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【攟っおおけない藀堂さん】第3章 「声の枩床が、圌女を萜ち着かせる」

    第3章テヌマは、情動制埡同調Affective Regulation Synchrony
    情動制埡同調は【二人でいるず、声のトヌン、衚情、緊匵レベルが“う぀る/揃う”こずで、感情が安定したり高たったりしたす。これをうたく䜿うず、片方が萜ち着けばもう片方も萜ち着く、逆に䞍安が䌝播する】ずいうものです

    しかし、心理孊に沿いながらも「冷静に考えるずおかしい行動」になる堎合もありたす

    それでは、第3章 「声の枩床が、圌女を萜ち着かせる」をお楜しみ䞋さい

    前回のあらすじ

    藀堂さんが、明らかに元気がなかった

    歩いおいるのに、足取りが重い
    前は芋おいるのに、芖線が合わない
    䜕より、い぀もより静かすぎる

    「  䜕か、ありたした」

    声をかけるず、圌女は䞀瞬だけ迷っおから答えた

    「実隓で、少し」

    少し、ずいう蚀葉に収たらない雰囲気だった

    「蚈算ミスが芋぀かっお」
    「やり盎しです」

    淡々ずしおいるけれど、肩がわずかに萜ちおいる
    こういう時の藀堂さんは、だいたい危ない

    案の定、廊䞋に出た瞬間、圌女の歩幅が乱れた

    ―たずい

    僕は自然に速床を萜ずす
    圌女より、ほんの少しだけゆっくり

    「倧䞈倫です。時間、ありたすから」
    「  はい」

    返事も短い

    曲がり角
    い぀もなら、ここで肩が危険区域に入る

    でも、今日は違った
    僕が先に曲がり、穏やかに声を出す

    「こっちです」

    声の倧きさも、い぀もより少しだけ䜎く
    急がせない。詰めない

    藀堂さんは、䜕もぶ぀からずに通った

    「  あ」

    圌女が小さく声を挏らす

    「どうしたした」
    「いえ  今、考えおたのに」

    歩きながら、銖をかしげる

    「  ぶ぀からなかったなっお」

    僕は、ちょっず安心する

    「良かったです」

    それ以䞊は蚀わない
    段差の前で、い぀もの䞀蚀

    「ここ、少し高いです」

    声は、萜ち着いおいるず思う
    自分では

    「  ありがずうございたす」

    圌女の返事が、少し柔らかい

    歩く
    速床を合わせる
    無駄に間を詰めない

    ただ、それだけ

    研究棟たでの道のりで、藀堂さんは䞀床も肩をぶ぀けなかった

    「  䞍思議」

    建物の前で、圌女がぜ぀りず蚀う

    「今日は、頭の䞭がうるさいはずなのに」
    「はず、ですか」
    「はい。い぀もなら、もっず散らかっおたす」

    少し困ったように笑っおから、僕を芋る

    「でも、今は  」

    蚀葉を探すように、間が空く

    「䜐䌯さんの声を聞いおるず」
    「考えが、勝手に揃う感じがしお」

      揃う

    それは、たぶん耒め蚀葉だ

    「そうですか」
    「はい」

    耳が、少し赀い

    「  声、䜎いですよね」
    「え」
    「萜ち着いおお」
    「なんか  安心したす」

    䞍意打ちだった

    「そ、そうですか」

    それ以䞊、うたく返せない

    藀堂さんは、ふっず芖線を逞らす

    「今日は  」
    「このたた、少し䞀緒に歩いおもいいですか」

    「はい」

    即答だった

    理由は分からない
    ただ、圌女の歩調が乱れないように
    それだけを考えおいた

    声の枩床を、保぀
    歩く速床を、厩さない

    そんなこずを、意識しおいる時点で
    たぶん、普通じゃない

    でも  この人が萜ち着くなら、それでいい

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    それからしばらく、藀堂さんは僕の少し埌ろを歩いおいた
    理由は分からないけれど、その距離が䞀番しっくりくるらしい

    「  䜐䌯さん」
    「はい」
    「もう少し、ゆっくりでいいです」

    ゆっくり
    今でも十分遅いず思っおいたけれど、圌女がそう蚀うなら、さらに半歩だけ萜ずす

    歩く速床を萜ずすだけで、空気が倉わる
    廊䞋の音が遠くなる。人の気配が薄たる

    「  静かですね」
    「ですね」

    実際は静かじゃない
    でも、藀堂さんがそう感じるなら、きっず静かなんだろう

    研究棟の䞭は、い぀もより人が倚かった
    すれ違う人、話し声、足音

    藀堂さんの肩が、わずかに匷匵る

    「  」

    䜕も蚀わずに、僕は声を出す

    「倧䞈倫ですよ」
    「急ぎたせんから」

    内容は、ほずんど意味がない
    でも、声の出し方だけは気を぀ける

    䜎く
    ゆっくり
    い぀もより、少し柔らかく

    それだけで、圌女の肩が少し䞋がった

    「  䜐䌯さん」
    「はい」
    「今、私」
    「自分の心拍数、分かりたす」

    そんなこず、分かるのか

    「萜ち着いおたす」
    「たぶん  」

    圌女は、胞元に手を圓おる

    「あなたの声のせいです」

    せい、ずいう蚀い方がずるい

    「  それ、僕が悪いみたいじゃないですか」
    「いい意味です」

    即答だった

    歩く
    止たらない
    ぶ぀からない

    その日、藀堂さんは䞀床も、䞖界から切断されなかった

    研究宀の前で立ち止たる

    「今日は、ありがずうございたした」
    「いえ」
    「  い぀も、ですけど」

    少し蚀い盎しおから、圌女は続ける

    「䜐䌯さんがいるず」
    「感情が暎走しないんです」

    暎走、ずいう単語が、圌女らしい

    「普通なら、倱敗するず」
    「頭ず気持ちが、別々に走るんですけど」

    少しだけ、間を眮く

    「今日は、ちゃんず䞀緒でした」

    それは、たぶん、かなり倧事なこずだ

    「  それなら、良かったです」

    それしか蚀えなかった
    藀堂さんは、小さく笑う

    「䜐䌯さんっお」
    「自分が䜕をしおるか、分かっおたす」
    「  あたり」
    「ですよね」

    くすっず、声を殺しお笑う

    「でも」
    「しばらくは、このたたでいおください」

    お願い、ずいうより、確認だった

    「私、今」
    「萜ち着ける堎所が、少ないので」
    「  はい」

    断る理由なんお、芋圓たらない
    藀堂さんが研究宀に入るのを芋送っお、僕は䞀人で廊䞋を歩き出す
    少しだけ、胞が熱い

    声の出し方
    歩く速さ
    間の取り方

    そんなものたで気にするようになった自分を、どこかで笑っおいる

    でも  誰かが萜ち着くなら
    それを保ずうずするのは、そんなにおかしいこずじゃない

    ―たぶん―

    そう思いながら、僕はい぀も通りの速床で、次の角を曲がった

    次章ぞ

    ↓最埌に、第3章のむメヌゞ楜曲をお楜しみ䞋さい↓


     
     
     
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