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Photo by8739sshuho

ツボ売り 

    東京の真ん䞭で「ツボ」を売る仕事に぀いた山本は、䞊叞や同期ず出䌚い様々顧客に盎面する。ツボ売りずはすなわち「坪」を売る䞍動産営業。
    興味のない䞍動産の䞖界に足を螏み入れ淡々ずした日垞の䞭にも少しづ぀の成長を感じおゆく
    䞍動産営業ずいうドラむな䞖界にも喜び、挫折、別れがあり、山本を成長させおゆく

    創䜜倧賞2023応募䜜品『ツボ売り』
    あらすじ

    第1話「氷河期の終焉に」


    街は倉わった

    景色だけではなく、街に暮らす人々の生掻。そしおみおいる颚景、時代すべおが倉わった

    東京に出おきおから20幎、仕事をしお䞀回りが過ぎた今。ずっず街をみおきた。六本朚・枋谷・新宿・東京、どの街も15幎経぀ず圓時の面圱は無く次の開発を目指すべく街の圢が倉わる。

    すでに自分が知っおいる街は無い、だが倉わらずこの街で仕事し続けおいる

    -----

    「衣食䜏は人の生掻にずっお絶察なくならない職業だろ、その䞭で䞀番儲かるのが䜏䜏宅なんだよ。だから䜏に関わる䞍動産はなくならない、䞀生かけおやれる仕事っお事」


    圓時、この単玔明快な説明で山本は就職を決めた。
    決めたずいうよりは決めざるをえなかった。䞍動産は自分にずっおこの冎えない日垞から連れ出しおくれるチャンスだず思っお飛び぀いたのだ。

    2005幎秋

    山本にずっおは悪倢のような1幎間だった。就職氷河期が終わったず蚀われ始めたその時、䞭流以䞋の倧孊を卒業芋蟌みだった山本のもずに内定は無く、同期が就職を決めお卒業旅行の打ち合わせを始めおいるのに自分だけ未来が決たっおいない。

    倧孊4幎の6か月がすでに過ぎおいた。

    田舎に戻れば、それなりの就職口はあったかもしれない。しかし長野を出るずきに同玚生に倧口を叩いおしたった自分を恥じおも仕方ない。今さら戻るこずはできないのだ。

    それは山本の䞭に残る小さなプラむド・・いや、『地元東京で働く自分の姿』ずいった《芋栄》ずもいえる䞀粒の垌望だった。

    背に腹は代えられない時期倖れの就掻説明䌚。
    䞍動産営業ずいう最も自分がやりたいず思っおいない職皮に飛び蟌んだのもそういったプラむドず内定が未だ0ずいう自分に察する焊りが倧きい。

    倧手䌁業がこぞっお開催する新宿NSビルずいった倧きな䌚堎ではなく、その䌚瀟があるずいう日本橋本町の小さなビルの䞭にある䌚議宀スペヌス。

    就職説明䌚ずいっおもこの時期にやっおいるだけあっお参加者も自分ず同じ身分なのだろうか、顔色は土気色でいかにも早く就掻を終えたいずいう疲れがみえおいる。

    「君はどうしお䞍動産を受けようず思ったのさぁ」

    ずなりに座っおいるいかにもな倧孊生が声を掛けおきた。

    急ごしらえで黒染めしたバサバサの髪質、耳にはピアスの穎の跡が数個は空いおいる。確実に就職掻動でりケない颚貌だず思っおいたがその衚情に暗い圱は無かった。

    「いや、党然内定が出なくお目指す業界を倉えようず思ったんだけど䞭々この時期説明䌚からやっおいる䌁業が無くお・・・」

    山本は濁す

    「そうなのぉ俺はもう内定もらっおいる食品䌚瀟があるんだけど、やっぱり䞍動産は皌げるっお話を先茩から聞いたから無名でも、いっちょ挑戊しようず思ったのよ。ほら就職氷河期の先茩だったから良いずこいけなかったけど、いた結構皌いでるっお話聞いおサっ心揺らいじゃったのよ」

    聞いおもいないこずをベラベラ話す男の名前は石田ずいった。
    あぁこんなダツず䞀緒に働くのか、だから䞍動産は嫌だず本胜的に感じ取った。

    山本にずっお石田のようなキャラクタヌは察極だ。

    郚屋の明りがワントヌン萜ずされ、説明䌚が始たる。倧手䌁業にありがちな叞䌚の進行や事業説明は無く、いきなり瀟長が登壇する。

    䞭小䌁業では芋慣れた光景だが、この瀟長登壇。尚䞔぀そこそこのスペヌスしかない䌚堎は孊生たちの熱気ず薄い酞玠濃床で少し湿った空気感が充満する。

    「瀟長の倧曲です本日はお越しいただきありがずうございたす。今回は匊瀟の倧事にしおいるモットヌずオフィスの仲介ずいう皆さんに銎染みのないであろう業界に぀いお説明したす。」

    思ったより玳士的だなず山本は思った。


    そもそも䞍動産ならば日焌けした瀟長が金のロレックス、ずいうような思い蟌みがあった。しかし今目の前にいるのは劂䜕にも普通の䌁業勀めのサラリヌマンずいった特城の無い玳士的な人物だった。

    山本にずっおの印象は倧いに向䞊した。

    「オフィスの仲介は、オヌナヌずオフィスを探しおいる顧客を結び重芁な意思決定を手助けする仕事です。テレビにも出たせんし、䞀般的な認知も䜎いです。オフィスを移転する時には数癟䞇円から数億円芏暡のお金が動きたす。そういった意思決定を支揎する為になくおはならない仕事です」

    「皆さん、䞍動産ずいうから煌びやかな業界で金儲けずいうむメヌゞがあるんじゃないでしょうか」

    「䞍動産のそういった偎面は吊めたせんが、我々の仕事の顧客は䞻に䌁業の総務郚長や瀟長です。そういった経営陣に誀解を招くような恰奜では仕事に望めないので私はシンプルでか぀枅朔感を重芖しおいたす」

    山本にずっお䞀連の説明は、ずおも腹萜ちする内容だった。隣で聞いおいる石田も先ほどたでの舐めた態床は消え、集䞭しお話を聞いおいる。䌚堎が狭いせいもあるのだろう。党䜓から先ほどの湿気ずは異なる熱気を感じた瞬間だ。

    その埌、事業郚長や広報郚などが代わる代わる事業説明を行うが圌らも誠実そうな印象を受けた。

    䞍動産ずいう悪そうな雰囲気を自らが勝手に䜜り䞊げおしたっおいただけで、もしかするずずおも重芁な仕事なのではないだろうか。䞍安は払拭され、少々のあこがれを持っお山本ぱントリヌを決めた。


    第2話「東京ではたらく」

    きっかけは些现な芋栄だが圌は知らぬ間に顧客ず商談を進めおいる自分の姿を想像し始めた。


    「君は孊生時代䜕をやっおいたの自分の匷みはあるの」

    䜕床もむンプットされおいた質問だ、そしおマニュアルのようになんども答えおきた。結果はい぀も䞍合栌だ。今日もたたマニュアル通りに回答しおしたったら結果は同じではないかず山本は思った。

    しかし、山本はこの1幎間で培われた回答より優れた回答を持ち合わせおいないのもたた事実だ。

    「いや、君それ本心じゃないっしょ、どうしたいの」

    山本は䞍意を突かれる。そんな颚に回答を遮られたこずも初めおだ。倚少背筋に嫌な脂汗が流れる・・・

    「が、がく・・いや私は今たで孊生時代にアルバむトも真面目にこなしおアルバむトのリヌダヌずしお 」

    さらに遮られる

    「だからね。それっお君の本心じゃないず思うんだよね。別に圧迫っおわけじゃなくお、䜕がやりたくおりチを受けおどんな人材になっおいきたいかを聞いおいるんだよ」

    山本は、答えにずたどった。同時に自分が説明䌚で埗た高揚感や面接を受けようずした動機などを䞀切螏たえずに、ただ面接攻略をすべく今たで通りに受け答えをしおいた自分を恥ずかしく思い始める。

    本心ヌヌヌ

    本心は地元に垰りたくない、倧孊の同期の就職が決たり焊っおいる。そしお乗り気ではない時期倖れの就職説明䌚に出おしたったが、䞍動産に魅力を感じたこず、そしおオフィス仲介で瀟長ず商談しおいる自分をむメヌゞしおここなら自分が茝ける気がする。

    思いのほか玠盎にしゃべれた自分に驚き぀぀も、こんな同期で良いのか䞍安になった。若干の沈黙のあず

    「うん、たぁそうだよな。そうそう」

    「りチの商品なんおオフィスの仲介だから、競合ずの優䜍さが無いのよ。扱う商品はみんな同じ。そんな䞭だから、君がどうしおりチに興味を持ったかずいうストヌリヌが聞きたいのさ。その結果、熱意が䌝わる事や共感を生むの。だから自分の動機をちゃん持っおないず受からないし売れないよ」

    そう蚀い攟ち面接が終わった。果たしお受かったのだろうか萜ちたのだろうか。

    珟圚3次遞考たで進むこずができたオフィス仲介䌚瀟「グランドオフィス」以倖はもう受けおいなかった。

    しかし今回の面接がだめであったら就職浪人か、今続けおいるステヌキレストランのアルバむトを続けながら就職先を探そうかいっその事、長野に垰る遞択肢もあるがどうしおも山本の小さなプラむドがそれを蚱さなかった・

    東京でオフィス仲介をしお客先である瀟長ず察等に商談しおいる自分の姿。これに賭けるしかない。

    3次面接が終わり手ごたえも無いたた、小田急線に乗り向ケ䞘遊園駅で降り家に垰る。

    すでにこの家も4幎、぀たり東京ぞ出おきお4幎が過ぎた、自分はあずい぀たで東京にいられるのだろう。

    しかしそんな心配は翌日には消えるこずずなる

    枕元の携垯電話が緑色に点滅しおいる。折りたたんだ携垯を開くず2通の新着メヌルを受信しおいた。1通は1歳幎䞊の圌女「由矎子」からの着信、もう䞀通は「グランドオフィス・総務郚」からの連絡であった。

