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一緒にいたいから、離れたい。

    自分の部屋がなかった。私だけ。この家に引っ越してきて19年ずっと。

    正確に言えば、初めは誰の部屋もなくて、成長とともに子どもたちに部屋を与え、夫婦の寝室ができた。でもその寝室は「 自分の部屋 」とは呼べなかった。

    都内の狭小住宅。夫婦の寝室とはいえ、6畳しかない。大の大人が2人で使うには狭くて、だんだんと増える夫の私物に追い出されるように私は部屋を出た。以来、自分の部屋がなかった。

    イライラすると嫌味が出る。「 私だけ部屋がない 」。すると夫はこう言い放った。「 キッチンがあるじゃん 」。気を遣ったつもりなのか、それともキッチンにばかりいる事実を述べたのかはわからない。でも、私にとってその言葉は凶器だった。グサッ。心に突き刺さって抜けない。

    どうして、私だけが家の共有部分を部屋とされなきゃいけないの?

    悶々と過ごすこと10年。部屋が欲しいが徐々に「 家を出たい 」に変わりつつあった。


    そんな私の気持ちを知ってか、知らずか。この春。突然降って湧いたように私の部屋ができた。この家の中に。

    といっても、ウォークインクローゼットだった場所なので広くはない。小さな小さなマイルーム。Tiny my room。

    驚いた。たったこれだけのことなのに。これまでの何かイライラがぜーんぶ吹っ飛ぶような( それは言い過ぎ笑 )気持ち。開放感。幸福感。満たされる感覚。

    ーああ、私ずっとひとりになりたかったんだ。


    「 家族 」は時にとても厄介だ。お母さんの役割が、妻の役割が重くのしかかる。それはお父さんも夫も、子どもも同じだろう。

    部屋がないということは、その重荷をそっと下ろす場所が家にないということだ。

    日本の家は往々にして狭くて、プライベートな空間が取りにくい。ゆえに役割により縛られやすい。その上、我慢も美徳とされ、「 しかたがない 」となかったことにされていく。その無自覚、無意識の果てにあるのが、熟年離婚なんじゃないか?と本気で思う。

    この間、Xでこんな引用をした。

    本気で離婚率を下げたいなら、妻に部屋を持たせることだと思う。なんか知らんけど、妻だけ部屋がないみたいな家をたくさん知ってる。私も今月までそうだった。部屋があるだけで、本当に優しくなれる。人間はいつまで経っても「 ひとり 」でその時間と空間あってこそ、なんだと実感中。… https://t.co/PTYrdmFZ3d

    — U (@u_newmom_u8) June 4, 2026

    久しぶりに1000以上のいいねがついた。同じことを思っている人がたっくさんいる証拠だろう。同志たちよ。私、わかったよ。

    一緒にいるために別れる。離れる。

    これがたぶん家族の、夫婦の正解だ。

    同じマンションのお隣同士に住んでいる夫婦や家庭内にきっちりプライベート空間のある夫婦のように。

    家族を卒業する。卒家族はやっぱり私が目指すところだってことがよくわかった。

    普段はそれぞれ自立して別々に暮らす。一旦、家族を卒業する。そしてたまに集まる。それならお母さんの顔も妻の顔も上手にできるよ、私も。


    思えば、この2年ずいぶん遠回りをした。

    発信の軸を変えては戻し、変えては戻し。いろんな人の言葉に乗っかって、気づいたら自分の声がどこかに行ってしまっていた。

    でも結局、最初から答えは持っていた。

    卒家族。

    2年前、初めてコンサルなるものを受けたときに掲げたテーマ。


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    遠回りした分、わかったこともたくさんある。いや、寄り道しなきゃここには辿り着けなかったんだな。

    まず、第一歩。自宅に部屋ができた。次は?そう、もっと広い部屋を手に入れる。

    卒家族への道は、まだまだ続くよ。どこまでも。

     
     
    25年目のライターが『ちゃんとした母』という呪いを解き、『ちゃんとしない母』に進化するために綴るエッセイ。ついでに『ちゃんとした妻』も脱却中 ライター・編集者25年|酒と猫が好き|2児の母

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