
いつまで続くかやってみる日記(億万長者になれますように)
昨日の雨が今降り出した。
雨と風が窓を激しく叩いている。時計を見ると午前4時を過ぎたあたりで呆れる。仕方なくまた布団にくるまって外の音を聞いていると、この雨が、昨日までいた宮崎で降っていたものだと気がついた。
宮崎県の宮崎キネマ館で映画の上映をした。地元で伐採された杉を贅沢にあしらった劇場はまだ新しい木の香りがした。昨日の夕方に羽田に到着し帰路に着いたが、僕らの乗った便の次は台風の影響で遅延と欠航を繰り返していたらしい。
今回はゆっくり滞在したかったので3日間劇場に通わせてもらった。2日目の朝は劇場スタッフの方が車を出してくれて、上映までの時間をつかって観光案内してくれた。台風の影響で、景色は生憎の曇り空だった。それでも自然の広大さを感じるには十分だった。景色を覚えていなくても、そこで出会った人の顔をたくさん思い出せるなら、それはきっと良い旅だ。だから天候はあまり気にしない。会いたい人がいることが旅の目的になることも多い。「もっと天気のいい日にこの景色を見せたかったなあ」と何気なく嘆いたスタッフさんの表情を思い出し、不意に心に沁みてしまった。「でも、また宮崎に来る目的ができて嬉しいですよ」そんな月並みな言葉で本音を濁した。
日南海岸沿い、断崖絶壁にできた洞窟の中に本殿がある鵜戸神宮は、実際に神話に出てくる神社としても知られている。噂に負けない神秘的な場所だった。断崖に打ち響く波の音と潮の香りが漂う中で一礼し、ゆっくりと鳥居をくぐった。
この神社は安産や育児の神様として有名らしく、洞窟の中には「お乳岩」と呼ばれるおっぱいの形をした岩がある。その神聖な丸みが、大人達のはしゃぎ声を一層洞窟に響かせた。童心に戻ったまま参拝を済ませて外へ出た。曇天といえど、暗い洞窟に目がなれるとやっぱり眩しく目を細めた。崖の前に人集りが出来ていたので何かと見ると、鵜戸神宮名物の「運玉」をしているらしい。崖を見下ろすと、「亀石」と呼ばれる大きな岩があった。その小さな窪みに運玉を投げ入れることができれば、願いが叶うという。運玉は5玉200円で購入できた。亀石の窪み近くに散乱する無数の運玉を眺めながら何をお願いしようかと悩んだ。
洞窟の暗闇に隠しておいた煩悩達に恐る恐る光を照らすが、どれもこれもお天道様の前には出せそうもない。そもそも何の信仰心もない自分が神からの施しを求めて良いのだろうか。とはいえ、神社に行くと少額だけどお賽銭はしております。食事をする時には「いただきます」と「ご馳走様」も欠かしません。ご飯粒も残さず食べます。お金に困っていても、拾った財布は交番に届けました。善行も悪行も、いつか我が身に戻ってくるのだと思って生きてきた。いつの間にか身についていた習慣が、信仰と深く結びついている気がする。
海岸の崖を登ってきた風が頬をかすめ、洞窟の中に吸い込まれていく。本殿を抜けた風が、また波の音へと帰っていった。一瞬の静寂の中で、ここには神様がいるんだと確かに感じた。運玉を握りしめる手に、より一層力が込もる。目の前から人が消え、背後から熱い視線を感じる。
俺の番が来た。
追伸;
宮崎キネマ館で映画を観に来てくれた皆様。ありがとうございました。3日間、本当に楽しかったです。映画撮って良かったなと改めて感じる事の出来た時間でした。いつかまた皆様にお会い出来るよう、これからも日々努力して参ります。その際は是非また、よろしくお願いいたします。