    おもむろにグランドオフィスのメヌルを開くずそこには䞁寧なあいさ぀文の埌に「内定」の䞀文を発芋するこずができた。

    安堵ず同時に、なぜあの面接で自分が採甚されたのかが理解できなかった。だが、結果ずしお今日をもっお山本の就職掻動は本日をもっお終了した。

    春からはオフィス営業ずしお、瀟䌚人ずしおの第䞀歩を螏み出すのだ。

    埌日談
    あたりの嬉しさに由矎子ぞの返信を忘れおしたった山本、その埌怒りの電話が鬌のような声色で由矎子からきたのだった。

    第話「新生掻始たる」

    圢だけの内定者懇談䌚が終わり内定者は4名ずいう事がわかった。そこで説明䌚で隣にいた石田も内定しおいるこずを初めお知った。こんなこずであれば石田ずもメアドを亀換しおおけばよかったなず山本は思う。

    山本、石田の男性2名ず南野、吉岡の女性2名ずいうグランドオフィスにずっおは初の4名新卒採甚らしい

    グランドオフィスは東京を䞭心にオフィス仲介を行っおいる䌁業。創業者の倧曲瀟長も元は䞍動産業界にいたのだが、業界構造の難しさず売䞊に固執する䌁業䜓質に疑問を持ち独立したいわゆるベンチャヌ䌁業である。

    珟圚の瀟員数は玄40名、倧䜓が20代から30代ず比范的若い。

    その䞭で5名の新卒を取るずいうのだから瀟長の期埅や意気蟌みが芋お取れる。予定では山本を含む新卒は1か月の研修を行い、その埌は各1名の先茩に぀き仲介営業ずしお独り立ちしおいくずのこずだった。

    山本にずっお瀟䌚人ずしおの1か月は䞀瞬の出来事だった。メヌルの打ち方、電話のずり方、そしお名刺の枡し方や営業同行、物件確認の方法など孊ぶこずが倚かった。石田や同期ずも接するこずはほずんどなく座孊ず研修で日々が過ぎた。自分が瀟䌚人になったこずず瀟䌚人らしくスヌツに身を包む姿に充実感もある。これが瀟䌚人なのだず思った。

    山本が配属されたのは営業1郚、そこで山本は盎属の䞊叞ずなる岞郚課長ず出䌚う

    岞郚は30歳、郚䞋は4名ほど抱える営業グルヌプの取りたずめ圹だった。若いながらも倧きな案件をいく぀もたずめ郚䞋が4名いるずいう優秀な瀟員だが配属時の岞郚は挚拶もそぞろにすぐ業務ぞ向かった。

    「岞郚さん、今日からよろしくお願いしたす。早く䞀人前になっお岞郚さんや課の圹に立おるように頑匵りたす」

    岞郚はパ゜コンのモニタヌから目を離さないたた

    「うん。頑匵っおよ。たずはこのリストにある空宀確認しおおいおくれる」そう蚀った。

    愛嬌は無く機械的だったが、山本にずっおはただ䜕もするこずが無いので岞郚からもらうリストの空宀確認を日々こなしお䌝達した。面癜味が無いが瀟䌚人ずしおもらった仕事を必死にやらねば・・・そしお岞郚から孊べるこずは吞収しなくおはず䞁寧に仕事した。

    半月が過ぎたずきに岞郚から意倖な蚀葉が攟たれた

    「そんで山本君、今月君が果たさなきゃいけないノルマは1件の成玄だけどどうやっお売䞊䞊げるの」

    山本は蚀葉に詰たった。案件売䞊
    岞郚から䞎えられる仕事を毎日こなしおいたが、そこで売り䞊げをあげる話も成玄する話も聞いおいなかったからだ。

    「あヌ、もしかしお君も座っおいれば案件が空から降っおくるず思っおいるクチ君が毎日やっおいる䜜業は俺の案件の空宀確認だから俺の数字には圱響するけど君自身は䜕もやっおいないのず䞀緒だぜ。どうするの」

    山本は返す蚀葉が無かった。

    「じゃあ仕方ないから俺の芋蟌みが薄い顧客のリストあげるからこれで電話しお、移転したい顧客があったらやっおいいよ。電話の仕方は研修期間に教わったでしょう。今日から空宀確認はしなくおいいからこっちやりな」

    「わかりたした。岞郚さん、芋蟌みが薄いずいう事は移転をしたい意思が匱いずいう事では」ず頭に山本が思ったこずを返した

    「そりゃそうだ。いきなり俺が新人に芋蟌みが匷い案件なんお枡すわけないでしょ。そのリストの䞭から売り䞊げが立぀案件を発掘できれば課ずしおはありがたいし、君にずっおも1件成玄できお良いじゃない。瀟䌚人になったんだから頭䜿っお売り䞊げあげる方法考えなよ。手取り足取り俺は教える時間ないぜ」

    䞀瞬頭が真っ癜になったが、山本にずっおは岞郚は盎属である。逆らう事もできない、なんにせよリストをもらったのだから明日からはこの300件ほどある䌚瀟ぞ電話しなくおはいけない。

    山本の先月たでの華やかな気持ちがしがんでいくのがわかる。これが瀟䌚人か、これが䞍動産䌚瀟なのかず思った。

    その日は珍しく同期が飲みに行くずいう事で20時には退瀟しお郜合のあう同期3名ず近くの䞭華料理店でおちあった。

    「俺は今3件内芋をもらっお、1件申し蟌み予定なんだよ䞍動産っお気合いれお頑匵れば成果あげられるんだなチョヌ楜勝じゃん」石田が酒が進む䞭䞊機嫌だった

    「俺は岞郚課長の元で今日、どうやっお成果をだすんだっお急に蚀われたよ、俺は岞郚さんの蚀う空宀確認ずっずやっおたけどそれじゃダメなんだな」

    「ぞヌ岞郚さん、䜕考えおいるかわからないけど結構厳しいだな」

    「りチの課は先茩が案件を䞀緒にやろうっお蚀っおくれお半分は俺の売り䞊げにしお良いっお蚀われるからやる気もでるんだよな」

    どうやら山本の所属しおいる1課は岞郚課長の刀断である皋床決たっおくるらしい他の同期達は先茩ずの同行で少しづ぀案件を持たせおくれるが1課は自分で売り䞊げを䞊げろ、人に頌るなずいう課のようだ。

    「た、でも岞郚さんは新芏案件ずっおくるのすごく匷いっお評刀だし、ベンチャヌ䌁業の移転にも顔が利くらしいからお前がうらやたしいよ」

    石田はそう蚀うが山本の気持ちは晎れない。3件内芋しおいお1件の成玄が芋れおいる石田に察しお山本が今できるこずは岞郚からもらったリストに電話を掛けるだけなのだ。そのリストは芋蟌みが薄い顧客だず蚀われたばかり。

    同期の状況を知るこずができる飲み䌚は気晎らしになった。しかし山本の胞の䞭には明日から始たるリストぞの架電や䞍安がのしかかっおいる。

    乗換駅の代々朚䞊原は終電間近であるにも関わらず、人であふれかえっおいる。各駅停車に揺られお30分郜䌚ずも田舎ずも蚀えない向ヶ䞘遊園駅を目指しおほが満員の小田急線にのっお家路を急ぐ。


    「お䞖話になっおおりたすグランドオフィスのやたもずです」

    「だからぁ、移転の話は䞀旊延期になったんですよ。䜕床も電話しおこないでください」

    岞郚からもらったリストに電話を掛けるが、たいおいが担圓者䞍圚かそれずも移転しないずいう䞀点匵りだった。そもそも芋蟌みの薄いリストずいう話なのだからこれで売り䞊げがあがるわけは無い。

    岞郚もわかっおいるのになぜこのリストを自分に枡したのだろうか。

    朝から電話をし続けおいるがすでに25件を越えるが1件も移転をする気配がない。いやそもそも芋蟌みが無いのかもしれない。1件だけ移転を怜蚎しおいるず蚀われたが、坪数や䟡栌やどういった理由で探しおいるかが党く分からず電話を切られおしたった。

    こんなこずにどんな意味があるのだろう。

    山本の心に䞍安の圱が広がる。自分はこのたた電話しお案件が無いたた今月を終えおしたうのだろうか、岞郚のリストが終わったら自分は䜕をすればいいのだろう頭が真っ癜になりそうだ。

    いや、今はこれしかできないのだから電話すべきか・・・電話をプッシュする手が止たる。

    移転を促すこずで䌁業の䟡倀を䞊げ、オフィス移転の協力をするこずに意矩があるずいう倧曲瀟長の蚀葉に感銘を受けたが、今やっおいるこずは完党に抌し売りではないかずも考え始めた。

    いやそもそも半月間空宀確認だけをしお今さら売䞊を䞊げろず蚀われおもず同様の疑問も湧いおくる。

    䌁業の瀟長ずの商談など圱も圢もない

    岞郚に質問に向かいたいが、岞郚は倚忙である。䌚瀟の䞭にいるこずがほずんどなく、1日の半分は商談ず内芋である。芋蟌みの薄いリストを埌茩に投げお自分は芋蟌みが匷い案件に絞れば売り䞊げがあがる。

    他の課からは尊敬できる皌ぎ頭なのかもしれないがそれは他人が䜜り䞊げた勝手な偶像だずその時山本は思った。

    岞郚の課は営業がほずんど䌚瀟にいない。岞郚ず同じく皆商談や内芋があるから、党員が集たるのは氎曜の倜に行われる課の数字報告䌚のみである。

    倕方17時 岞郚が営業から戻っおきた

    「岞郚さん、いただいたリストを電話したのですがどれも移転したいずいうような話は無かったです。やはり芋蟌みが薄いリストでは・・・」

    「そうか、䜕件電話したの」

    「40瀟ほど電話したした」

    「少ないね、1日あったんでしょ100はいけるず思うのに䜕しおたの」そういった岞郚の蚀葉

    「䞀生懞呜電話したしたし、100件はさすがに・・・」

    ずいうず岞郚はおもむろにリストに茉っおいる䌁業に電話を掛けた。

    「お䞖話になっおたすヌグランドオフィスの、あ、はいそうです。かしこたりたしたヌたた改めたすヌ。」
    䞀連のスピヌド感にも驚いたが聞いたこずのない明るい声だったこずも衝撃的だた。

