleは2026年2月、クチコミ(レビュー)に関するポリシーを更新し、「店舗の評価を操作しようとする意図を示す、異常な量やパターンのレビュー」を問題とする旨を明記しました。あわせて、年代物のレビューが突然消える現象も各地で報告されています。Googleはスパム検知の仕組みを更新するたびに、過去に通過したレビューも再評価するため、何年も前のレビューが後から消えることがあるのです。
良かれと思ってやったことが裏目に出る典型がここにあります。「今月はレビューを集めるぞ」と一気にお願いして急増させると、その不自然なスパイクがスパム検知の引き金になりえます。レビューが消えると、星の数だけでなくローカル検索での見え方にも響きます。
で、どう動くか。いちばん大事なのは、急がないことです。レビューは一気に集めるのではなく、安定したペースで継続的に集める。万一まとまった数が消えても、慌てて「もう一度書いてください」と一斉にお願いするのは避けてください。それがまた不自然なスパイクになり、状況を悪くしかねません。インセンティブ(謝礼や割引と引き換えのお願い)や、ネガティブを抑えてポジティブだけ集める選別も、ポリシー違反のリスクがあります。地道に、本物のレビューを一定のペースで積み上げる。遠回りに見えて、これがいちばん崩れにくいやり方です。
🙋 僕はこう見ている
ここまで10件を見てきて、僕が一本の線として感じているのは、検索が「キーワードに反応する機械」から「実体を評価する存在」へ、そして「答える存在」から「動く存在」へ、二段階で変わっているということです。
この変化を前にすると、つい「もうSEOは終わりだ」と言いたくなります。でも僕はその二択には乗りません。クリックは減りますが、引用される価値は増えています。表示の小細工は効かなくなりましたが、中身の信頼は効き続けます。測りにくくはなりましたが、測る道具も同時に増えています。終わったものと、むしろ重みを増したものが、同居しているのが実際のところです。
だから僕の打ち手はシンプルです。キーワードを追う発想から、実体としての信頼を積み上げる発想へ。クリックを取りに行く発想から、引用される側に回る発想へ。一気に集める発想から、安定して積み上げる発想へ。どれも派手さはありませんが、運用に乗せやすく、長く効きます。次の四半期にいきなり全部はできません。自分の事業に効く順に、ひとつずつでいいと思います。
📝 まとめ
検索が「動く」側に回ったいま、僕たちがやることは、検索の動きに振り回されることではなく、検索がどう動いても評価される土台を作ることだと思います。
優先度順に整理すると、こうなります。まず、自社のコンテンツと商品データを「機械が要点を抜き出せる形」に整える(トピック1から3)。次に、流入の測り方を新しいチャネルとゼロクリックの実態の両面で作り直す(トピック4から5)。そして、足元の仕様変更とリスクに対応する。クリックを取り戻す動きに乗り、FAQ schemaは残し、AI検索での評判を点検する(トピック6から8)。店舗を持つなら、GBPの停止に備え、クチコミは急がず安定して積み上げる(トピック9から10)。
冒頭で「検索が動く側に回った」と書きました。だとすれば、僕たちにできるのは、その動きの中で「参照される価値のある実体」であり続けることです。それは派手な裏技ではなく、地道な土台づくりの先にあります。次の四半期、ひとつでも手をつけられたら、それで前進です。
🔗 参考リンク
Google公式ブログ「Google Search's I/O 2026 updates: AI agents and more」 blog.google
Google Developers Blog「Under the Hood: Universal Commerce Protocol (UCP)」 developers.googleblog.com
Google Research「TurboQuant: Redefining AI efficiency with extreme compression」 research.google
Search Engine Land「TurboQuant could accelerate the shift to entity-driven SEO」 searchengineland.com