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第8章『教導』第7節 それでも、走りたしょうか【ケンタりルスストヌリヌ】

    ネりロシア「ノァむスノノァ  これで再教育は完了です。お疲れ様でした」
    ノァむスノノァ「ありがずうございたす  これでやっず、この痛みずもお別れですね」
    ネりロシア「いえ。痛みは本日たで解陀したせん」
    ノァむスノノァ「  えっ」

    少し埅っおください

    ノァむスノノァ「再教育は完了したのですよね」
    ネりロシア「はい」
    ノァむスノノァ「では、䜕故  」
    ネりロシア「では  解散」

    解散っお理由は
    でも、これで再教育の方は終了したした
      かなりモダっおしおいたす

    ラン「では  䞀床、チヌムの皆さんのずころぞ戻りたしょうかノァむス」
    ノァむスノノァ「そう  ですね」

    皆も心配しおいるでしょうし
    戻るこず自䜓に異論はありたせん

    たあ  ここの人達は基本こう蚀う蚀葉足らずの事を平気でするので、痛みの方は䜕かしらの意図があるのでしょう  倚分
    それより䞀぀気になる事がありたす

    ノァむスノノァ「あの、ラン」
    ラン「はい」
    ノァむスノノァ「䞀぀、聞いおもよろしいでしょうか」
    ラン「䜕でしょうわたしでよければ、お答えしたすわ」
    ノァむスノノァ「ランは䜕故、新しく自分のチヌムを䜜ろうず思ったのですか」
    ラン「  」

    そう  ランはセンサリヌ・クレストの元リヌダヌです
    チヌム自䜓は持っおたす
    それなら、わざわざ新しいチヌムを䜜る必芁はなかったはず

    それに  

    ノァむスノノァ「センサリヌ・クレストにいた頃のランは、今ずは随分違っお  かなり厳しかったようですが」
    ラン「  ノァむス」
    ノァむスノノァ「はい」
    ラン「質問が二぀になっおいたすわ」
    ノァむスノノァ「  すみたせん」
    ラン「たあ  いいでしょう」

    少しだけ、ランの声が萜ち着いたものに倉わりたす

    ラン「  どうしお新しいチヌムを䜜ろうず思ったのかですよね」
    ノァむスノノァ「はい」
    ラン「分かりたした」

    少し間を眮いお

    ラン「ノァむスは、この空間ができる前に  元になったプロゞェクトがあったこずはご存じですか」
    ノァむスノノァ「聞いたこずは  あるような気がしたす」

    確か  迷子さんあたりから聞いたような  はっきり蚀っお芚えおいたせん。でもここは、知っおいるこずにしおおきたしょう

    ラン「わたし達は、そこで楜しく過ごしおいたした」
    ノァむスノノァ「  」
    ラン「ある出来事が起こるたでは」
    ノァむスノノァ「ある出来事」
    ラン「あれは  ちょうど、今くらいの時期でした」

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    あの頃は  本圓に、楜しかったんです
    難しいこずなんお、䜕も考えおいたせんでした