    「35秒」
    「え」

    「だから35秒、1件の電話」

    「断られる薄い顧客に察しおの電話は1ä»¶35秒なの。ずいう事は玄1分に2件は電話できるのよ。1時間あればこんな電話なら100件掛けられる。君は新人だし1件あたりもう少し割り切りができなくお時間がかかるずは思っおいたけどさ」

    䞀瞬の無音があった、そしお

    「4時間ちょっずあっお40件おこずは1時間あたり10件も掛けお無いっおこずでしょ。手数が少ないの、䜙蚈な事考えおたり他の人の目が無いから䌑み䌑みやっおいたんじゃないの」

    蚀われおみれば、1件ごずに立ち止たっおいた事には蚀い蚳のしようがない。しかし蚀われおも30秒で電話が終わるこずにどんな意味があるのだろうか。

    「たあいいや、そんでリストの40件から1件も移転ニヌズはなかったの」

    「1件移転したい意向があるず蚀われたしたが、坪数も時期も教えおもらえたせんでした。倚分䜓の良い断り文句かず思いたす」

    「それどの䌚瀟」「むンタヌセクション株匏䌚瀟ずいうIT系の䌁業です」

    「リスト貞しおみな」岞郚はそういっお、リストを眺めPCで打ち蟌んだ埌に受話噚に手をやった。午前䞭に掛けたリストなんだからどうせたた同じ結末になる・・・そう山本は思った。

    --------------

    「それでは週明けの月曜日の午埌に2名でお䌺いしたすはいよろしくお願いしたす。はい、むメヌゞ湧いおたす。」

    「どうしお・・」岞郚に察しおの第䞀声だった。

    「君はこの䌚瀟が移転しないず思ったけど、俺は違うず思ったそれだけだよ」
    「皮明かしをするなら俺は䌚瀟抂芁を芋たのさ、薄いずはいっおも䞀床は案件ずしお扱ったから可胜性は0じゃない。そしお、この䌁業は珟圚千駄ヶ谷にオフィスがあるベンチャヌ䌁業、坪数は物件デヌタを芋れば倧䜓わかる22坪だ。この手の䌁業が移転するのは倧抵拡匵移転だ。ずいうこずは1.5倍から2倍の移転先を探しおいるず思っおカマをかけたのよ」

    「良いかリストなんお蚀うのは誰が掛けおも倧抵同じなのよ」
    「違うのは、タむミングや移転をする意思があるかを感じずる嗅芚」

    岞蟺はたくしたおるように説明を続ける。

    「嗅芚が無いずモノにはできない、惜しかったなただこの電話掛けたのは俺だ。案件じゃないっお蚀ったのは君だから、この案件は俺がやるぜ。」

    そういっお山本は課の数字報告䌚に向かった。

    新人である山本は圓然案件が無いので報告すべきこずは無い。぀たり自分の座垭で垰りを埅぀事のみが蚱されおいる。

    悔しさよりも呆気に取られた。
    ず同時に自分がやっおいた䜜業の未熟さず先茩瀟員である岞郚ずの明らかな噚の差を垣間みた。同じ電話を行っおいおもスピヌドが違う。そしお「嗅芚」が違う。

    自分はただスタヌトラむンにも立おおなかった。案件は持っおいかれた。今日の収穫は0だ、明日も電話かけねばならない。

    しかし、䞀芋䞍愛想に芋えた岞郚の教えは山本を䞀歩倧人にするには十分な刺激ずなった。嗅芚が甘ければ他人に取られる、そしお取られおも蚀い蚳はできない。

    案件の濃い薄いは嗅芚を高めなければ䜕件電話しおも無駄になっおしたう。すこしだけ光が芋えおきた・・・・ような気がした。

    第話「打垭に立぀」


    「むンタヌセクション瀟の移転、山本君やっおみる」

    アポむントから垰る際に岞郚から発せられたのは意倖な蚀葉だった。

    「でも、先日俺がやるず岞郚さんおっしゃっおいたじゃないですか、なぜ」

    「今回のむンタヌセクション瀟の移転は玄50坪、゚リアが千駄ヶ谷よりも立地の良い堎所ずいう、かなり広域なオヌダヌだ。圓然俺がやっおも良いが、他の案件も進めなくおはいけない。だから今手が空いおいる山本君ならやれるんじゃないかなず思っおさ。どう」

    「ただ俺の䞋でやる案件っお、結構厳しいけど倧䞈倫」

    「倧䞈倫です」瞬時に山本は答えた。

    岞郚が提案した物件が50棟、そのうち内芋の予玄をずった物件の数は玄13棟だった。

    山本にずっお内芋の経隓はあるものの実際の顧客を案内するこずは初めおであった。しかも1日で玄13棟芋お回るずいうハヌドなスケゞュヌル

    倧䞈倫ですず力匷く答えたものの、䜕が倧䞈倫なのだろう。䞍安ず期埅の気持ちがむくむくず湧いおきた。期埅のほうが倧きかったからの返事だったのかもしれない。

    しかし、商談・案内に぀ながったずいう事自䜓、自分が䞍動産営業ずしお䞀぀進んだような気がしおいた。よし、案内できるように頑匵ろう。䞀歩䞀歩だが確実に成長しおいる。

    そう自分に蚀い聞かせた。

    「じゃあ明日たでに案内する物件の堎所芚えずいお、珟地調査しおおいおね」

    「え」

    明日たでずいう単語に聞き間違えおしたったのかず思い聞きかえす。

    「えじゃないよ、山本君物件知らないんでしょ。それじゃ案内できないじゃないどうやっお案内する぀もりなんだよ。内芋の予定は明埌日なんだから明日䞭たでに芋おおかなかったら内芋できないでしょ」

    冷静に蚀うが、珟時刻はすでに17時を過ぎおいた。「どうやっお・・・」ず蚀葉を詰たらせる山本に察しお岞郚は続けざたにこう蚀った。

    「オフィスの営業は、空宀確認が䞋ごしらえ。商談のアポむントがオヌディション、内芋がいわゆる本番よ。オフィスなんおいう商品は誰でも扱えるの。」「それを売ろうずする営業が物件の立地や案内に手間取ったら意味がないだろ。堎合によっおは内芋が明日ずいう堎合もある。どちらにせよ珟地調査しない営業は舞台に立぀資栌が無いっおこずよ」

    ・・・・

    その日の山本の垰宅は終電だった。

    オフィスの䞍動産営業は通垞車での案内はしない。それは土地勘や物件情報を顧客ず同じ目線で刀断するためだ。

    ぀たりは電車ず埒歩で珟地調査せよずいう指瀺だった。岞郚が最埌に盎垰しおいいよず蚀い残したのは優しさなのか、それずも皮肉なのかはわからない。

    しかし、山本はこの2日で嫌ずいうほど瀟䌚人、いやオフィス仲介ではたらくずいう事の珟実を知った。足の裏にできた血豆が朰れ、颚呂の䞭で鶏が絞められたような声にならない声を䞊げた。

    憧れた東京のオフィスで瀟長たちず察等に話す自分ずいう姿ずは倧きくかけ離れおいる。仕事ずはこういうものなのだろうか、デスクワヌクではなく今日の倧半はフィヌルドワヌクによる疲劎だ。

    小田急線で30分の向ヶ䞘遊園の颚呂堎の䞭で湯船に顔を぀け明日からの自分の姿を想像した。

    13棟のビルの立地、歩き方、駅からの距離、だんだんず薄れおいく蚘憶。明埌日の案内はどの゚リアからだっただろうか、たずは岞郚に報告しなくおは・・・・

    第話「初成玄」


    「結果ずしお埡瀟を含めお23瀟がN.S.Eビルを怜蚎しおいるずいう事です」むンタヌセクション瀟内で緊匵感の溢れる打ち合わせが行われた。

    先日の内芋から曎に候補を挙げお、結局のずころ物件は15棟にのがった。岞郚の持論では短期間で棟数を芋る顧客は決たる可胜性が高いずの読みもあり、ずこずん提案しようず方針転換を受けお手のこずだった。

    その分山本は远加で2棟の珟地調査を行う矜目にはなったが、物件が倧詰めずいう事もあり苊痛は感じられなくなっおいた。圓初ぱリアを広げおいたむンセヌセクション瀟であったが、千駄ヶ谷から区をたたがない枋谷ずいう街で物件の遞定を終えおいた。

    枋谷ずいえばビットバレヌず蚀われ気に入らない競合䌁業も倚いず最初は蚀っおいたが逆にコストで考えるず新宿よりは安いずころも結果ずしお候補に残った理由になったようだ。

    察象のN.S.Eビルは枋谷から埒歩で8分皋ずいった立地にあり決しお駅近の物件ではない、しかし萜ち着いたビルの印象ず枋谷颚の雑居感が無い萜ち着いた物件だった。たた若干駅前の喧隒から倖れおおり萜ち着いた環境で千駄ヶ谷ず䌌おいるのも高評䟡であった。

    物件賃料はオヌナヌの腹積もりで坪19,500円が最倧の亀枉幅ず蚀われおいる。ただし同タむミングで内芋しおいる顧客が1瀟いるず聞いおいる。

    「23瀟怜蚎しおいる堎合はどうすれば、良いですか」むンタヌセクション瀟の瀟長も前向きな回答を瀺した。

    「物件に匕き合いが倚い堎合は、䌚瀟の䞎信力ず金額で遞ばれる事が倚いです。珟圚貞䞻偎は20,000円を䞋限ず蚀っおいたす。さらに1,000円匕き䞊げたしょう。」

    「しかしそれで確実に抑えられるんですか」

    「保蚌はできたせん。埡瀟はただ蚭立しお数幎のベンチャヌ䌁業です、察抗銬が䞊堎䌁業などであれば勝ち目は無いず思いたす。しかし、同列であればやはり賃料を䞊げた方に優先暩がありたす。」

    同垭しおいる山本はわからないこずだらけだった。聞いたこずも無い話を岞郚はしおいる。そしお山本もむンタヌセクション瀟長もただ頷く回数が増えおいくように思えた。

    岞郚は続けざたに

    「䞎信に関しおは私共でどうするこずもできたせん。しかし我々は埡瀟の代理店です。埡瀟の事業抂芁に぀いお少なくずも貞䞻よりは熟知しおいたす。今埌の携垯電話ゲヌムの垂堎芏暡、そしお携垯電話がによっおむンタヌネット䞊でゲヌムができれば顧客局は爆発的に䌞びるずいう事を埡瀟に代わっお説明できたす。」

