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第二話 毎日の会話


     LINEでのやりとりを始めてからというもの、毎日当たり前のように日常を共有するようになった。
    私は以前、日本のマッチングアプリでたまたま韓国人とマッチし会う約束までしたのだが、初対面で身体の関係を迫るような会話が多く、やんわりと初対面でのそれは難しいと断ると、その日を境に急激に態度が変わり、連絡頻度があからさまに減った。さらには私と会う約束をしているにも関わらず、他の女の子と会う約束をしようとしているのが判明したため、結局会わずにサヨナラとなった経験がある。
    それなのである程度、韓国人男性が恋愛初期はテンションが高いこと、会う前であっても恋人のような振る舞いをすることは知っていた。
     彼もまた例外ではなく、会う前から「私の大切な人」と言ってみたり、「惚れてしまったようだ」と言ってみたり。
    私は警戒アンテナをビンビンに張りつめ、彼の甘い囁きに屈しないよう心を固くしていた。

     そして毎日の会話が当たり前になった頃、彼が私に会いに日本に来ることになった。
    最初は冗談だろうと思い、「日本に来てくれるなら会います」なんて軽く返事をしてしまったが、彼は本当に会いに行くからと、光の速さで航空券を予約していた。
    その行動力に驚きを隠せなかったが、しかし彼は日本で1泊2日するという。
    お金をかけて日本に来てくれるなら、私がホテルを予約する!と、なんともまあ、要らぬ提案をしてしまった私である。
    私の警戒アンテナは根元からボキリと折れていたようだ。
    初対面の男女が、ホテルで一夜を共にするのがどういう意味になるのか?
    お互いに十分理解している年齢である。私は彼と一体どうなりたいというのだ。これでは自ら「簡単に男とホテルに行く女です」と宣言しているようなものではないか。
    自分のバカさ加減にうんざりしつつも、もうこうなったら一つの人生経験としていくところまで行ってみるか、という好奇心で初対面を挑むことになった。
     自らノコノコとホテルで一緒に1泊するという女だと分かってからも、彼のテンションは上がることも下がることもなく、卑猥な質問なども一切してこなかった。
    それどころか、電話番号を聞いてきたり彼が勤めている会社の名刺を写真で送ってきたりと、身分証明に余念がなかった。それでも名刺はいくらでも偽装できるし、電話番号だってLINEでできるのだから、わざわざ国際電話はかけない。本当に存在する電話番号なのか、確かめる術がないのだ。

     ではなぜ私は彼を信用したのか?それは上手く説明するのが大変難しいのだが、彼からLINEで伝わってくる丁寧さ、冷静さ、ズカズカと入り込んでこない距離感に好感を持ったのだと思う。
    あとは私の勘である。
    なんとも頼りない勘ではあるが、会ってみて「ナシ」だったら泊まらずに帰ってこようとも思っていたし、会わないことにはどんな人かわからないのだから、会ってみる価値はある。
    思えば、初めてのやり取りから実際に会うまでの期間、1ヶ月間。この時が一番ワクワクドキドキしていた気がする。
    まだお互いのことを何も知らない中で、お互いの情報が少しでも欲しいと全力でメッセージのやり取りをしていた頃。
    もう戻ってこない、いわゆる「쌈」(韓国では友達以上恋人未満の期間を指す言葉)の楽しい時間であった。

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