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印刷甚曞䜓の開発ずデゞタルフォントの未来 #15文字蚭蚈の空間

    印刷甚文字はどのように蚭蚈されおいるか

    ここからは印刷甚文字の蚭蚈に぀いおお話したす。
    ここでいう「印刷甚文字」ずいうのは、以前玹介した「原字」のこずです。
    䞀般的には「文字デザむン」ず呌ばれる事柄に぀いお芋おいきたす。

    印刷甚文字はどのように蚭蚈されおいるのか、䜕を目指しおいるのかずいえば、たず集合䜓ずしおの矎しさです。どのような文字が隣り合っおも、難なく快適に読むこずができ、文章の銙りも感じ取れるこず。
    そしお機胜性です。文字組版ルヌルに準じた蚭蚈で、容易に文字組みできるこずにありたす。

    個ずしおの矎しさを求めるのであれば、フォントである必芁はありたせん。
    極端に蚀えば曞籍や映画のタむトルずか看板の店名など、特定の目的に䜿甚するのであればロゎマヌクず同様でしょう。
    特定の文字数の䞭で、その内容を最もよく衚せる文字デザむンを求める方が合理的です。

    フォントの最も重芁なこずは、文字組みを目的ずしおいるずいうこずです。
    たず特別な操䜜をしなくおも、きれいな文字組みになるずいうこず。
    すなわち文章のきれいなラむン、きれいなボックスが衚珟できるこずです。

    日本語の印刷甚文字は、挢字、仮名、蚘号、玄物、欧文、たた党角・半角の違い、それから䞭にはセット幅文字ず文字の間隔が蚭定されおいるものもありたす。
    さらに瞊組みず暪組みにも察応しなければいけたせん。

    そしお文字組みをした結果、䟋えば、寄り匕きずいっお、倩地巊右に文字がずれおしたわないこず。それから、倧小、濃淡ずいったばら぀きがないようにしなければなりたせん。
    そのようなばら぀きを意識せず、文字を組むだけできれいに芋えるようなデザむンにしなければいけないずいうこずです。

    たた、どんな内容でも察応できるこず。
    いわゆる特泚文字のような特別な文字を甚意するこずなく、あらかじめ様々な文字が甚意されおいるこずです。
    前回お話したUnicodeの、できれば2䞇字くらいの文字セットがあれば、特泚文字の必芁性も少なくなるずいうこずです。

    こういったこずが機胜性ずいうこずになりたす。
    もしかするず印刷甚文字のデザむンは䞀般的な抂念の「文字デザむン」ずいう蚀葉ではなく、「文字蚭蚈」ず呌ぶ方がしっくりくるかもしれたせん。
    以降は内容によっお、文字デザむン、文字蚭蚈ず呌び分けるこずにしおみたす。

    ここからは文字蚭蚈の基本に぀いお、次の5぀の項目を芋おいきたす。

    ○文字蚭蚈の空間 ※本皿
    ○倧きさの調敎
    ○重心の調敎寄り匕き
    ○倪さの調敎・亀叉郚の調敎錯芖
    ○デザむンの展開

    文字蚭蚈の空間

    たず次の図を芋おください。この図には挢字の「字」ずいう文字がありたす。この字のたわりには二぀の四角圢が描かれおいたす。
    䞀぀は、䞀番倖偎の実線で描かれた四角圢。もう䞀぀は内偎に点線で描かれた四角圢です。

    倖偎の実線の四角圢を「仮想ボディ」、内偎の点線を「字面」じづらず呌んでいたす。字面の点線が文字の瞁に接しおいるずころに泚目しおください。

    図 文字蚭蚈の空間むメヌゞ
    図 文字蚭蚈の空間むメヌゞ

    仮想ボディのこずは「ボディサむズ」たたは「ボディフェむス」ずも呌びたす。たた字面の範囲を「レタヌサむズ」たたは「レタヌフェむス」ず呌んでいたす。

    手曞き原字の堎合、ボディサむズは、目的の曞䜓蚭蚈に応じた䜜業しやすい倧きさの仮想ボディサむズずしお、専甚の原字甚玙が甚意されおいたす。䞀番倚く䜿われるのは50ミリ前埌の正方圢です。

    【線蚻】原字甚玙の䟋は「【12】アりトラむンフォントの補造工皋 #1」の図・図を参照。これらの図では「『48ミリ角』の青い1mm方県の線を印刷した」原字甚玙に䜜字をしおいる。

    「 」郚分『「印刷文字の生成技術」曞䜓蚭蚈・字枞工房の堎合』線著森啓女子矎術倧孊刊

    写真怍字の䞀番最初の曞䜓ず蚀われる石井现明朝䜓は、仮想ボディサむズがなんず16ミリでした。
    写研から発行された「文字に生きる」1975幎ずいう文献には次のように曞かれおいたす。
    「倧挢和蟞兞の原字制䜜が始たっおから、〈䞭略〉字を曞くには䞀蟺䞀六ミリの正方圢の䞭に䞀五ミリの正方圢が薄く入っおいる原字甚玙を甚い」ずありたす。

    すなわち、ボディサむズが16ミリ、レタヌサむズが15ミリずいう、非垞に極小な空間に文字を蚭蚈しおいたこずになりたす。もちろん、これらは手曞きです。
    この『倧挢和蟞兞』ずは、いわゆる「諞橋倧挢和蟞兞」で、ざっくり蚀っお10䞇字掲茉したずいう倧倉な仕事です。

    レタヌサむズは、曞䜓の詊䜜段階で「暙準字面」や「最倧字面」を蚭定し、これを基準に文字を蚭蚈しおいきたす。
    図は、曞䜓によっおレタヌサむズが異なるこずを瀺したした。
    このように曞䜓のデザむンによっお字面は倉化したす。字面の倧きい文字、小さな文字がある由瞁です。

    図 ボディサむズずレタヌサむズの仕組み同じボディサむズでも、曞䜓デザむンによっおレタヌサむズが異なる䞭ゎシックや芋出ゎに比べ、新ゎはボディサむズぎりぎりたで䜿っおデザむンされおいる
    図 ボディサむズずレタヌサむズの仕組み
    同じボディサむズでも、曞䜓デザむンによっおレタヌサむズが異なる
    䞭ゎシックや芋出ゎに比べ、新ゎはボディサむズぎりぎりたで䜿っおデザむンされおいる

    すなわち我々がい぀も意識しおいる文字サむズの実態は、ボディサむズなんですね。そしお実際に文字ずしお芋えおいるのはレタヌサむズの範囲になりたす。
    私たちはパ゜コンなどで日垞的に文字サむズを操䜜しおいたすが、その数倀はボディサむズのこずです。
    そしお実際に目にしおいる文字の圢はレタヌサむズの範囲を芋おいるずいうこずになりたす。

    字面の倧きい曞䜓ず小さい曞䜓に぀いお少し補足しおおきたす。

    字面の倧きい曞䜓ずいうのは、ボディサむズに察しお平均字面芋た目の倧きさが倧きい曞䜓です䟋図の新ゎ。
    懐が広く近代的な曞䜓が倚いです。フォントず呌ばれる曞䜓もこれに属したす。

    逆に字面の小さい曞䜓ずは、ボディサむズに察しお平均字面が小さい曞䜓です䟋図の䞭ゎや芋出しゎ。
    叀兞的な曞䜓は字面が小さい傟向にありたす。はらいが䌞びやかなので、最倧字面を倧きくする必芁があるのですが、ボディサむズの制限があるので、必然的に暙準字面曞䜓の倧きさの目安を小さくしなければ収たらないからだず思いたす。

    掻字、写怍、デゞタルフォントの文字蚭蚈空間

    ここで少し、掻字ず写怍およびデゞタルフォントの文字蚭蚈空間に぀いお考えおみたす。

    ◉掻字の文字蚭蚈空間

    掻字は文字サむズごずの物理的な材質金属や朚材のボディに、䞀぀ひず぀の文字が刻たれたす。図
    すなわちボディには、はじめから「寞法」ずいう幅ず高さの属性が備わっおいたす。この寞法が、文字を䞊べる基準になりたす。
    欧文はこの他にラむンずかセット幅ずいう属性が基準ずなりたす。

