
第二十四話『穏やかな時間』
カイと暮らし始めてからの日々は、
とても穏やかだった。
それまでの人生では知らなかったような、
静かな毎日。
カイは結婚したこともなければ、
子どもを育てた経験もなかった。
それでも。
子どもたちと向き合おうとしてくれた。
血の繋がりなんて関係ないと言うように、
ノアにも、
ユースケにも優しく接してくれた。
父親になることに戸惑いながらも、
一生懸命だった。
そんな姿を見ていると、
自然と笑顔になれた。
「家族って、こういうものなのかな。」
少しずつ、
そう思えるようになっていった。
ユースケも三歳になり、
幼稚園へ通い始めた。
新しい制服を着て、
小さなリュックを背負う姿が愛おしかった。
だけど。
母親だからだろうか。
私はずっと感じていた。
「何かが、少し違う。」
他の子とは違う。
そんな小さな違和感が、
心のどこかに引っかかっていた。
それでも、
その頃は深く考えなかった。
考えないようにしていたのかもしれない。
それ以上に、
目の前の幸せを大切にしたかったから。
長い時間を一緒に過ごし、
家族として笑い合える日々が続いた。
そして一年後。
私たちは、
もう一つの小さな命を授かることになる。