
「どっちが、僕の母ですか?」(14:エピローグ)#創作大賞2025#ミステリー小説部門
◾️14話:エピローグ
その後、修成と私のあいだには無事、子どもが生まれた。
そして、私の母親である遠山香はまだ見つかっていない。
当然だ。
だって、私が殺したのだから――
修成の母を殺した私の母は、身を隠していた。だから、人目につかないように殺すのは、簡単なことだった。
もしかしたら。
修成は私が母に手をかけたことを、気づいているのかもしれない。
自分の父親が殺人者ではないことを確かめようとして、結局は自分の母が死に、婚約者の母を殺人者にし、そして、最後には自分の子どもの母をも殺人者にしてしまった。なんと皮肉なことだろう。
でも、修成がこのことを公にすることはないだろう。
子どもから母親を奪わないため、そして自分の母親代わりである私を失わないために――。
そもそも修成が私と出会ったのは偶然ではない。
修成のバイト先である居酒屋に偶然私が通いはじめ、そこから知り合いになり、交際することになった。修成はそう思っているかもしれない。
でも、偶然ではない。母の不倫相手だった高梨正雄の子どもがどんな人か見たくて、探し出して会いに行ったのだ。
私と修成が付き合いだしたことを母に伝えると、なんとも言えない表情でにらんでいた。自分が愛した男とそっくりの子どもを私が手に入れたのを悔しく思ったのだろう。いい気味だった。
もちろん母に悔しがらせるためだけに修成と付き合ったわけではない。接するうちに徐々に惹かれていったのも事実だ。
そして、その修成とのあいだに子どもを授かることができた。何よりの宝物だ。
この子を守るためには、母と祖母が殺人者であることは絶対に隠しとおさなくてはいけない。
私には、それができる、はずだ。
いまはこの平穏な日々が続くことだけを祈って、わたしは、いきていく。
――End――