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工期の逆算ってめんどくさい。その「ボヤキ」から始まった

    「太助くん、ちょっといいかな……」

    ある日の夕方、デスクで書類を整理していた僕に、同僚のAさんが少し疲れた顔で声をかけてきました。
    手にはノートPCを持っています。

    太助くん
    「どうしたんですか? Aさん。
    なんだか魂が抜けかかってますよ」

    同僚Aさん
    「いやさ、さっき営業さんから『今度打ち合わせに行くお客様から、だいたいのスケジュールを聞かれたんだけど、いつ頃終わりそう?』って言われてさ……」

    太助くん
    「あぁ、よくある『ざっくりした工期の確認』ですね」

    同僚Aさん
    「そう、それ!
    細かい工程表は契約のあとでいいから、まずは『だいたい何月くらいまでかかりそうか』の流れを知りたいだけなんだって。
    でもさ……」

    Aさんは深くため息をついて、こうボヤきました。

    「あの工期の逆算って、毎回地味にめんどくさいんだよね」

    その言葉を聞いた瞬間、僕は大きく首がもげそうになるくらい頷いてしまいました。

    そうなんです。あれ、本当に地味に疲れるんです。


    正式な工程表じゃない。だからこそ、頭を悩ませる

    建築やリフォームの現場管理をしていると、この「だいたいの目安」を聞かれる場面が何度もやってきます。

    「このくらいの日に始めたら、いつ頃終わりそうですか?」
    「だいたい何月くらいまでかかりますか?」

    聞いているお客様や営業さんには、悪気は一切ありません。
    むしろ、これからの予定を立てるために、ごく自然な質問です。

    きっちりとした正式な工程表を作りたいわけじゃない。
    まずは「だいたいこんな流れになりそうです」と、お互いのイメージをすり合わせたいだけ。

    なのに、いざそれを考えようとすると、僕たちの頭の中は大忙しになります。

    • 「総工期はだいたい130日くらいかな」

    • 「着工がこの日だとすると、準備に数日みて……」

    • 「基礎工事に2〜3週間くらいかかるとして、終わるのがこのへん?」

    • 「そこから木工事が入って、屋根と外装を並行して進めて……」

    カレンダーを睨みつけながら、頭の中だけで工程を並べて組み立てていく作業。
    途中で祝日や連休を挟むと、「あれ? 何日ズレるんだ?」と、せっかく組み立てた頭の中のそろばんがガラガラと崩れていきます。

    結局、手元の裏紙に「えーっと、基礎が〇日で、大工さんが〇日で……」と殴り書きしながら、電卓をパチパチ叩くはめになるのです。


    毎回ゼロから手作業で考えるストレス

    この「ざっくり工期の逆算」の何が一番めんどくさいかというと、「毎回、ゼロから手動で組み立て直していること」だと僕は思います。

    着工日が1週間ズレるだけで、すべての工程の日付をカレンダーで見直さなければいけません。
    総工期が「120日」から「130日」に変わったら、また電卓の叩き直しです。

    手間としては数分、あるいは十数分のことかもしれません。
    でも、その間、頭のメモリはフル回転しています。

    「とりあえず営業さんに伝えるだけだから」と思って口頭で伝えたら、あとから「あのとき言ってた日付と違うんだけど」なんていう小さなズレにつながるのも怖いところです。

    AさんのノートPCの画面には、真っ白なExcelシートが開かれていました。
    どうやら、ざっくりした流れをグラフにするためだけに、セルを一つずつ手作業で青く塗りつぶそうとしていたみたいです。

    太助くん
    「Aさん、その『カレンダーを見ながら手で塗りつぶすやつ』、僕も昔やってました……。
    あれ、途中で日付が変わると発狂しそうになりますよね」

    同僚Aさん
    「そうんだよ! ちょっと着工が変わっただけで、全部後ろにずらして塗り直さなきゃいけないじゃない?
    もう、考えるだけで頭がフリーズしそうでさ」


    「めんどくさい」の奥にあるもの

    Aさんのボヤキを見送ったあと、僕は自分の席に戻って考えました。

    工期の逆算がめんどくさいのは、僕たちの能力が足りないからでも、怠けているからでもありません。
    「何度も変わる流動的な予定」を、「毎回手作業で計算し直している構造」そのものが、僕たちの頭を疲れさせている一番の原因のはずです。

    きっちりした工程表を作る前段階の、ほんの「ざっくりした確認」のためだけに、これ以上大切な頭のエネルギーを使いたくない。

    「なんとかして、着工日と総工期を入れるだけで、パパッと自動で流れが見える形にできないかな……」

    この日を境に、僕は「工期逆算のめんどくさい」を少しだけラクにするための仕組みづくりを始めることにしました。

    もしあなたも、打ち合わせの前や営業さんからの急な質問に、「えーっと……」とカレンダーを見ながら頭を悩ませているなら、ぜひ明日からこう決めてみてください。

    「工期の目安を聞かれたら、頭の中だけで計算しようとせず、まずは紙に総工期と工程を書き出すだけにする」

    電卓を叩くのは、仕組みに任せればいいんです。
    まずは頭の中のメモリを解放することから始めてみませんか?

    明日からは、なぜこの「ざっくり計算」が毎回これほどまでに僕たちを迷わせるのか、その原因をもう少し深く解剖してみたいと思います。


     
     
     
    「めんどくさい」はチャンスの宝庫。建設業20年の「めんどくさい」と経験を、物語風でお届けします。 noteでは「太助くん」と共に業務の壁を突破するヒントを、TALESではオムニバスで日常に感じた気持ちで物語を執筆中。 あなたの「止まった手」が動くきっかけを、ストーリーの力で。

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