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思い出せない恋人より、忘れられない人がいる ――記憶喪失の秘書は冷徹社長に溺愛される 第2章思い出せない過去2⃣

    「ありがとうございます。でも大丈夫です」

    そう返した、その瞬間。

    「……何の話だ」

    低く、鋭い声が割り込んできた。

    はっとして振り向く。

    そこには、光林社長が立っていた。

    いつの間に。

    その視線は、まっすぐに私ではなく、男性社員へと向けられている。

    「いえ、広中さんが復帰されたばかりなので、少しフォローを――」

    「その必要はない」

    言い切る声に、空気が一瞬で冷える。

    「彼女の仕事は、すべて私が把握している」

    淡々とした口調だった。

    けれど、その中に明らかな拒絶が混じっている。

    「……失礼しました」

    男性社員はそれ以上何も言えず、軽く頭を下げてその場を離れた。

    残されたのは、私と社長だけ。

    重たい沈黙が落ちる。

    「……あの」

    戸惑いながら声をかける。

    「今のは……」

    「余計なことをされる必要はない」

    遮るように言われる。

    その言い方に、思わず言葉を失った。

    いつもは、あんなに穏やかなのに。

    どうして、こんな――

    「……すみません」

    反射的に謝ってしまう。すると。

    「違う」

    すぐに否定された。

    その声は、さっきまでとは違っていた。

    わずかに、柔らかい。

    「君が謝ることじゃない」

    そう言って、社長は一歩近づく。

    また、距離が縮まる。逃げようとは思わない。

    でも、その近さに、胸がざわつく。

    「……あまり、他の男に簡単に近づくな」

    低く、抑えた声。

    その言葉の意味を、理解するのに少し時間がかかった。

    「……え?」

    思わず見上げる。

    すると、社長は一瞬だけ視線を逸らした。

    まるで、自分の言葉に気づいたように。

    「……仕事の話だ」

    そう付け加える。

    けれど、その言い訳が不自然なのは、誰の目にも明らかだった。

    私は何も言えなかった。

    ただ、胸の奥が強く打つのを感じていた。

    どうして、そんなことを言うのだろう。

    どうして、そんな顔をするのだろう。

    まるで――私を、誰にも渡したくないみたいに。

    その考えが浮かんだ瞬間、息が詰まった。

    知らないはずなのに。

    分からないはずなのに。

    どうしてか、その感情だけは――はっきりと、伝わってきた。

    その日の夕方。

    社長室に呼ばれ、書類の確認を終えたあとも、私はすぐに立ち上がることができなかった。

    机の上に視線を落としたまま、指先をぎゅっと握る。

    聞きたいことが、ある。

    けれど聞いてしまっていいのか、分からない。

    「……どうした」

    先に声をかけてきたのは、社長の方だった。

    静かな声。

    けれど、その奥にわずかな緊張が混じっている気がした。

    「……あの」

    ゆっくりと顔を上げる。

    視線が、ぶつかる。逃げ場のない距離。

    「私たち……昔、どんな関係だったんですか?」

    言った瞬間、空気が止まった。

    社長の表情が、わずかに揺れる。

    ほんの一瞬。それでも、見逃せないほどの変化だった。

    「……何でも言い合える仲だった」

    少し間を置いて、そう答えた。

    低く、落ち着いた声。

    けれど、どこか苦しそうにも聞こえる。

    「楽しいことも、嬉しいことも」

    続けるように、言葉が紡がれる。

    「時には、仕事の意見を交換することもあった」

    淡々とした説明。

    けれど、その一つひとつが、やけに重く胸に落ちてくる。

    「……そんな仲だったんですか」

    ぽつりと呟く。

    頭では理解できる。信頼関係のある、いい関係。

    上司と部下として、理想的な距離。

    それなのにどうしてだろう。

    それだけでは、足りない気がする。

    「それだけ、ですか?」

    気づけば、そう聞いていた。

    自分でも驚くほど、言葉が勝手に出た。

    社長は、何も答えない。

    ただ、じっと私を見つめている。

    その視線が、痛いほどに真っ直ぐだった。

    やがて。

    「……ああ」

    短く、肯定する。それ以上は、何も言わない。

    沈黙が落ちる。私は、その答えを受け止めきれずにいた。

    何でも言い合える仲。それは、きっと本当なのだろう。

    嘘ではない。でも――全部でも、ない。

    そう感じてしまう。

    「……そう、ですか」

    小さく頷く。それ以上、踏み込むことはできなかった。

    けれど胸の奥に、確かな感情が残る。

    それを覚えていないなんて。

    その時間を、何も知らないなんて。

    ひどく――もったいない気がした。

    大切なものを、丸ごと失ってしまったような。

    そんな、空虚さ。ふと、社長の手元に視線が落ちる。

    握られたままのペン。

    力が入りすぎているのか、わずかに震えていた。

    その理由を、私はまだ知らない。

    知らないはずなのに。どうしてか、分かってしまう。

    この人は、きっと――何かを、隠している。

    そしてそれは、私に関係することだ。

    「……失礼します」

    これ以上そこにいられなくて、私は頭を下げた。

    ドアへ向かいながら、胸の奥を押さえる。

    苦しいのは、思い出せないからだけじゃない。

    本当のことを、知らされていないからだ。

    それでも。――知りたい。

    そう思ってしまう自分が、いた。


     
     
    ChatGPTを使ってAI漫画を作成しています。 オフィスラブを中心に恋愛ファンタジーも描きます。 漫画に興味ある方はぜひフォローお願いします。

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