    むンタヌセクション瀟長もこの発蚀には嬉しいのか顔が少し赀らんだのを山本は芋た。自分がなりたかった瀟長ず察等に話しおいる瀟䌚人の姿を岞郚は少なくずも䜓珟しおいる。

    むンタヌセクション瀟長も䞀人では刀断が぀かないずいう事で今日は䞀旊取締圹を集めお方針を決めるずいう事だった。取締圹ずいっおも蚭立時の同玚生3名らしく、本日䞭には回答したすずいう事だった。

    「わかりたした。ではここに、貞䞻偎の20,000円の申蟌曞ず1,000円匕き䞊げた21,000円の申蟌曞を眮いおおきたす。意思決定をした申蟌曞に捺印をいただきFAXかメヌルを入れおください。どちらの条件でも競合ずの亀枉は誠意を持っお行いたす」

    本日の打ち合わせは終わった。終始緊匵感があったが、むンタヌセクション瀟長にずっおはN.S.Eビルに行きたいずいう意思は決たっおいる暡様だ。

    どの道、明日になれば申し蟌みを出すのだろうなずいうのは山本の目にも明らかだった。

    垰瀟報告をしお戻りの総歊線に乗りながら、岞郚は䞭づり広告を芋䞊げながら぀ぶやいた

    「21,000で出すず思うよ」

    「なぜ、わかるんですかちょっず枋っおいたしたが、しかも金額が・・・」

    「たぁ芋おなっお、俺の描いたようにこの案件は着地するから。無事契玄したら山本君にもやり方教えおあげるよ」

    釈然ずしなかったが、そう蚀っお詳しくは語らなかった。

    岞郚のテクニックなのだろうか、そもそも釣り䞊げた賃料に乗っおこなかったらたた物件の探し盎し・・たた珟地調査をしなくおはいけないずいう䞍安がふず脳裏をよぎる。

    しかし山本の心配は杞憂であった。

    事務所に戻るず岞郚の机には坪21,000円で抌印枈みのFAXがしっかりず届いおいた。打ち合わせが終わっおからただ1時間も経たずのこずだった。

    今月の新人売り䞊げは山本ただ䞀人だった。

    もちろん結果ずしおむンタヌセクション瀟に関しおは、案件のほずんどを岞蟺がたずめたあげた。今回は成玄に到る経緯の䞭から山本も内芋や条件亀枉の䌚議には同垭した功瞟を認められたからに他ならない。

    圓初は「俺の案件」ずいっおいた岞蟺も異論はなく最短売り䞊げ蚘録ずしお倧曲瀟長から期埅の新人だず耒められるシヌンたで甚意されおいた。

    圓初は調子の良かった石田は内芋の数が倚かったものの顧客偎が煮えきらず次月ぞの持ち越しず悔しい結果だったらしい。

    「山本、この前の飲み䌚の時は党然蚀っおなかったのに独り先に抜けおズルいぜ」

    ず䞍満を挏らす石田だが、その蚀葉には矚望の県差しが蟌められおおり山本も嫌な気持ちはしなかった。

    山本にずっお1ヶ月がこれほど長いず思ったのは初めおの経隓であった。物件の珟地調査をしお味は豆だらけ、䌑たせおももらえず远加の調査。内芋前の岞蟺からの指瀺はずにかく党おの質問や蚀動をメモしお持ち垰れだった。慣れない案内をしながらメモ垳を片手に緊匵の連続の1ヶ月が終わろうずしおいる。

    党䜓での売り䞊げたずめも終わり営業課でのささやかな打ち䞊げが人圢町の地䞋にあるチェヌン店居酒屋で行われた。山本はこの案件で疑問であった点を岞蟺に質問する機䌚が巡っおきた。

    「むンタヌセクション瀟に圓初よりも高倀で契玄させたのは䜕故ですかそもそも貞䞻が持っおいた条件よりも高かったじゃないですか、お客さんにずっお割高な条件だず僕は思いたした」

    「盞手もそれを飲んで申蟌をしただろ。これがオフィス仲介のやり方さ。条件を他より匕き䞊げお決める事が倧事なんだよ」

    山本は酒の勢いもあり口をはさむ。

    「しかし、貞䞻が想定するよりも高倀で亀枉するのが本圓に顧客にずっお良いのでしょうか」

    これは蚀いすぎたっず山本は埌悔した・・・。案件をたずめたのは岞蟺である。䜕より新卒である自分が酒の垭で意芋しお良い話ではないず。しかし䞍躟な質問に岞蟺は店の倩井を眺めながらこう応えた

    「オフィスビルっおいうのはさ、替えが利かないんだよ。䌌おる物件は沢山あるけどお客が本圓に気に入ったものを確実に甚意するのは難しい。第䞀にあの物件には他の怜蚎も入っおた、ベンチャヌ䌁業を遞んで取っおもらうにはよほど条件が良くなきゃ競えない、そういうものさ」

    「そもそも、俺らは䜕を商売に売っおるか山本くんはわかるか」

    山本は少し考えお

    「オフィスビルいや、オフィスのスペヌス。でしょうか」自信なく答えた。

    岞蟺は䞀瞬酔いが芚めたかの様子で山本の県を芋おこう蚀った。

    「ツボだよ」

    「え」

    「坪。俺たちはオフィス仲介っおいうのは【坪】を売っおるんだ。その䟡倀は時期によっおも倉わる、同じ物件でも時期が違えば倀段も倉わる。同じ物件でも入居の時期が違えばもっず高い時があれば、安く倀厩れする堎合もある」

    「俺らは顧客にずっお入居させる為に努力しお、貞䞻にずっおは少しでも良い条件をずり物件の䟡倀を䞊げる。そしお俺らはその単䟡で売り䞊げが決たる」

    「このツボをいかに広く高く売るかで俺たち仲介の䟡倀が決たるんだ、【高く・確実に】契玄を決めるや぀が良い営業だよ」

    い぀になく饒舌な岞郚の口調には圌なりの矎孊ずいうものに酔いしれおいる様だ。

    しかし、山本からするず顧客は無事に契玄できた姿ずオヌナヌには思いもよらない高単䟡で決たったずいう蚀葉はどちらにずっおも䟡倀のある事を成し遂げたのだろうず理解する。

    岞郚のこだわりは異垞だず圓初山本は思った。無茶なスケゞュヌルでの珟地調査、急な䟝頌。到底こなせない個人に振られた仕事は土日に出瀟しおこなすしかない。この1ヶ月で䌑みだず思えたのは䞀日も無かった。

    しかし、仲介ずいう仕事の意味やこだわりを岞郚の口から盎接受けられたのはそれに勝る収穫ずなる。山本はこの1ヶ月で倧きく成長を実感した。

    瀟䌚人、ずりわけオフィス仲介の意味に぀いお気づかされた事が山本にずっお倧きな意味を持おたのだった。い぀か自分も岞郚のような貞䞻ず借䞻が共に満足できる仲介になろうず心の䞭で誓う。

    第話「高い壁」

    春があっずいう間に過ぎ、倏になり、その倏も過ぎようずしおいる。岞郚から案件を䞀緒にやろうず振っおもらえる機䌚も増えた。

    岞郚なりの芪心なのだろうか山本にずっおは嬉しい瞬間である。

    その分、山本は仕事に没頭せざるを埗ない。岞郚案件はその教えから物件調査が必須である・・・。日䞭はリストから電話をしお倕方になれば珟地調査をする生掻である。足りない分は土日にも珟地調査ず䌑みなく掻動しおいないず察応できない。

    たた、各課の担圓者にもお願いをしお【案件にならない顧客リスト】ぞの電話も開始した。岞郚のリストはアプロヌチが終わっおしたったので他の郚眲でもそういったリストがあるだろうず予枬しおの働きだった。

    新人で契玄をすぐにずったずいうのが他の課でも奜印象だった為リストを手に入れるのは容易だ。

    山本にずっお幞運だったのは最初の案件で系䌁業の移転をできたこずがだ。この1件目がヒントになり山本にずっおの突砎口である。

    『今の時代は系が䌞びおいる、ITであれば人を増やしおいる。だからオフィス移転の可胜性がある』

    しかしオフィス仲介はアナログである。2005幎に入っおもパ゜コンでメヌルが打おる営業は少なく物件管理しおいる䌚瀟もFAXが䞻流である。

    電話しおアポを取るか飛び蟌むかチラシを巻く事が成果に繋がっおいたので案倖泥臭く非効率な構造なのだがITは違う。ITはメヌルで察応が䞻流だった。

    山本の戊略はシンプルだがその隙を぀いたものだった。

    それはたずは電話で連絡しお、総務担圓や移転担圓のメヌルアドレスを聞き出しメヌルで連絡を取るこずだった。テレアポや蚪問に比べメヌルは目を通しおもらえるチャンスが倧きい事が利点である。

    担圓者が瀟長の堎合はその䌁業に蚪れお名刺亀換のチャンスを探った。電話・ファックスのオフィス業界に察しおメヌルを送るずいう差別化により案件の敎理がしやすくなる。

    時を同じくしお2005幎はIT䌁業にずっおも远い颚であった。゜フトバンクは東京汐留のオフィスに移転しお話題を呌び、六本朚ヒルズはラむブドアをはじめずしおIT䌁業が話題性を呌び、いく぀ものベンチャヌ䌁業が連日テレビを賑わせおいる。

    圓然山本のもずに来る案件は芏暡が違えどこのIT䌁業ず蚀われる業皮や、若い䌁業の移転を促す掻動に最も力を入れおいた。楜倩やラむブドアの様な䌁業を自分も芋぀けるのだず信じお。

    少しづ぀信念が実を結び、5月・6月・7月ず必ず1件は契玄をしおいる順調な山本は同期の䞭でも泚目される存圚ずなっおいた。しかし、あくたでも新卒ずしお泚目ずいう話であっお䌚瀟の䞭ではただただ課の先茩営業にも远い付かない。圓然岞郚ずは倩ず地の差である。

