
6月25日、てんとうむしリクルーターの苦悩。
昨年まではいなかったのに、今年はナスとトウガラシにアブラムシがいる。由々しき事態だ。ハナアブが来てくれたら幼虫が一掃してくれるだろうが、来てくれるかどうかわからないものを待つのは辛抱のいることだ。
するとてっとり早いのはやはり"てんとうむし"。すごい勢いでムシャムシャバリバリ食べてくれる。春にアブラムシに見つかったパクチーが1匹のてんとうむしに救われてから、その後3回ほどてんとうむしを連れてきたが、成功したのは最初の1匹だけだった。
アホみたいな話だが、目下わたしは、てんとうむしのリクルートに苦心している。薬剤は使いたくないし、虫が殺せないというアホみたいな理由からだ。
ただ、この変な性格のおかげで、てんとうむしを少しだけ理解できたかもしれない。これは、ちょっと(だいぶ)妄想も混じった、わたしのベランダ菜園虫観察の記録。
てんとうむし社員①やせっぽちペンペン草出身、勤務期間2日
最初の社員は良い社員だった。
てんとうむしてんとうむし・・・、と、道端を歩いていたら、道路沿いに1本だけ生えていたペンペン草に黒く光るものが目に留まる。背中に2つの赤い星を持つてんとうむしだった。人が見ていない隙にサッとビニール袋に入れて連れ帰る。
そしてアブラムシのいるパクチーに放したら、すごい勢いで・・・、
アブラムシを蹴散らし茎を走っていく。
誘拐されたのだからパニック状態だったのだろう。でも、すぐにアブラムシに気づいて食べ始めた。なぜか小さいものばかりだが、とにかくてんとうむし社員はやる気が見られたので、あまり口を出してはいけないと思い、自由に働いてもらうことにしてわたしはベランダを後にした。
翌朝、てんとうむし社員はまだパクチーにいた。担当部署であるパクチーからはアブラムシが消えていた。
でも、プランターのパクチーは1本ではない。まだ大きな株にアブラムシがいる。どうせならこっちも食べてほしい、とわたしは欲が出た。
こっちはもういいからあっちで働いておくれよ、と、あの手この手でてんとうむし社員を別の株に誘導しようとしたら、社員はここは強引に部署移動させるブラック企業だと判断したのか、パっと飛んでいってしまった。
てんとうむし社員②③:ヒメジョオン住宅出身、即日辞退
種の収穫まで時間がかかりそうだがまだアブラムシがいる。わたしはすぐさま別な社員のリクルートに出かけた。今度はもう目星をつけていた。すぐご近所にヒメジョオンが群生しているのだ。ヒメジョオンにはたくさんアブラムシがつくから、自然てんとうむしもたくさんいる。よりどりみどりだ。
ところが、ヒメジョオンから2名ほど採用したが、いずれも即日辞退されてしまった。アブラムシは目の前にいたのにすぐに飛んでいってしまったのだ。2回連続で失敗してガッカリしたので、人事担当のChatGPTに原因を聞いてみたら、
− あー、それってお腹空いてなかったんじゃない?てんとうむしにも好きなアブラムシとかいるしね。−
との指摘があった。
・・・確かに?
リクルート会場には"赤い"アブラムシが"大量に"いた。一方パクチーについていたアブラムシは緑色だったし、何よりヒメジョオン住宅よりは格段に数が少なかった。
「プレッシャーかけられるくらいなら他所に転職します。別にここでなくても優良企業なんて山ほどあるんで。」
そんなことを言われたような気がした。くそう売り手市場とはこのことか。
そういえば数年前YouTubeでどこかの企業が"社員はオキャクサマ"って放してたっけ。そうかしつこくしてはいけないのだ。こちらから部署を指定してはいけないし、ましてや「SNS用に1枚・・・。」なんて写真を撮ってプレッシャーをかけてはいけない。あくまでそっとしておかなくてはいけない。
そして、リクルートするなら、職(食)を必要としているひとでなくては!
それに気づいた頃にはパクチーの種の収穫をする頃だった。アブラムシは減らなかったが、あさがお用の小さなプランターで、小瓶4分の1ほどの種が収穫できた。枯れたパクチーでシオシオしていたアブラムシは草っ原にリリースしてきた。
てんとうむしリクルーターの苦悩:食がなければ採用できない
そして今、とりわけナスがアブラムシの危機に晒されている。しばらくの間はじぶんでちまちまとアブラムシを取っては捨てしていたのだが、人間の目には限界がある。飛蚊症と老眼と腰痛の3コンボだ。がんばって全部取ったと思っても絶対に翌日にはいるのだ。
やっぱりリクルートしてこようかしら・・・。
しかし、プラスチックのケースを手に取りはたと気づく。
わたしの目に見えない程度のアブラムシということは、"数が少ない"ということだ。数が少ないとてんとうむし社員には仕事(食)が少ない。
ホワイト過ぎても社員はすぐにいなくなってしまう。
アブラムシを食べてくれるてんとうむしをリクルートするには、ある程度アブラムシが増えるまで待たないといけない・・・?
「アブラムシを増やさないと、リクルートできないんだよねぇ。。。」
その晩オットにこんな愚痴をこぼして困惑させた。
てんとうむし社員④:一本立ちヒメジョオン出身、試用期間中。
しかし時はやってきた。いなくなったと思ったアブラムシが翌朝突然大量に発生したのだ(多分わたしの見落とし)。ツボミにワラワラと群がるアブラムシ。この職(食)量ならあるいは・・・!と、わたしは朝の8時から豆腐のパックを持って外に出かけた。
これまでの採用経験をふまえ、餌の豊富なヒメジョオン住宅は避けた。狙うはなるべく貧弱な雑草にうっかり来てしまったうっかりてんとうむし。
「別にわたし不審人物じゃありませんよ」、という風を装って雑草をジロジロ。
ヒョロっとしたヒメジョオンの葉の中で休むてんとうむしを発見。採用!
突然の辞令にてんとうむしはひどく驚いて、移動中の豆腐のパックの中でワタワタしていた。すみません、もう少しの辛抱です!と、なるべく振動がないよう移動する。
そして、そっ・・・とナスに移動してもらう。強制することなく、あくまで自然に。行きたいところは自分で決めていいんですヨ、ただ、目の前にたくさんの仕事(アブラムシ)はいますけど。
すると案の定新入社員はアブラムシがいない方のツボミへと向かっていった。でもここで焦ってはいけない。まずは職場見学をしてもらわなくては。そしてここが居心地がいい場所だと知っていただかねば。
それでも我慢ができず、つい固唾を飲んで見てしまう。よく見ると、何か食べているようだ。わたしが見えなかっただけで、ほかにもアブラムシがいるのかもしれない。写真を撮りたい気持ちをグッと抑えて、わたしはベランダを後にした。
採用から半日経った。ナスのツボミにいたアブラムシはもういない。そして、てんとうむし社員はまだナスにいる。正確にはナスの葉っぱの下にあるバジルの葉っぱで休憩している。まずは試用期間は乗り越えたようだ。
その姿がなんだかかわいくて、ついつい1枚写真を撮る。正確には2枚。
これ、SNSに使わさせていただいて良いですか?

よろしくお願いします!