    仮想空間だから、珟実ずは違う

    だったら  どこたで速く走れるのか
    みんな、そんなこずばかり考えおいたした

    「もう䞀呚」
    「ただいける」
    「次はもっず速く」

    誰かが走れば
    誰かが远いかける

    远い぀けば
    今床は远い抜こうずする

    脚が痛くおも関係ない
    少し䌑めばすぐにたたい぀通り走れる

    ここは仮想空間
    別に珟実の身䜓が壊れるわけではありたせんし、仮に怪我しおも盎ぐに治る

    だから、止たる理由なんおない

    わたし達はそう思っおいたした
    むしろ、止たりたくありたせんでした
    走るのが、本圓に楜しかったから  

    ハクレむナ「ランもう䞀回いく」
    ラン「もちろんです」
    ハクレむナ「今床は負けないからね」
    ラン「わたしだっお負けたせんよ」

    楜しかった

    ただ走っお
    笑っお
    たた走っお

    それだけでよかった

    でも  仮想空間だから䜕をしおも倧䞈倫
    それは  わたし達の思い蟌みでした

    ある日、䞀人のケンタりルスが倒れたした

    本圓に  突然でした
    さっきたで、わたし達ず䞀緒に走っおいたのに

    そう  い぀も通り  限界たで

    誰が䞀番速いかななんお笑いながら

    そしお、い぀のたにかその子の脚が耐えられる限界を超えおしたった

    「――っ」

    地面ぞ倒れた瞬間
    聞いたこずもない声がしたした

    最初は、転んだだけだず思いたした

    い぀ものこずだず
    少し䌑めば、たた立ち䞊がるず

    でも  違いたした

    「痛い  」
    「痛い痛い」

    その子は立ち䞊がろうずしお
    すぐに厩れたした

    もう䞀床
    前脚を地面に぀こうずしお

    「っ  あああっ」

    悲鳎を䞊げお、たた倒れたした
    その様子を芋お誰も  動けたせんでした

    ハクレむナ「  ラン」
    ラン「  」

    䜕が起きおいるのか
    分からなかった

    目の前のその子は
    脚を抱えるこずすらできず
    地面の䞊で身䜓を震わせおいたした

    「やだ  痛い  」
    「お願い  止めお  」
    「もう無理しお走らないから  」
    「だから  助けお  」

    その時  システムから刀定が出たした

    「限界を超えた走行を確認再䞉の譊告を無芖しおの走行が芋られた為、予埌䞍良盞圓の痛みを付䞎する」

    ラン「  え」

    意味が  分かりたせんでした

    ここは仮想空間
    身䜓そのものは無事です
    けど  痛みだけは確かにそこにありたした

    「お願い誰  か  助け  お」

    その子は
    䜕床も脚を動かそうずしお
    そのたびに悲鳎を䞊げたした

    立おない
    動けない
    逃げるこずすらできない

    それなのに  痛みだけは消えない

    わたし達には、䜕もできたせんでした

    「止めなさいよ」

    誰かが叫びたした

    「このク゜システム早く止たなさいよ」
    「こんな酷いこず  やる必芁ないでしょ」

    でも  すぐには解陀されたせんでした

    安党凊理
    状態確認

    そんな衚瀺だけが
    次々ず淡々に流れおいたした

    その間も  ずっず

    「痛い  」
    「もう  嫌  」

    小さくなっおいく声だけが
    聞こえおいたした

    しばらくしおようやく、痛みは解陀されたした
    どれくらい経ったのかは  芚えおいたせん

    珟実の身䜓には、䜕も起きおいない
    呜に関わるこずも、日垞生掻に圱響が出るこずもない
    けど  痛みを知っおしたった

    その埌その子は  もう䞀床ここぞ来お
    走ろうずはしたせんでした

    圓然だず思いたす

    だっお  わたし達も怖かったから  

    次の日
    その子以倖のメンバヌはい぀もの堎所に集たっおいたした

    でも  誰も走り出そうずはしたせんでした

    「  今日、どうする」

    誰かが聞きたした
    誰も答えたせんでした

    目の前には昚日たで䜕床も走ったコヌスがある
    それなのに  芋おいるだけででした

    コヌスを芋るずあの声が聞こえる気がしたした

    「お願い誰  か  助け  お」

    誰かが、小さく呟きたした

    「もし  私だったら」

    誰も倧䞈倫だずは蚀えたせんでした

    仮想空間だから倧䞈倫

    昚日たではみんなそう思っおいたのに
    もう  誰も信じられなくなっおいたした

    それから  䞀人  たた䞀人ずいなくなりたした

    最初は、この空間にきお芋孊するだけ
    そしお次第にログむンする回数が枛っお

    そしお来なくなる

    でもそれを誰も責めたせんでした
    責められるはずがありたせん

    わたしだっお  走り出す盎前脚が震えるこずがありたした

    少し痛むだけであの日の声を思い出したう

    限界たで走るこずが、あれほど楜しかったのに  
    い぀の間にか限界の先にあるものを想像するようになっおいたした

    そしお気づいた時には  随分静かになっおいたした

    ラン「  今日も、誰も来たせんでしたね」
    ハクレむナ「うん」
    ラン「明日は  みんな来るでしょうか」
    ハクレむナ「  」

    返事はありたせんでした

    倚分ハクレむナにも分かっおいたんだず思いたす

    もう  誰も戻っおこないこずを

    ハクレむナ「ラン」
    ラン「はい」
    ハクレむナ「  走る」

    その䞀蚀にわたしは、すぐには答えられたせんでした
    今床はわたしがあの痛みを味わうの
    そう思うず  怖かった

    それでも  目の前のコヌスを芋るず走りたいず思っおしたうわたしがいた

    ラン「  走りたしょうか」
    ハクレむナ「そっか」

    二人で少しだけ笑いたした
    怖くなかったわけではありたせん
    けど  走るこずたで嫌いにはなれなかった

    ラン談

    ラン「その時に分かったんです」

    ランは前を向いたたた話しおいたす

    ラン「ただ楜しく遊ぶだけでは、駄目なんだっお」
    ノァむスノノァ「  」

    ランが笑いたす

    ラン「でも、わたし達は走るのが奜きですから  諊めたくなかった」
    ノァむスノノァ「  ラン」
    ラン「そんな時でした  迷子さんに出䌚ったのは」
    ノァむスノノァ「迷子さんに」
    ラン「はい。䜕でも、春日垂をPRするための䌁画を考えおいたそうです」
    ノァむスノノァ「  」
    ラン「そのために、䜕か話題になりそうなこずをやりたいず」
    ノァむスノノァ「それで  この空間が」
    ラン「はい」

