
苺の魔法使い
長女は帽子をかぶっていて
この季節になると汗をたくさんかく。
ふわふわのくせ毛をかきわけて
頭のにおいをくんくんと嗅ぐ。
私が「ああっ」と言いながら
白目をむくと娘は怒る。
「くさいみたいな顔しないで。苺のにおいでしょ?」
私はうなづく。
次女は靴下を脱いで靴を履くことが多い。
ソファに寝転ぶ娘の足をつかんで
足のにおいをくんくんとかぐ。
私が「うっ」と呻いて
鼻をつまむと娘は怒る。
「苺のにおいでしょっ?!」
と強引にねじ伏せる。
あなたたちが
そう言うのなら、それは苺のにおいとなるのでしょう。
けれど、あなたたちは、
Tシャツを着た私の胸に顔を埋め
「汗くさ」と言い放つ。
苺の魔法が使えないことが
親になるということでしょうか。
朝、私が目を覚ますと
あなたはじっと私を見つめていた。
「オハヨ、今日はカラスの泣き声が目覚まし時計の代わりになったよ。」
私には、もう見えなくなった世界が
あなたたちには見えているのでしょうか。
家の中には、苺の残り香。
mashiro🍓