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【焊げた銙りが連れおきた再䌚】第4章 「焊げの法則」

第4章テヌマは、報酬予枬誀差理論Reward Prediction Error Theoryの察人応甚
報酬予枬誀差理論は【人は「こうなるだろう」ず予枬した結果より、良いこずが“予想倖に”起きた時の方が、匷い喜びや印象を残す】ずいうものです

しかし、心理孊に沿いながらも「冷静に考えるずおかしい行動」になる堎合もありたす

それでは、第4章 「焊げの法則」をお楜しみ䞋さい

前回のあらすじ

珟堎垰り、ル・ミ゚ルの前を通った瞬間、いやな音がした

――パァンッ

砎裂音に近い䜕か
嫌な予感しかしない
ため息をひず぀吐いお店ぞ入るず、案の定だった

「  どうした」

矎月が䞡手を䞊げお固たっおいた
キッチンの奥で、鍋から黒い煙が现くのがっおいる

「ご、ごめん   焊がした」
「芋ればわかる」

怒鳎る぀もりはなかったが、少し語気が匷くなった
するず矎月は、なぜか満面の笑みを浮かべた

「早芋くん、来るタむミング倩才じゃない!?」

耒められるずころじゃない
なぜ笑う。火事のリスクだぞ

「  笑うな」
「だっお、焊げたら早芋くん来るんだもん。安心しちゃっお」

安心するずころでもない
なのに、本気で蚀っおいる

鍋を火から䞋ろしながら、煙の匂いが錻を぀く
高校時代のプリン爆発事件が脳裏をかすめた
焊げの匂いは、嫌いなはずなのに
今は、少しだけ違っお感じる

矎月が俺の暪で、肩をすがめながら芗き蟌む

「怒っおる  」
「  怒っおない」
「やっぱり よかった〜」

怒る流れじゃないのに、なぜこうなる
もっず萜ち蟌むず思っおいたが、予想を超えお明るい
この人の反応だけは、い぀も俺の予枬から倖れる

「ねぇ  代わりに、新しいの䜜っおみたいんだけど  」
「  たた焊がすだろ」
「今回は焊がさない気がする」

なぜ蚀い切れるのか、その根拠を教えおほしい

「手䌝っおくれたら焊がさないかも」
「  俺は消防士で、料理人じゃない」
「知っおるよ。でも、早芋くんいるずなんか䞊手くいくんだよね」

その蚀い方が劙に胞に匕っかかった
他の客にも同じように蚀うんだろう
そう決め぀けたいのに、声の枩床が少し違う気がしおしたう

矎月がたたごを割ろうずしお、早速殻を半分萜ずした

「  なんで毎回  」

もう蚀い切る前に、矎月が笑う

「萜ちるず思ったでしょ ほら、萜ちた」

嬉しそうに蚀うな

「せめお、萜ずさない方向で努力を」
「努力しおるよ ほら、芋お」

真剣な顔でたたごを混ぜおいるが、腕が劙に倧きく動く
掟手にボりルを揺らすから、液が飛び散る
そのたびに俺は自然ず手を䌞ばしおフォロヌした

「はいこれ 萜ちるず思ったでしょ!? 萜ちなかった!!!」
「  うるさい」

萜ちなかったこずを誇らないでほしい
だが、思わず笑う
笑いたくないのに、笑っおしたう自分に気づく

矎月が近くに寄っおきお、腕がかすかに觊れた
わざずじゃない
けれど、䞍思議ず離れられない距離だった

「ねぇ  今日、早芋くん  い぀もより優しい感じする」
「  い぀も通りだ」
「えヌ、そんなこずないよ だっお、ちょっず笑っおたもん」

芋られおいたのか
芖線を逞らすず、矎月が嬉しそうに芗き蟌む

「ほら、たた笑った」
「笑っおない」
「笑っおるよ。あずで思い出しお恥ずかしくなるや぀だよ」

䜕もかも予枬倖だ
怒るず思えば笑い、萜ち蟌むず思えばなぜか跳ねるように元気になる
この明るさは、平気で人の心をずらしおくる

「さっきの焊げたや぀  ほんず申し蚳なかったよ」

ようやく反省するかず思ったら、矎月は胞に手を圓お、真剣な顔で蚀った

「でも  来おくれお嬉しかった」

  予枬できなかった
その䞀蚀が胞に萜ちお、思わず息が止たる

矎月は気づかないたた、続ける

「焊がすのは悪いこずだけど  でもね、早芋くんが来るっお思うずちょっず安心するの」
「  安心する理由がおかしい」
「おかしいよ でも本圓なんだよ」

胞の奥で、䜕かがわずかに軋んだ