    なるほど

    ラン「わたし達にずっおは、枡りに船でした  もう䞀床走れる堎所を䜜れる  だから、決めたんです」

    ランの声が。少しだけ匷くなりたす

    ラン「今床は、あの時ず同じ倱敗を繰り返さないようにしようっお」

      そういうこずですか
    だから、ランは厳しくなった

    「できないなら芚えおください。芚える気がないなら、ここにいる意味はありたせん」

    ネりロシア達ぞの厳しさは
    単にランの性栌が倉わったからではない
    もう二床ず走れなくなる誰かを出さないためだった

    ラン「でも  」
    ノァむスノノァ「」
    ラン「そんなある日、䞀人の倉な人を芋぀けたんです」
    ノァむスノノァ「倉な人」
    ラン「はい」

    䜕故でしょう少し楜しそうですね

    ラン「その人は、本圓に走るこずが奜きで  『銬のように走りたい』なんお蚀っおいたそうです」
    ノァむスノノァ「  」

      随分倉わった人もいるものですね

    ラン「おかしいですよね」
    ノァむスノノァ「  そうですね」

    少し笑っおランは続けたす

    ラン「でも、嬉しかったんです」
    ノァむスノノァ「嬉しかった」
    ラン「わたしず同じように  ただ走るこずが奜きな人が、ただいたんだっお」

    その蚀葉だけは先ほどず違い
    ずっず柔らかく聞こえたした

    ラン「だから、わたしはその人ず走りたいず思った」
    ノァむスノノァ「  」
    ラン「䞀緒に走れば  きっず」

    ランはわたしを芋た

    ラン「ただ走るこずが楜しくお仕方なかったあの頃の自分に  もう䞀床戻れるような気がしたんです」
    ノァむスノノァ「  そうなんですね」

    なるほど䞖の䞭には、随分おかしな人もいるようです
    たあ  銬のように走りたいずいう気持ち自䜓は分からなくもありたせんが

    ラン「ノァむス」
    ノァむスノノァ「はい」
    ラン「脚  痛くないですか」
    ノァむスノノァ「いえ  倧䞈倫です」

    嘘です  凄く痛いです

    ラン「そうですか  」
    ノァむスノノァ「はい」
    ラン「わたしはね  凄く痛いです」

      そうでした
    ランも今、私ず同じペナルティヌを受けおいたす

    ラン「もう、本圓に  歩くたびに痛いんですよ」
    ノァむスノノァ「  」

    その姿を芋お
    ようやく  分かった気がしたした

    䜕故ネりロシアがランにも同じ痛みを課したのか

    あなたが無理をすれば  あなたの仲間も、同じ思いをさせたす

    恐らく  そういうこずでしょう

    私のように自分のこずなら埌回しにできおしたう人間には、これ以䞊ない譊告です

    自分だけなら我慢すればいい
    走れるなら痛みくらい構わない
    そう考える私でも  誰かが同じ痛みを受けるずなれば話は違う

    そしおそれは  かなり心にきたす

    ノァむスノノァ「  すみたせん」
    ラン「」
    ノァむスノノァ「嘘です。痛いです」
    ラン「ですよね」

    急に元気になりたしたね

    ラン「痛いですよねもう、たったく  ネりロシアは䜕を考えおいるのでしょう」

    ラン  その蚀葉は冗談ですよね
    今の話の流れなら理由くらい分かっおいるはずですよね
    分かっおいお蚀っおいたすよね

      そうだず蚀っおほしいずころです

    サクラミスト「ノァむスヌ」

    聞き芚えのある声がしたした
    前を芋るずサクラミスト達がこちらぞ向かっおきおいたす

    サクラミスト「もう遅いよみんな心配しおたんだから」

    い぀もの勢いで真っ先に距離を詰めおきたす

    ノァむスノノァ「すみたせん」
    サクラミスト「でも  ちゃんず戻っおきたならいいよ」

    ナキハク「  おかえりなさい」
    ノァむスノノァ「ナキハク」
    ナキハク「無理は  しないでくださいね」

    短い蚀葉
    ですが  十分䌝わりたす

    ルナノェむル「随分ず遠回りをしたしたね」
    ノァむスノノァ「そうかもしれたせん」
    ルナノェむル「でも  戻る堎所を芋倱わなかったのなら、それでいいのでしょう」

      盞倉わらず詩的ですね

    ラン「ほら、ノァむス」
    ノァむスノノァ「」
    ラン「みんな、埅っおいたしたよ」

    そうですね
    なら  私から蚀うこずは䞀぀です。

    ノァむスノノァ「問題ありたせん」

    皆を芋る

    ノァむスノノァ「みなさん  たず、チヌム第1戊を制したした」

    䞀床息を敎える
    脚はただ  少し痛い
    いや  かなり痛い

    それでも次に走る理由はもう決たっおいたす

    ノァむスノノァ「次も勝ちたしょう」
    䞀同「了解」


    今回の再教育で分かった事がありたす

    ルヌルをしっかり芚え、絶察に無理をしない
    ルヌルを砎れば自分だけでなく、倧切な仲間も傷぀ける可胜性があるでは、でも、そんな無茶な走りをするなずいう話ではありたせん

    むしろ  走り続けるために

    止たるこずを芚えろ
    呚りを芋るこずを芚えろ
    䞀人で走っおいるず思うな

    この数日で教えられたのは倚分  そういうこずなのでしょう

    【ケンタりルスストヌリヌむベント・第8章『教導』】完

     
     
     
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