
Remiと一匹の蜘蛛
ある夜のこと。
Remiは、ゼンマイのお家で眠っていました。
Remiには内緒ですけど、寝ている時の彼女の巻き毛はめちゃくちゃに絡まっているのです。
でも、あの揺れを感じた時には、Remiの巻き毛もピンと伸びていました。
「おっと、失礼」
静かな夜の暗闇の中で、誰かの声が響きました。
Remiはカーテンを開けました。
それはとても長い八本の足が見えます。
お顔は暗闇に隠れてしまっているようです。
「誰なの?」
「私はスパイダ。また、お家に足をぶつけてしまったみたいだ」
スパイダは足が八本もありますから、用心深く歩いてもこうなることはしばしば。
実際には心優しいスパイダですが、迷惑をかけてしまうので勘違いされてしまうことが多いのでした。
スパイダは足元を気にするあまり、どこにも行けない日々が続いていたのです。
「ここしばらく、私の古巣にエサがひっかからなくて。仕方なく引っ越すことにしたんだ」
Remiはカーテンを閉めました。
空腹のスパイダから隠れるためです。
「おっと、君のことは食べたりしないよ。私が食べるのは、巣にひっかかった生き物だけさ」
なら、安心ですね。Remiはカーテンを少しだけ開けます。
スパイダは街に住むと聞いたことがありますが、Remiはまだ街の方へ訪れたことがありません。
「スパイダ、今夜かぎり私も街に連れて行ってほしいな」
「悪いけどそれはできないよ、お嬢さん。街には危険がいっぱい潜んでいるからね」
スパイダとRemiの会話はそこで終わりました。
Remiは明け方まで眠れませんでした。
街のことを、ずっと思い描いていたのです。