
靴下の色、やっぱり黒?-歴史と文化、世界の違い、それ以外の選び方-
こんにちは!
靴下工房Toréを運営しているアクルです。
これまで大手アパレルOEMの現場で、数百万足の靴下を作ってきました。
このnoteでは、その経験をもとに、普段あまり意識されない靴下の仕組みをできるだけわかりやすく書いています。
今日は私たちToréも一番力を入れる、黒靴下の話です!
スーツを着た男性を見ていると、ほぼ全員が黒か紺の靴下を履いています。
なぜなのか?
いや、もちろんそれは合うからなんですが、こんなことにも色々と文化や歴史があります。
そして、黒以外を選ぶとしたら?
今日はその話を、順番に整理してみます!

なぜ黒になったか
19世紀初頭のイギリスの話から。
当時の男性服は、いまとはずいぶん違いました。
刺繍、レース、鮮やかな色など、貴族たちは華美な装いで自分の地位を示していました。
布の量で差を示した、なんてよく言われますよね。
その流れを変えた人物の一人が、ボー・ブランメルです。
彼は装飾を排し、清潔で整ったシンプルな装いを提案しました。
余計なものを削ぎ落とした、黒や濃紺といった暗色の服でキメたことで、「目立たないこと」が、むしろ品格の証になっていきました。
こういうのありますよね!ファッションはカウンターです。
黒の衝撃。クワイエットラグジュアリー。
こういう繰り返しは昔からそうです。
ここから、ダーク系のスーツが紳士服の基準として広がっていきます。
同じ頃、靴にも変化が起きます。
それまで主流だったブーツが、しだいに短い靴へと移っていきました。
ブーツに隠れていた足首があらわになり、靴下が外から見えるようになっていきます。
すると自然に、スーツや靴と同じトーンで揃えるという習慣が生まれました。
ルールとして決まったわけではありません。
「違和感を出さないための、スマートな選択」として定着していきました。
その文化が日本に入ってきたのは、明治維新以降のことです。
洋装が広がるにつれ、その慣習ごと輸入されました。


あまりにもかっこよすぎる
黒は「失敗しない色」
歴史の話はここまでにして、少し心理の話をします。
黒い靴下を選ぶとき、多くの人は積極的に「黒がいい」と思って選んでいるわけではないと思います。
「黒なら間違いない」
「何色にするか迷ったら、とりあえず黒」
自分もそうですし。
朝なんて時間ないですしね。
そして靴下には、もともと「自分を主張するものではない」という性格があります。
スーツがあって、靴があって、靴下はその間を自然につなぐものです。
その性質ととても相性がいい。
だから黒が選ばれ続けます。
汚れも目立ちにくいですし、いいことばかりですよね。

日本だけの事情
日本固有の事情もありますね。
欧米のビジネス文化では、靴を脱ぐ場面はほとんどありません。
会議室でも、食事の場でも、靴は履いたままです。
映画とかで、寝室も靴だからびっくりします。
でも日本は違います。
居酒屋、旅館、和室のある会議室——靴を脱ぐ場面が、日常のあちこちにあります。
靴下が「見える場面」が、欧米と比べて圧倒的に多いですよね。
それもあって、「見られたときに問題にならない色」がより好まれるのかなと。
変に目立つのいやですしね。

では、黒以外を選ぶとしたら
では逆に、黒以外を履くとき、どう考えればいいか。
考え方は色々ですが、基本的には、
靴下はズボンと靴の「橋渡し」として選ぶと安全です。
足元を見たとき、ズボン→靴下→靴の流れが自然につながって見えるか。
これだけ意識しておけば、大きな失敗はないと思います。
具体的に、場面ごとに整理してみます。
冠婚葬祭
黒一択です。例外なし!
ここだけはルールとして守ります。
ビジネス(スーツ着用)
スーツか革靴の色に寄せます。
黒のスーツに黒の靴なら、黒か濃紺。
ネイビーのスーツならネイビー。
グレーのスーツならグレーか黒。
「同系色でつなぐ」だけで整います。
チャコールグレーや濃紺は、黒の次に使いやすい色です。
少しだけ変化を出したいときの、最初の一歩として。
オフィスカジュアル(ジャケパンなど)
ここから少し遊べます。
ただし条件は「浮かせないこと」。
ボルドー、オリーブ、バーガンディといったくすんだ色は比較的合わせやすいです。
原色や明るい色は、全体のバランスを見ながら、慣れてから挑戦するくらいでちょうどいいと思います。
私服・休日
自由です!もう好きにしましょう。
ただ一つだけ意識するなら、「コーディネートのどこかと色を拾う」こと。
トップスと靴下を同系色にするだけで、なんとなくまとまって見えます。
靴下で遊びたいときも、この原則——橋渡しとして選ぶ——を頭の片隅に置いておくと、外れにくくなります。

難しく考えなくていい
黒が正解である理由は、いろんな意味で、合理的な慣習として定着したものです。
だから黒を選び続けることは、まったく間違っていません。
黒以外も使いたくなったら、橋渡しとして選ぶ。
それだけで、黒以外の色も自然に選べるようになります。
靴下は小さなものですが、そこには歴史と心理と文化が重なっています。
普段履いている黒い靴下を、今日だけ少し違う目で見てみてください!
靴下工房Toréでは、「派手ではないけれど毎日履ける靴下」をテーマに、そんな設計をこれからも続けていきます。
Toréの靴下はこちらから↓↓
おすすめのnote: