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【ショートショート】暗がりの果ての光

    toyofumi_t

    私はいつからこの暗がりにいるのだろうか。

    暗くて何も見えず、恐怖で震えることしかできない。

    私の他にも数えきれないほどの大勢がここにはいるらしく、そこかしこで助けを求める悲痛な叫び声が反響している。どうやらかなり広い部屋のようだ。

    私がこの部屋にどうやって来たのかはわからない。あるいは連れて来られたのか、それさえわからない。

    この部屋に来る前の自分が何をしていたのかも定かではない。思い出そうとしても、霞がかかったように曖昧で取り留めのない記憶しか引き出せない。

    すぐ隣にいる奴に尋ねてみても、私と同じように恐怖と混乱に支配されていて、まともな答えなど返ってこない。

    ここにいる誰もが、この状況に耐えることで精一杯だった。


    突然、遠くの方で轟音と共に暗がりの均衡が破れた。

    ーー光だ。

    そう思った直後、大きな力に体を引っ張られた。

    ここにいる者全てを巻き込みながら大きな“うねり”となり、逃げ惑う私たちを巨大な力で飲み込んでいった。

    誰かの体の上に私が乗り上げ、私の体の上を別の誰かが覆い被さる。

    ぶつかり、捻られ、捏ねられ、混ざるーー。

    抵抗することなど到底できない凶悪な渦に吸い込まれるように、私たちは埋もれていった。

    流されるまま、閉じ込められていた部屋から押し出された。部屋の外は暗く長いトンネルだった。

    私たちはそのトンネルに体を押しつぶされそうになりながらも、止まることなく、いや、止めることもできないまま、ただただ圧倒的な力によって飲み込まれ、流されていくだけだった。

    暗がりの果ての光が近付いてくる。

    その先に救いはあるのだろうか。


    目が眩むほどまばゆい空間に放り出された私たちは、白く滑らかな硬い壁に打ち付けられ、落下していく。

    そのさなか、巨大な猿のような生き物が私たちを見下ろしているのが見えた。


    ◆     ◆     ◆


    (ジョディ・フォスター…)

    私は心の中でそう唱えていた。
    こうすると排尿がスムーズになるのだ。

    一瞬、小便器を伝うおしっこが、私の視界の隅をかすめた。
    流れていくおしっこがこちらを見ていたような気がしたが、私は構わず排水ボタンを押した。

    ああ…やっぱりおしっこはスッキリする。



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