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少し先を見ながら

    朝5時。
    まだ外は静かで、街も眠っている時間に目が覚める。

    正直、毎日スッキリ起きられるわけじゃない。
    眠い日もあるし、「あと30分…」と思う日だって普通にある。
    それでも、不思議とこの時間が嫌いじゃない。

    髭を丁寧に剃り、のんびり朝の準備をする。
    急がない。
    慌ただしく始まる一日より、少し余白のある朝の方が、自分には合っている気がする。

    仕事の日は、いつも就業時間の1時間前には職場へ着くようにしている。
    誰かに言われたわけじゃない。
    ただ、自分の中で「整える時間」が欲しいのだと思う。

    病院のラウンジは朝だと静かで、空気もどこか落ち着いている。
    そこで今日も参考書を開く。

    今勉強しているのは、慢性閉塞性肺疾患――COPDについて。

    呼吸が苦しい。
    動くだけで息が上がる。
    酸素を吸っても、楽にならないことがある。

    文字で読むだけでも重い疾患だけど、実際の現場では、その苦しさを抱えながら生活している患者さんたちがいる。

    終末期ケアを学んでいると、「治す」だけじゃなく、「どう寄り添うか」を考える時間が増える。

    苦しさをゼロにはできないかもしれない。
    でも、不安を少し減らしたり、「この人がいてくれてよかった」と思ってもらえる関わりは、できるかもしれない。

    そんなことを考えながら、静かなラウンジでページをめくる。

    そして就業時間10分前。
    持ち場へ向かい、少しだけ情報収集をする。

    夜間の記録はざっくりと確認。
    大事なのは、その日入院している患者さんたちの予定を頭に入れておくこと。

    検査はあるか。
    処置やリハビリの予定は。
    転棟や退院の予定はあるか。
    ICや面会の予定は。

    それを把握しておくだけで、看護助手としての動きやすさが全然違う。

    「先にこれ準備しておこう・・・」
    「今のうちにこれを準備・・・」
    「このタイミングで、そろそろこんな指示が・・・」

    そんなふうに、少し先を見ながら動ける。

    病棟は、本当に毎日状況が変わる。
    予定通りにいかないことも多いし、急な対応が必要になることもある。

    だからこそ、「何を優先するか」を考えながら、臨機応変に動くことが大切なんだと思う。

    もちろん、まだまだ反省することも多い。
    「あっちが先だったな」とか、「もっと早く気づけたかもしれない」と思う日もある。

    でも最近は、ただ言われたことをこなすだけじゃなく、自分で考えて動ける瞬間が、少しずつ増えてきた気がする。

    医療や介護の仕事は、派手ではない。
    むしろ、地味な積み重ねばかりだと思う。

    勉強して、悩んで、関わって、また振り返る。
    その繰り返し。

    でも、その積み重ねが、患者さんの安心や、スタッフ同士の動きやすさにつながっていく。

    朝の静かなラウンジで勉強する時間も、就業前の数分の情報収集も、きっと全部無駄じゃない。

    朝の静かなラウンジで勉強する時間も、就業前の数分の情報収集も、きっと全部無駄じゃない。

    今日も、できることを丁寧にやった。

    また明日も、同じ静けさの中から一日が始まる。

     
     
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