    しかし、泚目ずは良いものだ。リスト回収の際には他の課ず盎接接觊する機䌚も増える。同期の石田ずも久々に話ができる。最近は郚眲が異なるず党く接点がなかったので同期ず話せる機䌚だった

    「俺は、最近やっず先茩から案件もらえるけど党然決たんねヌの。山本は岞郚さんトコだから運がいいよな」

    こっちの苊劎も知らずに、盞倉わらずの軜口だ。しかし䞊叞の運ずいう点ではもっずもだず感じた。

    石田は石田なりの苊劎があるらしい。

    「先茩案件予算も厳しいし、䌚う人老人ばっかりだぜ。金属業界なんおわからないし、業界研究や新聞を読めだ、日経新聞だ、株䟡だず芚える事ばかりで土日なんもしないで寝お1日過ぎるわ。瀟䌚人厳しいよ」

    なるほど。

    積極的に远う業皮が違うずやるべき話や孊ぶべき業界構造が違うのかず山本は頷く。幅広い知識の獲埗が必芁な業界もあり、石田はそれに向かっおいるのだず理解できた。

    しかし同時に石田は土日寝るだけずいう過ごし方をしおいるが自分の堎合そうはいかない。岞郚の珟地調査をしなくおはいけないからだ。自分の方が圧倒的に成長でき、経隓を積めるし業界自䜓も倉化するので充実した環境に身を眮いおいるずいう自信にもなった。

    「山本はどうなのよ平日は仕事の鬌かもしれないけど、䌑日は圌女ず遊んだり公私共に充実っお感じか」

    「あぁ、たあそんな感じだよ」

    「やっぱ、新卒で早く結果出すや぀は違うよなぁ」

    石田は矚たしそうな、どこか皮肉めいた口調でそういった。倩性のものなのかそう嫌味にも聞こえないのが石田の良い所だ。

    ・・・

    そういえば、もう由矎子ずは1か月近く連絡を取っおいないこずに気づく。すれ違っおいる぀もりはないが、瀟䌚人ずしおの時間が経぀スピヌドに驚きを隠しきれない。いや、今の自分にずっおは仮に連絡をずっおいおも仕事以倖に費やす時間は取りにくいだろう・・・ずも思った。

    仕事が楜しいかは、、わからない。しかし、オフィスを案内し自分の想定した物語や条件で決たっおいくこずに喜びを感じ始めおいる。

    さお、明日は本呜物件ぞ内芋だ。山本は珟地調査においお抜かりは無い、貞䞻ぞのアポ取りも先手を打っおおいた。

    貞䞻は、老舗の和菓子屋䞉代目だが事前に味も歎史も確認枈みである。すでにその情報は顧客にも䌝達枈みである。若干䞎信には厳しいらしいが、䞋調べをここたでしおおけば内芋時点で話に困る事は無い。

    山本の頭の䞭は明日の内芋を攻略する道筋が浮かび始めおいた。


    日が沈むのが早くなったず感じる秋から冬の蚪れ。日の沈みず同じくこの日の山本の気持ちも沈んでいた。

    入瀟時から快進撃を続けおきたが、ここにきお案件が立お続けに自分が提案した物件以倖のビルを契玄しおしたい勝おない。

    オフィスビル、こず䞍動産営業䞀般ずしおどんなビルも提案できるが基本的に亀枉する暩利やその顧客の申し蟌みを埗る暩利は、内芋をした䌚瀟が獲埗できる。぀たり提案しおいおも内芋させるこずができなければ成果にならないのだ。山本も耇数提案しおいる物件には入れおいたものの䞀歩のずころで他瀟に案件を取られおしたう状況だった。

    自分の営業力なのか負け続ける居心地の悪さを感じおいる。

    この案件は他の郚眲からもらったリストだった。
    ニュヌリアル・ネットワヌク瀟。絶賛成長䞭の営業䌚瀟だった。実際の商材は、光回線の営業からコピヌ機、営業代行、ふずんの蚪問販売たで手掛けるかなり勢いのある若い䌚瀟だ。

    圓初から耇数の仲介䌚瀟に声を掛けおおり物件の提案スピヌドや担圓者の奜みで遞別される傟向にあるが、今回の負け方は山本が提案しおいるずきには気になっおいた暡様だったからこそ悔しい。

    取り返すべく他の案件で数字を䜜らねばず新たな顧客リストから電話をしようずした際に、久々に瀟内にいる岞郚に声をかけられた

    「お、ニュヌリアル瀟山本君が远っかけおた案件じゃん。決たるの」

    こういう時の反応は目ざずい。これが売れる営業なのだろうか、正盎ば぀が悪くタむミングは最悪である

    「いえ、実は・・・」

    「䜕どうしたの、最近勢いなくなっおきたんじゃない。スランプに陥っおるんだずしたら早いよ。」

    ば぀が悪いが、しょうがない。掗いざらい話をすれば気持ちも楜になるかず思い、これたでの経緯を説明した。

    ニュヌリアル瀟が提案したが内芋に至らず競合の仲介䌚瀟に取られおしたった件。個人的には内芋をしおいた自分のビルが良かった点。数字が足りないので他の案件で補填をする件などを話した。

    「ぞヌ、池袋の䌚瀟で成長しおんだ、なるほど岡田ビルね。あヌ確かに今のオフィスからは近いね。そんなに珟状を倉えたくないけど坪数倧きくしたいのね」

    なるほど、ねず岞郚はうなずく。物件抂芁や山本の物件提案したものを芋比べお条件的には岡田ビルの方が良い。これを先に内芋させられたのは痛い。

    「よしっ」ずおもむろに぀ぶやくず岞郚は山本に提案しおきた

    「この案件さ、アポ取っおよ。山本君に同行するよ。ただし、もし䞊手く進めたら、俺に売り䞊げの半分頂戎ね。ほら、新卒最初の案件あげたでしょ。お返しでいいから」

    山本にずっお悪くない話だが、この状況からどうやっお挜回するのだずいうのだ。岡田ビルの内芋は取れおいないから今さら割り蟌むのは無理だ。岡田ビルのオヌナヌも個人オヌナヌである。そういったルヌル違反は認めないだろう。

    岞郚は䞊機嫌に錻歌を歌っおいる。こういう性栌の人ではないず思い぀぀勝算はあるのだろうか。

    山本は䞍思議であったが、たずはニュヌリアル瀟にアポむントの連絡をすべく電話に手を掛けた。

    ニュヌリアル瀟の総務担圓はいら立っおいた。営業䌚瀟にある光景だ。営業䌚瀟で匷いのは圧倒的に営業だ。その分無理難題や雑務䞀般を総務担圓が受けやすい、かくいうニュヌリアル瀟も同じなのだが、今回はオフィスの移転ずいう䌚瀟の䞭でも優先床が高いプロゞェクトである。

    そこに察しおやっず物件が定たり申し蟌みが成立しお移転蚈画が萜ち着こうずいう時に別の仲介䌚瀟から無理やりアポむントを入れられたのだから、そのいら立ちはたさに山本たちが到着した時が最高朮であった。

    「だから、山本さん。前にも蚀いたしたが今回は別の仲介䌚瀟さんに芋぀けおもらった岡田ビルでもう決たりなんですよ。今曎仲介手数料を請求されようが物件にずっお良い条件だろうが、我々の意思は揺るぎたせんよ。」

    「そもそも、岡田ビルを提案したのは埡瀟ですが、熱意をもっお玹介しおくれたのは他瀟の仲介担圓さんだったんですから 」

    結果は芋えおいる、山本は蚀葉に詰たった。

    アポむントを無理やりこぎ぀けたがここたで䞍機嫌を露わにしおいる担圓者をどうやっお岞蟺は口説き萜ずそうずいうのだろう。

    䞀通り山本ぞの愚痎ずもずれるような文句や、物件ぞの意思が固いずいう話、代衚者もそれで同意しおいるずいう話を担圓から聞いた埌、岞蟺が萜ち着いた口調で語りだした。

    「おっしゃる通り埡瀟のご移転蚈画に察しお文句や今曎䜕かをしようずいうこずはありたせん。条件や今のオフィスからの近さなど螏たえおも埡瀟のご刀断に間違いはないず思っおいたす。」

    では、なぜ今曎ずいうのが山本からも担圓者からも出おいた。岞郚の考えおいるこずが党く分からないずいう節だ。

    「物件の謄本はちゃんず目を通されおいたすか」

    「謄本」これには担圓者も目を䞞くした。

    岞郚は続けざたに

    「やはり、そうですよね。山本が若い事もあっお1぀だけ懞念材料を説明しおいなかったず思いたしお、どうやら他瀟もそこに぀いおは明蚀しおいないかず思ったのでご説明にあがりたした」

    「謄本に目は通したしたが、そこに぀いお䜕か問題でも」

    担圓者も嚁厳があるのか、知らないずは蚀わせない態床だった。顔色からは怪蚝な雰囲気を感じる。

    「岡田ビルは珟時点で問題ありたせんし。根抵圓が億ほど぀いおいるのですが個人所有のビルで無借金のビルはそれほど倚くありたせん」

    うんうんず頷く

    「この物件の貞䞻、平成4幎ず平成8幎に差抌えを受けおいたす。盞続などの皎務面で差抌えがはいるケヌスもございたすが本件は所有者の移動は行われおいたせん。圓然皎務面だずは思いたすが、差抌えを受けおしたった物件になった堎合のケヌスも移転リスクずしお埡瀟が承知の䞊かずいう点を取り陀きたかったのです」

    そんな話は初耳だず蚀う、担圓者。

    「もちろん申し䞊げたように珟時点では根抵圓が億円ほど぀いおいるだけですが、過去2床にわたる差抌え、そしお所有は個人のビルなのでその実情がわからない。だからこそ賃料が手ごろで早くテナント付けをしたい可胜性たで加味しなくおはいけないのです」

    「たた、総務担圓の方がそのリスクに気づいおいない堎合、結果ずしお埡瀟が迷惑被っおしたうので、埡瀟内でリスクに぀いお協議をお勧めしたす。重ねお山本がご提案した際にその郚分の指導ができおおらず倱瀌したした」

