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【ショートショート】ときめきトゥーシューズ

    トマホーク32型

    【お題】
    【ときめきトゥーシューズ】

     親の夢を子供に託すのは良くないと、昔誰かが言っていた。
    私もそう思う。
    私をバレリーナにしたがる母親が私はどうしようもなく嫌いだったが、当時は母に逆らうなんて発想は存在しなくて、嫌いな母に嫌われないように、必死にレッスンした。
     学校が終わると直ぐに母の車でバレエ教室に行き、夜遅くまで練習。休みの日は家で母との個人レッスン。放課後に友達と遊んだことは、一度もない。
     人生で最も輝かしい青春の全てを母に奪われ、バレエに捧げた。
    世界一のバレリーナになって、ようやく私は報われる。じゃないと私の人生に、意味はない。
     18歳の時、練習中に右足に強烈な痛みが出て私は病院に運ばれた。
    靱帯損傷。
    バレリーナとしての経歴は幕を閉じて、私の人生は意味を失った。

     10年後、私は結婚して娘を授かった。
    娘にはバレエを習わせないと心に硬く誓っていたが、実家でトゥーシューズが目に入る度、私の心はどうしようもないくらいに、ときめくのだ。

     上記に参加させていただきました。

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