
朧月の出
昼過ぎまで雨が降っていたから、
まさか夜に月が見られるとは思っていなかった。
5月2日、深夜。満月を迎える。
「花月(かげつ)」と呼ばれる夜。
百花繚乱のこの時期にぴったりの呼び名だ。
海の向こうでは、フラワームーンと呼ぶらしい。
丘陵の奥から顔を出した5月1日夕方の月。

月の出。
昇りたての月はオレンジに輝き、少し大きく見える。
気がついて、カメラを引っ張り出してきた。
しばらく見入ってしまう。

水分の多い気配が残る中、
月の見えるほうの空は雲一つない。
その反対側では、まだ漆黒の雲に覆われた空がある。
なんだか、得した気分になるから不思議だ。

春は、月がぼんやりして見えやすい。
そんな月のことを「朧月」という。
やっぱり私は、日本の情緒豊かな表現のほうが好きだ。

しっかり昇ってくると、空の色は濃くなり、月は輝きはじめた。
美しい月を眺めながら、心地よい夜風に吹かれ、無言になる。
この後、朧月夜を堪能しようと、ベビーカーを押しながら1時間半も散歩してしまった。
晩御飯を30分で作った自分を、一人でそっと褒めるように、コーヒーを注いだ。
今夜もまた、
月は見えるだろうか。