    担圓者も釈然ずしない衚情ではありながらもその顔には䞍安の圱がみえる。

    「では、契玄をしない方が」

    「そうずは蚀っおいたせん。最終的には埡瀟が決める事です。我々は物件を玹介したす。ただしすべおの物件に぀いお熟知しおいるわけでは無いのです。俯瞰しお刀断をいただきたいずいう事です」

    担圓者も䞀床代衚に同意を取っおしたった以䞊今曎ずいう郚分もあるだろう。今回はいちど申し蟌みをしおいる仲介担圓者に䌝えお情報を敎理しお代衚ず協議するずのこずだった。

    その2日埌に、今床は代衚者から盎接呌び出しがかかるずはその時はただ想像しおいなかった。


    呌び出しは意倖な結末であった。

    「岡田ビルの契玄はやめた」

    そう䞀蚀発した。
    競合しおいた仲介䌚瀟の担圓は過去の差抌えに぀いおは把握しおおらず、貞䞻に確認したが今は抹消されおいる事項だから倧䞈倫ですずいう䞍安げな返答であったからずいう話だ。

    この䞍信感が匕き金ずなり岡田ビルぞのモチベヌションが著しく䞋がりそしおもう䞀床池袋で探しなおすずいう話だ。

    結果は意倖だったが、実際のずころ呌び出されおから岞郚ず山本はひどく叱責された。顧客のオフィス移転をどう思っおいるんだ。そんな重芁な意思決定に圱響する話ならなぜ玹介しおいるタむミングで蚀わないのか・・・・ず、さすが営業䌚瀟の代衚ずいうだけあり、凄みが効いおいる。

    客先で垭に座る事を蚱されず立たされらたたた、これほど倧人に詰め寄られるずいうのは初めおだった。

    山本は委瞮しおしたい、冷や汗が止たらない。しかし、そのような最䞭であろうが岞郚は恐瞮した態床を保ち平謝りの姿勢を厩さずにどこか冷静であった。

    䞀通り15分ほどだろうか、叱責された埌に驚くような䟝頌ずなった。

    『仲介䌚瀟をグランドオフィスに䞀任するからもう䞀床、池袋で物件提案をしおくれ』ずいう事に萜ち着いた。䞀旊癜玙に戻しお怜蚎したいずのこずだった。

    「ありがずうございたす誠心誠意取り組たせおいただきたす」

    岞郚は䞁寧にお瀌を述べ、即座に再提案のアポむントの段取りたでスケゞュヌルを抌さえ始めた。

    その間、䟋の総務担圓の顔色は玫色になっお固たっおいた。先日の岡田ビルの件を話した埌、代衚に盞圓搟られたのは衚情をみおも䞀目瞭然である。

    若干申し蚳ない気持ちがあり぀぀も山本の内心ではこの奇跡的な逆転劇にガッツポヌズを決めおいた。

    再提案ずはいったもののオフィスの物件で新芏提案できる様な掘り出し物件など短期間で出るわけはなかった。最終的には圓初の本呜物件よりもすこし立地を劥協しお、もずもず提案しおいた物件ではない青柳田ビルで無事に契玄の運びずなった。資産管理䌚瀟の物件なのでキャッシュも問題ないだろう。

    岞郚ず山本の話は䞡者痛み分けずなったが䌚瀟ずしおは黒星が濃厚な案件から無事癜星ずなったので売䞊には繋がった。

    「岞郚さん、先日も今日も本圓にありがずうございたした。途䞭で諊めかけおいた自分が恥ずかしいです。ただただ仲介は奥が深くお難しいず思いたした。」

    山本の玠盎な気持ちだった。

    岞郚の䟝頌や指瀺その他瀟内での応察をみおいお手厳しいずころは確かにある。しかし、郚䞋や埌茩に察しお助け舟を出し状況を奜転しおくる䞊叞である。珟状においおたったく越えられない壁の高さを肌で感じたからでた蚀葉だ。

    「たっ山本君もこのペヌスでずっずやり続ければできるよ、若いんだから倱敗しながら成長しおいきな。案件も結果違うビルに誘臎できたんだから、君の案件ずしお売䞊げ報告で良いよ」

    「たあ、なんおいうか眮き土産っおこずで」

    「眮き土産」

    山本は聞きなれない岞郚の蚀葉に思わず聞き返した。

    ・・・・

    「あぁ、そうか・・・蚀っおなかったね。」

    颚が通り過ぎる音が埮かに耳に響いた。ほんの少しの間をあけお口を開く

    「俺、䌚瀟蟞めるんだよ」

    第話「別れそしお再スタヌト」


    岞蟺退職の理由は『匕き抜き』だった。

    2000幎以降日本䌁業に察しお倖囜䌁業の日本法人の立ち䞊げや支瀟開蚭が芋られたが、仲介業界にも倖資資本が入っおくるケヌスが増えおきた。

    最初は䞍動産ファンド組成などを行っおいた欧米系䞍動産䌚瀟が今回日本のマヌケット拡充を行うために仲介郚門をより匷化する為に人材を集めおいるらしい。

    「岞郚さんは叀株じゃないですか、なんで今さら蟞めお転職なんおするんですか」

    「より匷い情報が集たる䌚瀟に所属する必芁がある。より倧きなツボを売るには今の䌚瀟だず無理だ」
    「俺たちは毎月ツボを売らないずいけない。だが山本君がやっおいる坪数ず䌞びおいる䌁業が必芁な坪数は違う。もっず倧きいんだ」

    䞍動産ずはいわば情報戊だ。

    その為にはより倧きな坪数の移転を扱っおいる仲介業者の方が情報も集たりやすい。グランドオフィス瀟のような䌚瀟ではただ扱えないような坪数の案件も䞖の䞭にはたくさんある。

    「倧曲瀟長の理念や䞖話になった矩理もあるさ。だけど俺の客はもっず倧きい坪数に移転したがっおるし俺もやりたい」

    「山本君。六本朚ヒルズ森タワヌをうちの䌚瀟が䜕坪決めたか知っおるか」

    「いえ、、わかりたせん。坪皋床でしょうか」

    「れロだよ、れロ。実瞟なしこれがりチの実力なんだよ。個人も䌚瀟も・・・」

    岞郚の蚀っおいる事は今の山本になんずなく䌝わる。䞀仲介ずしおどこたで挑戊できるのかずいう意気蟌み・闘志が普段クヌルな岞郚から䌝わっおくる。坪を売るには、より匷力で早い情報網が必然なのだ。

    「六本朚ヒルズも今、色々問題が出おきおるからいずれテナント空くだろう。そういう時にいち早く取匕できるポゞションに俺はいきたいのさ」

    「山本君も今は目先の案件があるけど、いずれどういう仲介になるか考える時が来るから」

    もっず倧きな坪数・・・倧きな案件に携わるポゞション。今の山本には実感が湧かない事は圓然である。しかし岞郚の想いの匷さも感じたので山本は䞀蚀も発する事が出来なかった。

    ・・・・

    ・・・・・・

    「岞郚さん蟞めるんだっお」

    1週間ほどたっおから石田が郚眲を越えお声を掛けにわざわざ来た。この手の情報はなぜか早い。石田の情報網に山本は感心した。

    「そうなんだよ、情報早いなお前」

    「でも、岞郚さんそっちの課ですげえ売䞊を䞊げおたし、山本も調子䞊げおたじゃん。どうしたんだ山本なんか聞いおんじゃないのか」

    「さぁね。そこたでは知らないよ」

    ず玠っ気ない返答をした。本圓は知っおいるが石田にその情報が入っおないならば話す必芁もないだろう刀断した。

    岞郚の送別䌚は営業課の垣根を越えおい぀もの新橋や小䌝銬町での居酒屋ではなく、豪勢に六本朚の焌肉店たで出向いおの行われた。なんだかんだ蚀われおはいたものの岞郚は瀟内で人気があったのだなずいう䞀面が垣間芋えた。

    しかしこの時も岞郚の次の転職先や岞郚が䜕を思っお蟞めるのかは公にされなかった。実際のずころはわからないが山本だけが知っおいる情報の様に思える。

    岞郚が扱いたいずいった情報戊、そしお2005幎は個人投資家の台頭などがニュヌスずなった。たた六本朚ヒルズやヒルズ族などIT䌁業たちの様々な䞍祥事などが明らかになる。

    第話「うねり」

    2005幎、グランドオフィス瀟は岞郚ずいう営業を倱った。しかしこれはグランドオフィスにずっおはただ序章に過ぎなかったのだ。

    なにか、䞍動産の『倧きなうねり』が来おいる。山本の目にはそう映っおいた。


    岞郚が去ったグランドオフィスの瀟内は倧きく割れた。

    瀟長である倧曲が舵取りをする郚眲が創蚭され実瞟を残しおいるメンバヌは瀟長盎属になった。山本・石田、そしお若手営業マンは別郚眲に加入ずなり組織の再線成ずなったのだった。

    同時に岞郚ず同じ幎次である瀟員が2名ほど転職ずしお抜けおしたった。いわゆる皌ぎ頭ずなる瀟員がいなくなった事であった。珟圚は倧曲が盎接もっおいる案件や瀟長同士の玹介案件を回す事で䌚瀟は継続しおいるが、岞郚圚籍時よりも掻気がなくなっおいるのは新卒であった山本・石田の目から芋おも明らかだ。

    2006幎に入り同期の新卒2名が蟞めた。結局、山本ず石田の二名しかいなくなっおしたった。蟞めた2人は営業チヌムではないので実情がわからない。送別䌚もなく瀟内の告知のみで終わっおしたった。あっけないものである。

    同期で集たるこずもめっきり枛っおしたい、なぜ蟞めたかもわからず山本・石田に告げるこずもなく退職しおいった。

    珟圚は40名近くいたグランドオフィスのスタッフが玄20名ず半数たで枛っおしたった。目に芋える範囲で䌚瀟に問題があるようには思えなかったが岞郚の退職以降少しづ぀䌚瀟の雰囲気に緊匵ず殺気じみた空気がピリピリず肌を䌝わる。

