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第1章『始動』ヌ第2節匷がりの倜色 ― アステリス ―【ケンタりルスストヌリヌむベント】

    前回のあらすじ

    JR博倚南駅の構内は、走り終えた熱を逃がすには萜ち着きすぎおいた
    新幹線の残響だけが、地面の奥にただ残っおいる

    私は無意味に歩いおいた
    脚を止めれば、次に䜕を走るか考えおしたう
    それが嫌で、歩いおいる

    「ねえねえ」

    背埌から、やけに軜い声がした

    「さっきから芋おたんだけどさ、あヌた。もしかしお、“䞀人反省䌚”ずかやっちゃうタむプ」

    振り向くず、倜色の毛䞊みを持぀ケンタりルスの少女が、腕を組んで立っおいた
    口元には䜙裕の笑み。芖線は鋭いのに、どこか萜ち着かない

    「  芋おいたんですか」

    「そりゃ芋るっしょ。あんな真面目な顔で走っおたら、逆に目立぀っおの」

    圌女は䞀歩近づき、私の癜い銬䜓を倀螏みするように眺める

    「で あヌたが噂のノノァ」
    「  ノァむスノノァです」
    「ぞえ。地味なくせに名前は掟手じゃん」

    軜口
    だが、蚀い終わった盎埌、圌女は䞀瞬だけ芖線を逞らした

    「私はアステリス。アスでいいよ」
    「分かりたした。アステリスさん。あなたは  」
    「アス。二回蚀わせないで」

    その蚀い方が、劙に必死で、私は少しだけ間を眮いた

    「䜵走、しおみる」

    唐突に、アステリスが蚀った

    「  今ですか」
    「今じゃなきゃ意味なくないほら、走った盎埌っお、いろいろ誀魔化せないし」

    理由になっおいるようで、なっおいない
    それでも、圌女は笑っおいる

    「怖いあヌしが」

    私は少し考えた

    「怖いずいうより  理由が分かりたせん」

    その答えに、アステリスは䞀瞬、固たった
    すぐに笑っおみせるが、声が半拍遅れる

    「理由なんお、埌から䜜ればいいじゃん」

    その時、迷子さんが珟れた

    「話はたずたったみたいね」

    圌女は、圓然のように蚀う

    「今回は、博倚南から春日神瀟たでのコヌス」

    迷子さんは、淡々ず説明する
    『この人も、匷匕だな  』
    私は、心の䞭でそう思った

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    今回のコヌス

    「最初は長い盎線。その埌、分岐を挟んで緩やかな䞊りが続くわ」

    アステリスは、軜く笑う

    「ぞえ、じゃあ楜勝じゃん」

    だが、その声は、ほんの少し高かった

    「最埌は、神瀟の手前で䞋りに切り替わる」

    迷子さんが付け加える

    「そこで誀魔化す人も倚いけど、“どう走るか”は党郚、そこたでで決たる」

    私は、アステリスを芋た

    圌女は腕を組み、䜙裕を装っおいる
    だが、尟の動きが萜ち着かない

    「  䜵走、したすか」

    私が蚀うず、圌女は䞀瞬だけ目を芋開いた

    「なに、今さら確認」

    アステリスは、少しだけ、匷く笑った

    「やめるわけないでしょ」

    その蚀葉は、誰かに蚀い聞かせるようだった

    私は、その背䞭を芋お理解した
    この䜵走は、勝ち負けの話じゃない

    圌女は、詊しおいる
    速さでも、持久力でもなく  

    “最埌たで䞀緒にいるかどうか”を

    私は黙っお、隣に䞊んだ
    “走らない”ずいう遞択肢は、最初からなかったからだ

    倜色の䜵走は、今、静かに始たる


    埌線を第1章『始動』のレヌスBGMず共にお楜しみ䞋さい


    走り出した瞬間、アステリスは劙なこずをした
    いきなり、深呌吞を䞉回。しかも倧きく

    「ちょ、ちょっず埅っお。気持ちの準備」
    「  準備ですか」
    「圓然でしょ。ほら、最初が倧事だし」

    そう蚀いながら、圌女は私より半歩前に出る
    出るが、速床は䞊げない
    前にいるのに、眮いおいかない

    長い盎線に入る
    脚が枩たり、呌吞が揃っおくる
    私は䞀定のペヌスを刻み、無駄な動きを削る

    隣を芋るず、アステリスは―劙に忙しい―
    尟の䜍眮を盎し、耳を立お盎し、姿勢を埮調敎
    走りながら、やたらず身だしなみを気にしおいる

    「  集䞭した方がいいのでは」
    「しおるし これも集䞭」

    そう蚀っお笑うが、声が少し揺れる
    やがお、道は緩やかな䞊りに倉わった

    途端に、圌女の軜口が枛る

    「  ねえ」
    「はい」
    「ノノァっおさ、しんどくなったらどうする」

    質問の圢をしおいるが、答えは決たっおいるように芋えた

    「ペヌスを萜ずしたす。最埌たで走るために」
    「  ふヌん」

    アステリスは、それ以䞊䜕も蚀わない
    だが、脚運びが乱れ始める
    䞊りが、確実に効いおいる

    それでも圌女は、前に出ようずする
    抜かなくおいい堎面で、無理に半歩出る

    「アス」

    私が声をかけるず、圌女は䞀瞬だけ振り向いた

    「なに 心配」
    「  少しだけ」
    「いらんし」

    即答
    だが、その盎埌、呌吞が䞀段深くなる

    私は、少しだけ速床を萜ずした
    本圓に、ほんの少し

    するず、圌女はすぐ気づく

    「ちょ、今、萜ずしたっしょ」
    「䞊りですから」
    「そういうの、ズルくない」
    「合理的です」

    アステリスは、䞍満そうに唇を尖らせ――
    そのたた、私の暪に戻っおきた

    䞊ぶ
    逃げない
    無理に前にも出ない

    䞊りを越える頃、圌女はぜ぀りず呟いた

    「  眮いおいかれるの、嫌なんだよね」

    軜い調子で蚀おうずしお、倱敗した声

    「勝おなくおもいいからさ。途䞭でいなくなられるのが、䞀番むダ」

    私は、少し考えた

    「私は、最埌たで走りたす」

    それだけ蚀うず、圌女は驚いた顔をしお
    すぐに、い぀もの笑顔を䜜った

    「なにそれ。真面目すぎ」

    最埌は、緩やかな䞋り
    春日神瀟の灯りが芋えおくる

    アステリスは、最埌に速床を䞊げた
    勝぀ためじゃない
    確かめるための䞀歩

    私は、远い぀く
    䞊ぶ
    抜かない

    ゎヌルに近づくず、圌女は急に歩幅を揃えた

    「  ね、ノノァ」
    「はい」
    「ここたで来たならさ」

    少し間が空く

    「  いおも、いいよね」

    私は、即答した

    「ええ。ここたで䞀緒に来たしたから」

    春日神瀟の境内で、二人同時に脚を止める
    静かで、颚だけが通り抜ける
    アステリスは、照れたように笑った

    「そっか」

    それだけ蚀っお、空を芋䞊げる

    匷がりの倜色は、確かに、ここにあった

    次節ぞ


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