社内ニートが見た誰も知らない職場のSFファンタジー 第14話 内定。そして会社は宇宙へ。
今日は。
第一志望の会社の面接の日だった。
有給休暇で。
午後から休みを取った。
私は。
会社を出た。
会社を出た後に
後ろを振り返ると
ゴゴゴゴゴ……
また地響きがして
会社で何かが始まっていた。
私は思った。
……
もう知らん、どうでもいい。
面接頑張ろ。
面接会場の会社。
面接官は。
職務経歴書を見ながら言った。
「内部監査も経験されているんですね。」
私は頷く。
「はい。」
面接官。
「改善提案もされていますね。」
私は。
少し笑った。
「ほとんど却下されました。」
「現状維持がもっとも大事みたいでした。」
面接官も。
少し笑う。
「改善しようとしたことが。」
「大事なんですよ。」
「私たちの会社は、互いに意見を出し合って共有することを大事にしています。」
私は思った。
……
今の会社では。
聞けんかった言葉や。
そもそも情報共有しない会社だったからな。
数日後。
一本の電話。
「内定です。」
私は。
静かに目を閉じた。
私は思った。
……
受かった。
その頃。
会社。
工場長は。
造り上げた巨大なUFOを見上げていた。
「最終点検、開始!!」
社員一同!!
「「@&$&¥★〇△▫■◆♀♂々〆※★!!」」
工場長。
「異常なし!!」
「林業機械が完成です!!」
「これで無限に広がる大宇宙へ向かえます!!」
私は思った。
……
もう林業機械って言うのやめろ。
UFOって認めろ。
営業部。
役員。
「草刈り部隊!」
「宇宙支部結成!」
営業部。
「ソイヤ!!ソイヤ!!」
「ブォォォォォンwwww」
「ブォォォォォンwwww」
「ハア~~~~~~~~~!!!」
「「スペースwwww」」
「「ブォォォォォンwwww」」
「「ブォォォォォンwwww」」
営業部担ぐ草刈り型の神輿の上で。
草刈り機を掲げて叫ぶ役員。
私は思った。
……
営業部。
好きにしてくれ。
経理課。
窓際のおばあちゃん。
今日は。
腰の調子が良いらしい。
「へへーん!」
手をこすこす
パンパンして
「宇宙でも!」
「あたしは!」
「ミニスカぴちぴちギャルよー!」
おばあちゃんのミニスカートがピンク色にきらめく。
私は思った。
……
本当にずっと気持ち悪いな、こいつ。
誰も聞いてないで、お前の独り言。
社内通報制度で通報してえ。
眼鏡係長。
眼鏡をクイクイしながら
「宇宙でも。」
「私たちは、現状維持です。」
私は思った。
……
知ってるか。
現状維持って停滞やねんで。
まあ、辞めるからどうでもいいが。
無口な係長。
右手を上げる。
「仕事転送。」
「眼鏡係長へ。」
私は思った。
……
最後まで。
眼鏡係長へ仕事飛ばすんや。
お前はここでしか
生きていけないんだろうな。
親会社。
大魔王監査室。
部下。
「宇宙化率。」
「九十五パーセントです。」
ダメガネ。
「あっ……。」
「あっ……。」
「あと少しで……。」
ソウダネ。
「そうですね。」
「会社が喜びますね。」
大魔王。
「こいつらを倒しても意味がないな。」
「会社が飛んでどうする。」
部下。
「主人公の退職だけが。」
「最後の希望です。」
内定をもらってから。
数日後。
私は。
いつも通り会社へ出勤した。
鞄の中には。
退職願。
一枚だけ。
私は思った。
……
今日。
出そう。
その瞬間だった。
ゴゴゴゴゴ……
会社全体が。
数メートル。
浮いた。
工場長。
「最終発進準備。」
「完了。」
私はまだ知らない。
この一枚の紙が。
宇宙船になり果てた会社から脱出する。
最後の切符になることを。
そして。
この会社が。
私の退職を。
決して。
簡単には認めないことを。