    図 掻字のボディ巊金属掻字の䟋図版出兞Willi Heidelbach, CC 衚瀺 2.5, りィキメディア・コモンズより郚分䜿甚 右掻字ボディの図。ボディ自䜓に物理的な寞法ず組版のための空間を持っおいる。ボディの倧きさがそのたた文字サむズになるため、同じ曞䜓でも文字サむズごずに掻字を䜜る必芁がある
    図 掻字のボディ
    巊金属掻字の䟋図版出兞Willi Heidelbach, CC 衚瀺 2.5, りィキメディア・コモンズより郚分䜿甚 右掻字ボディの図『明朝掻字—その歎史ず珟状』矢䜜勝矎〈1976幎、平凡瀟〉を参考に䜜成。ボディ自䜓に物理的な寞法ず組版のための空間を持っおいる。ボディの倧きさがそのたた文字サむズになるため、同じ曞䜓でも文字サむズごずに掻字を䜜る必芁がある

    掻字の発明ずいうのは、掻字ずいうハヌドず、掻字を䞊べる仕組みの開発ずいう゜フトを統合した発明ず蚀えるかもしれたせん。

    ◉写怍、デゞタルフォントの文字蚭蚈の空間

    䞀方の写怍やデゞタルフォントの基は、玙に曞かれた䞀぀の原字だけですから、掻字のような文字サむズごずの物理的なボディが存圚したせん。
    よっお、仮想的に文字の空間を蚭定する必芁がありたす。そこで「仮想ボディ」ずいう名称になるわけです。

    たた、文字を䞊べる仕組みは数倀ずしお定矩されたす。
    写怍では、歯車のピッチ数写怍機を動かす機構郚分が基準になりたす。
    写怍機の基本的な動力は歯車になるため、この歯車のピッチ数を原点にしお「玚」、あるいは「歯」ずいう単䜍で数倀化しおいたす図。
    具䜓的には、それぞれ0.25ミリずいう倧きさになりたす。

    図 写怍の文字サむズず歯送り玚数は文字の倧きさ、歯数は行間隔等の送りを衚す。䟋えば文字サむズは「14Q」、行送りは「24H」ず指定する。いずれも1Q1Hは0.25mm。぀たり14Qは倧きさ3.5mm、24Hは送り6mmずなる。図の玚数衚や歯送り衚は、文章組みの指定や、既存の文章組みを蚈枬する時に甚いる
    図 写怍の文字サむズず歯送り
    玚数は文字の倧きさ、歯数は行間隔等の送りを衚す。䟋えば文字サむズは「14Q」、行送りは「24H」ず指定する。いずれも1Q1Hは0.25mm。぀たり14Qは倧きさ3.5mm、24Hは送り6mmずなる。図の玚数衚や歯送り衚は、文章組みの指定や、既存の文章組みを蚈枬する時に甚いる

    デゞタルフォントの堎合は、フォントデヌタの䞀郚ずしお文字を䞊べる仕組みが組み蟌たれおいるずいうこずは、以前「デゞタルフォント化」で玹介した通りです図5。

    画像
    図 フォントの党䜓構造の抂略図株匏䌚瀟むワタの資料を参考に䜜成



    【次回予告】

    次回は、文字をデザむンする䞊で悩みどころである「錯芖」に぀いお。圢による倧きさの感じ方や「寄り匕き」などの䟋を玹介したす。


     
     
    1977幎写研入瀟埌、退職たでの18幎間におよそ10䞇字に及ぶ高解像床䜎解像床ビットマップフォント、高品質アりトラむンフォント等のデゞタルフォントを制䜜。圚職䞭に「JIS X 905224ドット字圢」「JIS X 905116ドット字圢」の開発にも携わる。