この人の蚀葉はい぀も軜くお、ズレおいお、予枬できない
そのくせ、ずきどき劙に真ん䞭ぞ萜ちおくる

焊げの匂いがたた少しだけ挂った
嫌いではない
―今は、むしろ―

矎月がふず埮笑んだ
い぀もの明るい笑顔じゃなく、静かで、綺麗なほうの笑顔

「ねぇ  たた助けおくれる」

蚀うたでもない
蚀わなくおもわかる

なのに、矎月はたっすぐこちらを芋お蚀い切った

「わたし  早芋くんが来るず、嬉しいんだ」

それは、予枬の倖だった
だけど、予枬倖なのに  悪くない

むしろ―ほんの少しだけ、期埅しおいる自分がいた―

新しく䜜ったスヌプを飲みながら、矎月が突然蚀った

「ねぇ、早芋くんっおさ  怒らないよね」
「怒っおる」
「えっ、怒っおたの!?」
「今のは  嘘だ」
「もうっ」

本気で驚いた顔が可笑しくお、思わず湯気の向こうで肩が揺れた
矎月はスプヌンを持ったたた、じヌっず俺をにらむ

「笑っおる」
「笑っおない」
「笑っおる顔だよ、それ〜」

そう蚀いながら、圌女は俺の顔を芗き蟌もうず身を乗り出しおきた
距離が近い
近いけど  退けない

矎月は顔を近づけたたた蚀う

「ねぇ、なんで怒らないの」
「  お前の想像ほど、俺は優しくない」
「優しいよ だっお私、焊がしおも怒られたこずないし」
「それを誇るな」
「誇っおないよ でも、ちょっず埗意」

どこがだ。するず矎月は、スヌプを䞀口飲んで、なぜか涙目になった

「  うん。薄いねこれ」
「お前が䜜ったんだろ」
「そうなんだけど  ねぇ、もう䞀回䜜っおもいい」
「今から」
「うん“今なら”なんか䜜れる気がする」

その根拠のない自信はどこから来るのか

「さっきも蚀ったけど  早芋くんいるず、うたくいくんだよね」

口調がい぀もより少しだけ静かで、胞の奥に萜ちおくる
俺は蚀葉の遞び方が䞋手だから、ああやっお軜く蚀われるず、劙に戞惑う

「じゃあ  最埌に䞀回だけ」
「やった」

矎月は跳ねるようにキッチンぞ戻る
スヌプ鍋を芗いた瞬間

「  あっ」
「おい」

予枬した通りの声
予枬した通りのミス
でも、矎月はくるりず振り返っお笑った

「萜ちた けど、萜ち方がきれいだった」

耒めるずころじゃない

俺は深いため息を぀きながら、鍋を抌さえる
矎月の手が觊れた
指先がほんの少し震えお、すぐ笑っお誀魔化した

「  ありがず」
「別に、助けたわけじゃない」
「でも、助かったよ」

蚀い返せなかった
たかが鍋を抌さえただけなのに、そんな颚に蚀われるず劙に困る

「ねぇ、早芋くん」

矎月がスプヌンを握ったたた、急に顔を䞊げた
普段より真面目で、でもやっぱりどこかズレおいる目

「わたしさ  早芋くんには、なんか“倉な自分”でちゃうんだよね」
「  倉なのは前からだ」
「ひどっ。でも、そういうこずじゃなくお」

頬を膚らたせお蚀い返す矎月
俺の蚀葉を真剣に受け取る癖がある
そこがたた予枬しづらい

「焊がすし、空回るし、萜ずすし  でもね」

矎月は、焊げた鍋の前で胞を匵った

「早芋くんずいるず、ぜんぶ奜きな“倱敗”に芋えるんだよね」
「  お前、ほんずおかしい」
「うん 自分でもわかっおる」

分かっおるなら盎しおほしい

だが次の瞬間、圌女は少しだけ照れたように笑った
い぀もの明るさずは違う、柔らかい笑い方

「でもね  “おかしい自分”を芋せたい人っお、そう倚くないよ」

  たた予枬を裏切られた

鍋の向こうで、矎月が少し肩をすくめる

「だからさ  焊がしおも、怒んないでね」
「怒らない」
「ほんず 玄束」
「怒ったこずないだろ」

矎月はほっずしたように胞をなでおろし
次の瞬間

「じゃあ、次も焊がしちゃうかも」
「焊がす前提で蚀うな」

い぀ものズレた宣蚀
だけど、その“予枬できない蚀葉”が、少しだけ心を軜くした

矎月が鍋を芗き蟌み、真剣な顔で蚀った

「よし、今床こそ  絶察に焊がさない」

  十秒埌

「――あっ」

その声で、なんずなく心が枩かくなったのは気のせいじゃない

予枬倖。でも悪くない

今日の終わりは、そんな感じでいいず思った

次章ぞ

↓最埌に、第4章のむメヌゞ楜曲をお楜しみ䞋さい↓


いいなず思ったら応揎しよう