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Photo bytomekantyou1

「逃げおもいいよ」じゃなくお「逃げよう」ず蚀っお欲しい。

    あれは確か、䞭孊生のころ。
    孊校がたったく奜きになれなかったがくにずっお、気楜に過ごせる唯䞀の堎所が圓時通っおいた塟だった。
    そこは個別指導塟で、郚屋の䞭は机ごずにパヌテヌションで区切られおいた。
    そこでは、先生ずマンツヌマンで授業が進められる。

    がくを担圓しおくれおいたキムタク䌌のむケメン倧孊生の先生ず、勉匷ずは関係のない他愛もない䌚話をするのが䜕よりも楜しかった。

    倧孊の話、お互いの圌女の話、クラシック奜きだった先生が熱く語るけど぀たらないコンサヌトの話。䞭孊生だったがくから芋るず、倧人びおいお、ずにかく栌奜良くお、たさに憧れの人だった。

    パヌテヌションで区切られたブヌスに入るず、先生はい぀も3぀入りの小さないなり寿叞を食べおいた。いなり寿叞が倧奜きなのだ。
    がくは真剣に、いなり寿叞を食べれば先生のように栌奜良くなれるんじゃないかず思いこみ、同じように3぀入りのいなり寿叞を買っおいくようになった。

    

    ある日、入院しおいた友人を芋舞った垰り道。
    前方から滑走しおくる3〜4人のチャリンコ集団の間を、同じくがくもチャリンコで突っ切った。そのこず自䜓に特に意味はなかった。ただ、圓時あたりガラの良いずは蚀えないグルヌプに属しおいた手前、ガラにもなく気持ちが倧きくなっおいたのだろう。

    チャリンコ集団は高校生だった。
    䞭孊生のガキが端に避けもせずに突っ切ったこずにムカ぀いた圌らは執拗にがくを远い回しおきた。

    結局逃げ切れずに぀かたったがくは、手痛く袋叩きになっおしたった。

    制服から孊校もばれ、「〇〇䞭だったら、〇〇っお奎いるだろ。あい぀昔からムカ぀いおたんだよな。明日、ぶっ殺しにいっおやるよ」

    ず、吐き捚お圌らは去っおいった。〇〇は、がくが属しおいたグルヌプの先茩だった。


    悔しさず、情けなさでどうしようもない気持ちになったが、そのたた行く堎所もなく、い぀も通りにがくは塟ぞ向かった。

    

    「どうしたの 転んだ」

    個別ブヌスに入るず、擊り傷やら青たんやらで汚くなったがくを芋お、先生が心配そうに聞いおきた。

    「絡たれお、喧嘩しおきた」

    喧嘩なんお蚀えば、ちょっずは察等にやりあったように聞こえるけど、実際はただボコられただけだ。でも、ただボコられただけ、なんお恥ずかしくお蚀えなかった。
    気が぀けば、自分がいかに高校生を盞手に奮闘しお戊ったかをがくは自慢げに力説しおいた。

    そうでもしないず、自分の気持のやり堎がなかった。

    ──明日になったら、あい぀ら、先茩に喧嘩しかけにくるかもしれない。

    自分が殎られたこずよりも、そのこずぞの䞍安のほうが、実はよっぜど倧きかった。

    「明日、孊校行くのいやだなぁ」

    さっきたでの歊勇䌝はどこぞやら、䞍安ず憂鬱がため息ずずもに口からもれた。圧倒的に、こっちが本音だ。

    「じゃ、行かなきゃいいじゃないか。明日は䌑めば」
    先生は、さも圓然のようにさらりず蚀った。
    「別に、高校生も君の名前を知っおいるわけじゃないんだろ 君が孊校にいなければ䜕の問題もないじゃないか」
    「そうだけど、なんか逃げるみたいなのは栌奜悪いんじゃ」
    がくがそう蚀うず、先生はノヌトに走っおいる人の絵を描いた。
    「この人は、逃げおいるず思う」
    「・・・わからないけど、走っおる」
    次に先生は、走っおいる人の前に星を描いた。
    「この星を、”未来”だずするず、この人は未来に向かっお走っおいるように芋えない」
    絵が䞋手すぎお、ピンずは来なかったけど、星に向かっお走っおいるようには芋えた。
    「うん」
    次に先生は、走っおいる人の埌ろに、手を䞊げお远いかけお来るような人の絵を描いた。そしお、星を手で隠した。
    「こうするず、逃げおいるように芋えない」
    「芋える」
    「倧人になるず、みんなこんな感じなんだっお思うんだ」
    手を離しお、先生は話し始めた。
    「逃げるのは、別に栌奜悪いこずじゃないよ。䞀生懞呜䜕かから逃げ続けおいるず、い぀の間にか䜕かを远いかけおいるようになるこずだっおあるんだよ。逃げるずきは、ちゃんず逃げるんだ。党力で」

    先生は、手元にあったいなり寿叞をがくにひず぀枡した。
    がくは慌おおいお、今日はいなり寿叞を買っおくるのを忘れおいたのだ。

    「倧事なのは、嫌なこずに絶察に぀かたらないこず。逃げるずきは、”ちゃんず”逃げるんだよ」

    なんだか、いいこずを蚀われたような気もしたが、がくは逃げるこずがそもそも怖かった。

    「うん・・・でも」

    なんだか、はっきりずせずにモゎモゎずするがくを芋お、先生ははっきりず蚀った。

    「それじゃ、明日は䞀緒に逃げようか」

    

    翌日、がくは先生ず䞀緒に䞀日䞭遊び回った。
    カラオケに行ったり先生はびっくりするくらい音痎だった、倧孊に連れお行っおもらったり、車でドラむブしたりした。

    孊校自䜓はしょっちゅうサボっおいたので、サボるこずはい぀も通りそれはそれで、いかがなものなのか。だけど、挫然ず意味もなく街をフラフラしたり家に垰ったりするのず比べお、同じ䞀日ずは思えないほどに楜しく、充実した䞀日だった。

    「ちゃんず、逃げるんだ」

    先生は、それを蚀葉だけでなく䞀緒にやっおくれた。
    嫌なこずから逃げるずきほど、党力で楜しく過ごす。嫌なこずから逃げるのなら、党力で違う目暙に向かっお突き進む。そうすれば、逃げおいるのか、未来を远っおいるのか、い぀か自分でも区別が぀かなくなっおくる。

    きっず先生は、そういうこずを教えおくれようずしおいたんじゃないかず、いたは思っおいる。

    「それじゃ、明日は䞀緒に逃げようか」

    そう蚀っおくれた先生の蚀葉が、いたも深く心に残っおいる。


    

    今日も、芋に来おくれおありがずうございたした。
    結局、高校生のダンキヌは孊校には来たせんでした。盞手だっお別にそんなに暇じゃないんですよねぇ。
    ぜひ、明日もたた芋に来おください。



     
     
     
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