
重力探偵:レス 【重力制御シリーズ】
「人類は重力の制御に成功した。
それが何を解決したのか。誰もよく分かっていない」
これまでのお話はコチラ
彼は私立探偵だ。
「重力探偵」と名乗っている。
理由は、特にない。
朝コーヒーを淹れた。
豆を多く入れ過ぎた。濃すぎた。
依頼の電話が鳴った。
「単刀直入にお伝えします」
「はい」
「主人とのセックスレスで困っています。早く来てください」
単刀直入だった。
「これは重力局所調整フランスベッドです。決して安くはありません」
品の良い四十代の女性だった。
「そうですか」
「ありとあらゆる手立ては尽くしました」
「はい……」
「何がいけないんですか!?」
「……ご主人はなんと」
「ベストは尽くしてるの一点張りです。彼はやや言葉足らずな傾向があります」
「……」
「あなた重力探偵なんでしょう?」
「ええ一応……」
「重力探偵なら重力探偵らしくアドバイスの一つでもしたらどうですか!」
「あの、それでは……たまには、外で飯でもどうですか」
「いい加減なことを言わないでください!!」
「すいません」
三十往復した。
翌朝コーヒーを淹れた。
豆を少なめに入れた。味がしなかった。
電話が鳴った。
同じ依頼人からだった。
「試しに外食に行きました。オイスターバーです」
「はぁ」
「早速改善が見られました。どうもありがとうございます。つきましては追加料金をお支払い致します」
「結構です」
「あなた重力探偵なんでしょう!?」
「本当に結構です」
五十往復した。
今日は疲れた。
玄関のドアを開けると、リビングから声がした。
「おかえり。たまには外で食事でもどう?」