
カネじゃ動かない井上尚弥
<登場人物紹介>
飯田橋博士 無類の読書とスポーツ観戦好き。猫を飼っていて、奥さんがちょっと怖い。
トウマ 博士のもとでお手伝いのようなことをしている大学生。
ラスベガスが総立ち
博士「見たか、トウマ。あのラスベガスの熱狂ぶりを」
トウマ「見ましたよ!やっぱ井上尚弥って、ほんとバケモンっすね」
博士「ほっほっほ、バケモン言うたら失礼じゃが、まあ否定はせん」
トウマ「2回にダウンした時は、まさかって思いましたけど、あそこから巻き返すとは…」
博士「あの試合のすごさ、分かっておるか?ワシらが見てたのは歴史の一場面じゃぞ」
KOという美学
博士「最近はな、リスクを避けるボクサーが多いんじゃ。判定勝ちでチャンピオンになって、無敗のまま引退する選手も少なくない」
トウマ「あー、たしかに。判定って盛り上がらないっすもんね」
博士「じゃが、井上は違う。世界戦23勝中、23KO。しかも11戦連続。世界新記録じゃぞ。あのジョー・ルイスを超えたんじゃ」
トウマ「それって、漫画のキャラ超えるレベルっすよ」
博士「もはや少年ジャンプの主人公でも『盛りすぎ』って言われるわ」
トウマ「大谷翔平選手といい、『盛りすぎ』なアスリートが日本を沸かせていますね」
お金じゃ動かない男
博士「しかもじゃ、あの男、金のために拳を振っておらん」
トウマ「え?ラスベガスで試合してるのに?」
博士「ほっほっほ。確かに大金は動いてる。じゃが、本人はもっと上の次元におる」
トウマ「じゃあ、なんのために戦ってるんすか?」
博士「強い相手と戦いたい。それだけじゃ。金やランキングじゃなく、“誰と闘ったか”を求めとる」
トウマ「悟空かな?」
博士「近い。じゃが、悟空より冷静で、計算高い」
トウマ「うわ、じゃあ超サイヤ人じゃないすか」
博士「いや、もう“孤高の拳闘”と呼んでもええじゃろうな」
倒すことの意味
博士「カルデナスもよう頑張った。2回にダウン取った時は、会場がどよめいたぞ」
トウマ「でも、そこから井上選手が相手の動き読みきって、最後は連打っすもんね。やばいっす」
博士「打ち合いを避けがちな今の時代で、あれだけ真正面から闘えるのは貴重じゃ」
トウマ「僕、正直ちょっと泣きそうでした。ああいう勝ち方されたら…」
博士「勝つだけじゃなく、どう勝つか。そこに人の心は動くんじゃ」
トウマ「お金の匂いがしない分、ピュアでかっこよかったなあ…」
拳で語る美学
博士「会場の主催者も言うとった。“最後に最高をとっておいた”と」
トウマ「他の試合が盛り上がらなかったから、余計に井上のKOが際立ったんですね」
博士「そうじゃ。しかもあの瞬間、“イノウエ”コールが響いた。あれが世界の答えじゃよ」
トウマ「誰にも縛られず、自分の美学を貫く。カッケェ…」
博士「カッケェ、言うな。語彙を増やせ、語彙を」
トウマ「じゃあ…荘厳です!」
博士「まあ、マシかのう」
僕も走る!
トウマ「博士、ちょっと僕、今めっちゃ走りたいっす」
博士「なに言っとるんじゃ、急に」
トウマ「なんかもう、何かしないと気が済まないんです。井上選手見てたら、体動かしたくなって…!」
博士「それは良い兆候じゃな。せめて靴履けよ」
トウマ「うおおおおおおっっ!!」
(勢いよく玄関を飛び出していく)
博士「ミー、クロ。トウマがやっと目覚めたぞ。まあ…すぐ帰ってくると思うがの」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!博士とトウマくんに話してもらいたいテーマがあれば、ぜひコメントでお知らせ下さいね。