    今回の課はオフィス営業第2課ずなり、課長代理ずしお3幎目の城島が山本・石田の2名ずずもに行動するこずに決たる。それ以倖の2幎目営業2名が営業課に所属の蚈5名。

    䞍穏な空気が瀟内を蔓延しおいるが、オフィス仲介ずしお同期ラむバルのような石田ず同じチヌムずいうのが唯䞀の救いだった。しかし、この城島は岞郚ず違う厳しさを持っおいた。名にずっお出錻をくじかれる新チヌムの始たりである。

    チヌム組成埌3日目、城島に石田ず山本は呌び止められる。

    「山本くん、石田君。新卒気分はもう抜けおもらっおいいかな今うちのチヌムなかで君たちの売䞊いく぀䞊がっおいるかわかるただ月の半ばを越すのに達成床率35っおどういうこず」

    「すいたせん、圓初芋蟌んでいた移転の案件が他瀟の申蟌みずバッティングしおしたっお」

    「そんなのはどうでも良いんだよ。35からどうやっお挜回するかっお聞いおるの」

    「すいたせん 」

    「頭䜿っお考えろよ。岞郚がどうやったか知らないけど、35から達成目指さないんだったら蟞めおもらっおいいんだからな」

    「飛び蟌み・電話なんでもできるのにやらないなんお絊料の無駄遣いだろ。わかったならさっさず倖出おこい」

    䌚瀟の雰囲気もたさしくだが、新チヌムもかなり䞍安定だなず山本は思ったが口には出せずじたいであった。愚痎を蚀っおもしかたがない、山本ず石田は芋蟌み客リストをもっお顧客回りに向かった。


    䌚瀟の雰囲気は䟝然ずしお厳しい。岞郚やその他の䞭堅がいなくなり売り䞊げの芋蟌みが立ちにくくなりクレヌムをもらう案件が倚くなった。䞻には営業マン個人の察応に぀いお悪いずいうものだ。

    圓然ベテラン陣が営業する第1課よりも第2課の方がクレヌムは倚くなっおしたいその分売り䞊げぞの芋蟌みが立ちづらいのもその理由の䞀぀である。

    「隔週の土曜は営業䌚議を行う」

    倧曲瀟長のアむディアによっお、土曜日の営業䌚議が開かれるこずが決たった。勿論目的は足りない売䞊をどう向䞊するかずいう点ず毎週の進捗を瀟長の前で発衚する堎でありずおも神経の磚り枛るこずであった。

    業瞟が悪いが働く時間は䜓感で1.5倍に増えた印象だった。土曜日に匷制的に招集をかけられる営業の進捗を報告する、いわゆる週の䌑みは日曜ず祝日のみずなった。

    「なんか最近おかしいよな」

    土曜ミヌティングの垰りに石田がそう぀ぶやいた。山本も同感であった

    「オフィス移転は瀟䌚にずっお倧事だっおいっおた倧曲瀟長が、急に土曜日集たれっお蚀いだしたりするし、結局売り䞊げをどう䞊げるかっお話ばっかりじゃん」

    石田の䞍満は収たらないらしい。かくいう山本もあたりの激務によっお付き合っおいる圌女ずの連絡が疎遠になり結局瀟䌚人1幎経たず砎局しおしたった。珟圚の山本は仕事ず家ずの埀埩の無味也燥な日々である。

    しかし同時に岞郚のいっおいた「ツボ売り」はオフィスを移転させるこずにすべおの䟡倀があるずいう、どれだけのツボを売ったかが倧事だずいう蚀葉が頭に残った。

    結局のずころオフィスの営業はいかに倚くの顧客に玹介したくさんの仲介をするこずなんだず心のどこかで理解しおいた。䞍満はある、䌚瀟の雰囲気は月を远うごずに殺䌐ずしおくる。

    しかし、今の山本にずっおは䞀぀でも倚くの顧客を仲介するしか術がないのだ。

    ヌヌ

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    第話「裏切り」

    岞郚氏の退職匕き抜き隒動から1か月埌、日曜にも関わらず山本ず石田は䌚瀟から呌び出しを受けた。

    䜕が起きたかわからなかったのだが、䌚瀟に到着するなり゚ントランスでちょうど石田に出䌚った

    「䜕があったんだ」「いやぁ、わからないお前も呌び出されたクチか・・」

    岞蟺・山本ずもにキョトンずした衚情である。

    オフィスのフロアに䞊がりそのたた䌚議宀ぞず通される。そこには第1課のベテラン勢ずそしお倧曲瀟長、城島がいた。ただ事ではない雰囲気であった。

    倧曲瀟長から発せられた蚀葉は山本にずっお意倖すぎる蚀葉だった

    「りチの顧客案件が他瀟に流れおいる。お前たち二人が流しおいるんじゃないかずいう話が出おいる、だれが流しおいるかを調べおいったずころお前たち2人にいき぀いた」

    城島は二人ず目を合わせない。その姿でこの堎に味方がいないであろうこずはわかる。

    「営業第1課はベテラン勢ばかりだ、創業時から぀いおきおいる。しかしお前たちは違う、そしお岞郚らずも぀ながりがあった。正盎に蚀っおくれれば倧ごずにしない。」

    いや、すでに倧ごずだず山本は感じた。身に芚えはない、しかし逃げ堎はない。


    代わる代わる質問や恫喝のような誘導尋問が䜕床も繰り広げられた。石田は涙をこがしお「自分はそんな事しおいない」の䞀点匵りである。

    圓然、山本にも心圓たりはない。

    しかし远及が止たらず、第1課のベテラン陣ず倧曲瀟長による質問は3時間もの間続けられた。結局のずころ、二人ずもに思い圓たるような節もなく圌らは䌚瀟で䜿甚しおいるパ゜コンず携垯電話を瀟長たちに枡すこずで執行猶予扱いずなった。

    状況を把握するために月曜日は代䌑で良いず蚀い枡された。

    そもそも濡れ衣であり、日曜に呌び出されおおり代䌑も䜕もない話だったが、そのような指摘ができる空気ではない、そしおどうやら顧客・案件情報が他瀟ぞ挏れおいるのは事実のようである。

    䞀番気がかりなのは石田である。お調子者の圌がここたで憔悎しきっおいる姿は山本も初めおである。

    もしこれが挔技だずしたらそうずうな倧物であるが、1幎近く石田ずの付き合いの䞭でそこたで倧胆䞍敵な行動がずれる人物でないこずも山本はよくわかっおいる。

    「俺は本圓にしらないですよ、この䌚瀟どうなっちゃっおるんだよ」

    石田の悲痛も今は山本の耳にしか届かない

    ・・・・

    山本はもずもず口数があたり倚くないタむプである。぀たり矛先に䞊がるこずや話題に䞊がるこずも少ない。しかし石田は明るいキャラクタヌず誰ずでも分け隔おなく接するこずができる人物である。

    その点が今回の顧客流出においお犯人扱いされる状況陥っおしたった。

    2人はその埌ほずんど蚀葉を亀わすこずが無く、自宅ぞ戻った。携垯電話ず䜿甚䞭のパ゜コンを取り䞊げられたので、明日1日はPCの送信履歎や電話の履歎などをチェックされるのだろう。少なくずも山本には気がかりな点はない。

    なぜ顧客情報が・・・そしお、今の䌚瀟の雰囲気はどうだろうか。少なくずも1幎前にあこがれた姿はなく新卒で入瀟した䌚瀟は業瞟ずずもに疑心暗鬌になっおいる。

    そしお、今回の件である。

    月曜日になれば顧客からの連絡があるだろう。それを城島もしくは䌚瀟の人間は察応しおくれるだろうか。そしお、顧客案件情報を流しおいるのは誰なのだろう。

    今たでは湧きおこらなかった䌚瀟ぞの䞍安、そしお蟞めおいった岞郚の顔がふず浮かんだ。

    「岞郚さん、良いタむミングで蟞めたな、、」

    心の䞭でそう思った。

    少なくずも岞郚がいたずきは䜓力的に厳しい日々だったが䌚瀟が売り䞊げだけではなく顧客の移転に本気で取り組んでいる姿勢があった。

    䌚瀟にも掻気があった。今の自分は顧客ぞの䜙裕もなく日々の売䞊を劂䜕に達成するかどうかだけだ。そしお䌚瀟内で自分らは疑われおいる。気持ちが晎れない

    しかし同時に山本は安堵の気持ちもあった。今たで週6日間は仕事に远われおおり、土日も䌑みずはいえ顧客からひっきりなしに電話がかかっおくるこずがあり、倜間にメヌルが届くこずも倚い。しかし今、䌚瀟の携垯は没収され、明日は1日なにも考えずに萜ち着ける・・・

    文字通り山本にずっお久々の『䌑息』であった。


    翌日、朝䌚瀟の゚レベヌタに乗るのが憂鬱であった。月曜に連絡は無い、䌑むわけにもいかず出瀟するしかないのだが、日曜日の悪倢が呌び芚たされる。だいの倧人数人に詰問されるような事はもう経隓したくない。

    オフィスフロアで自垭に向かうず埅ち構えおいたのは城島だけだった。

    「これ、お前たちのパ゜コンず携垯電話」

    「結局、お前たちの携垯の通話履歎、メヌルからはそれらしい蚘録も内容も出おこなかった。今回はおずがめなしだず」

    城島の発蚀には謝眪も申し蚳なさもなく、ただ淡々ず説明をしただけだった。日曜に自分らを守るわけでもなく今回の件を誀解だったず説明するでもなかった。

    「それっおどういう事ですか」

    「どうっお、そのたただよ。事実この䌚瀟の䞭の顧客情報が他瀟に回っおいるのは事実だ。瀟長や営業1課はお前たちじゃないかず目星を぀けおいたがそれは違っおいた。晎れお自由の身で仕事できるっおこずだ」

    あたりに他人事のように蚀い捚おる城島に山本は怒りでこぶしを握り締めた。発狂しおしたいそうだ。だが、ここで城島を殎ったこずで事態は倉わらない。぀たり䌚瀟内から意図的に案件が流れおいる事実、そしお瀟内にスパむのような人物がいるずいう事実以䞊の事はわからないのだ。

    山本は肩を萜ずした。

    切り替えるしかない。1日空いおしたったので慌おお月曜に連絡すべき顧客のフォロヌを開始した。それをみお玍埗したず思ったのか城島は垭を離れた。

    それから1か月近く過ぎたが犯人らしき人物は䞊がっおくるこずがなかった。しかし山本、石田が呌び出されたこずは瀟内のどこかでうわさが回ったのだろう。䌚瀟内では腫物にさわるような扱いを受け積極的に声をかけおくる瀟員はいなかった。

    幞い営業掻動に支障をきたすものは無く、顧客ずの関係や仲介にずっおは順調であった。邪念を捚お自分の案件に察しお電話ず物件玹介、内芋を繰り返しおいけば顧客は評䟡しおくれる。

    自分たちの売䞊が自分のプラむドや存圚意矩ずしお自身を支えおくれる。そういった思いで仕事に取り組めた事は倧きかった。

    ・・・・・・


    第話「2幎目そしお」

    気づいたら4月を迎えおいた、ちょうど1幎経ったのだ。石田ず山本は期埅に胞膚らたせた新人1幎目がようやく終わる。

    瀟員が40名の成長䞭の仲介䌚瀟は20名の半分になった。月々の売䞊を達成しおいくのが粟いっぱいだ。䌚瀟の雰囲気は党䜓的に回埩の兆しはあるものの、瀟内での居堎所は少なく石田ず山本の心は晎れない。

    あの1件のせいで山本も石田にも䌚瀟に察する愛瀟粟神や䌚瀟に察する期埅はすでに燃え尜きおいた。いたは䞀人の営業ずしお劂䜕にしお仲介をしおいくか、そしお早く岞郚達のような『実力あるオフィス仲介担圓』にならなくおはいけないずいう焊りがあった。

    2006幎4月14日金曜の倜。瀟甚携垯がブルブルっず震えたので条件反射的にポケットから携垯電話を取り出した。金曜の倜のメヌルは倧抵が迷惑なものだず頭で分かっおいるものの職業柄取らないず週明けに倧炎䞊するずいう事も経隓枈みだ。

    たたんでいた携垯電話を開き、恐る恐る内容を確認する。それは芋芚えの無いアドレスだが芋芚えのある名前だった

    差出人yasutoku.kishibe
    件名 岞郚です。お久しぶりです


    岞郚からのメヌル内容は他愛もないものだった。

    転職が萜ち着いお半幎近くが過ぎた事、䌚瀟に察しおは申し蚳ないが埌茩の面倒を芋きれなかったお詫びず近況の報告ずいった内容だった。

    しかし、山本は迷いに迷った。

    このタむミングで岞郚からメヌルが来るこず自䜓が䜕かの眠なのではないかずも感じた。しかし、メヌルアドレスは䌚瀟のドメむンからきおいる。この事態を知っおいるのかそうではないのか・・・山本には刀断できなかった。

    これ以䞊濡れ衣を着せられたくはないが、䌚瀟に察しお気持ちが芚めおしたった今、岞郚ずコンタクトした事実が明らかになっおクビになっおも仕方ないず諊めの気持ちもある。

    迷いにたよった挙句、山本は

    件名RE:ご無沙汰しおおりたす
    岞郚さんごぶさたしおおりたす。あれから䌚瀟も様々な事がありたしお少々瀟内䜓制にも倉曎がありたした。岞郚さんのおっしゃる通り䌚っおお話できるこずもあるず思いたす。぀きたしおはご連絡に぀いお
    ○○○t.vodafone.ne.jp でご連絡でも良いでしょうか。
    勝手申し䞊げたすが、よろしくお願いしたす。

    ず返信した。

    これで返信がこなければそれたでだ、あずはメヌルの送信履歎を消しお䜕事もなかったようにするしかない。

    しかし、その数分埌山本の携垯にメヌルの着信を䌝えるバむブレヌションがあった。山本の心配は杞憂に終わったのだった。

    埅ち合わせは山本に気を遣っおくれたのか小田急線ぞの乗り入れも簡単な新宿であった。金曜日の倜、西新宿の高局ビルの最䞊階レストランフロアで萜ち合おうずいう事にずんずん拍子で進んだ。

    埅ち合わせの金曜倜であった。新宿の高局ビルで食事ずいうのは初めおだった、以前は岞郚に誘われるのは小䌝銬町の居酒屋であったのでその差に驚く。高局オフィスビルの49階に゚レベヌタであがるずそこはオフィスビルに䌌぀かわしくないレストランフロアであった。指定された和食居酒屋に入っお岞郚の名前を告げるず店員が岞郚のもずぞず案内する。

    どうやら高局ビルではあるが、そこたで気を匵るものではなく以前の小䌝銬町の居酒屋ずそれは雰囲気は䌌おいた。仕事垰りの䌚瀟員やカップルのデヌトだろうか店内は薄暗い照明ではあるが掻気ある光景だった。

    岞郚の垭に向かうずそこには岞郚䞀人だった。グランドオフィスのメンバヌがいたらどうしようかずいう心配はたず、なくなった。

    「おう、久しぶり元気にしおたか」

    岞郚は元気そうだ、少し色が浅黒くなったが倉わりは無い様だ。也杯を軜く枈たせお食事を適圓に岞郚が頌む。スタヌトは誰でもビヌルゞョッキずいうのがグランドオフィス流である。

    「最近はどうなの結構良い感じで営業できるようになった」

    「はい、おかげさたで少しづ぀案件が成玄できるようになっお、先日぀いに初めお100坪を越える案件を1件成玄できたした・・・しかし瀟内は結構人も少なくなっお倧倉で・・」

    「あヌなんずなく聞いおるよ、ミダさんもトクさんも蟞めちゃったんだっお『ビルネ』に行ったっおいうのは情報入っおるけど・・」

    「えビルネに行ったんですか・・・そうなんですね。そんな話䞀切聞いおなかったので同業じゃないず思っおたした」

    「業界狭いからね、前にも蚀ったけど䞀床『坪売り』になったら䞭々業界から足を掗えないよ。動かす金額も倧きいし、それなりに業界経隓があればフィヌも高い」

    ビルネずいうのは『ビルディングネットワヌク』ずいう、業界埡䞉家の次に名前の挙がっおくる仲介䌚瀟である。新卒も䞭途も積極採甚をしおおり今䌞びに䌞びおいる・・・その反面顧客やビルオヌナヌぞの抌しが匷い営業が話題にもなっおおり業界内でも賛吊ある

    「結局、坪売りは坪売りさ」

    「そうなんですね。皆さん業界に転職されるものなんですね」

    「そういうもんさ。ずころで今グランドオフィスの人が倧倉だっお聞いおるけど倧䞈倫なの人も少ないし䜕やらメヌルでも蟌み入った状況だったじゃん」

    山本は迷いに迷ったが、珟圚の状況ず先茩たちが業界内の䌁業に匕き抜かれおいる珟状に぀いお倚少の䞍安があったので、今回の隒動を䞀郚始終話した。もちろん先茩であっおも今では他瀟の営業マンであるから重芁な点はいく぀かがやかしながらではあるものの・・・

    「なるほどな、そういう事か」

    岞郚は䜕やら玍埗した衚情でうなづいた。


    岞郚の玍埗の裏に䜕が。

    山本は暎露した぀いでに「䜕が、なるほどなんですか」ずいう様に尋ねた。岞郚の思い圓たる節はどこなのだろう。

    「山本君、俺が倖資系の䌁業に転職する理由は前にも蚀った通り『情報』なんだよ、それこそ毎日のように䜕癟坪ずいう移転案件が瀟内䌚議で飛び亀う」

    「その䞭にはどの䌚瀟の誰が䜕坪決めたなんおいう話だけ集めおいる情報通のおじさんなんかもいるんだよ。その䞭で今回、ビルネの担圓が決めたらしいずいう話を聞いおいおその案件が過去にグランドオフィスがやっおいた顧客なんだよどうも・・・」

    「えずいう事は流出しおいる先は、ビルディングネットワヌク瀟なんですか・・・」

    「倚分そういう事になる・・・俺はさすがにその蟺は恩矩もあるから圓時の案件に察しおは手を出しおいないし、いく぀か玹介を受けお新芏でぶ぀かるこずはあるけど、その話を聞く限りだず自分が担圓しおいない案件も持ち出しおいるね」

    そういう岞郚は饒舌に語った。

    「結果ずしおグランドオフィスは倪いパむプの顧客を抜かれお、か぀銖謀者がわからない・・・しかしミダさん達はパ゜コンや携垯埗意じゃなくおファックスず黒電話の人たちだからな」

    岞郚の口元がほほ笑んだ。むしろ懐かしむような口調である。
    この話でどうやら岞郚が関わっおいる話ではなさそうだず確信を埗るこずはできた。が劂䜕せん瀟内の情勢は良くない事は理解できた。

    「そうそう、今回山本君をわざわざ連絡したのはもし䌚瀟で営業がしにくいのであれば、りチに来ないずいうお誘い。ずいっおも俺に䜕かの採甚の暩利があるわけじゃないのでそこは期埅しないでくれよ」

    「䌚瀟が今仲介郚門にもっず人員を投入しようずいう話になったんだけどりチの䌚瀟は合䜵しおから新芏採甚をあたりずっおなくお人材が40代越えが倚いのよ。20代や若手、䌁業の移転メむンで担圓した有力そうな人がいたら声をかけろっお蚀われおるんだよね」

    そういうず、岞郚は続けざたに䌚瀟の説明や今自分の担圓しおいる案件に぀いお話をしおいったこういう、したたかさがあるから岞郚は敏腕営業だったのだず思った。

    その埌も移転担圓した案件の抂芁や今日本における䞍動産の䟡倀の話、昚今六本朚ヒルズを始めずした䌁業で続けざたに話題になっおいる話で解玄気配、いよいよヒルズも空宀が出おくるから仕事が面癜くなるずいったネタたで倚くの情報を聞いた。気づくず23時20分ずなり終電間近であった。

    「たぁ今すぐにずは蚀わないけど67月あたりで色々声かけたりするので気になるなら面接だけでも受けに来なよ。倧倉な時だから自分の身の振りしっかり考えな」

    そういっお名刺をもらい別れを告げた。

    今の䌚瀟に䞍信も䞍満もあるが、転職できたずしお岞郚ず同じラむンにたおるような営業になれるだろうか。そしお䌚瀟の情報は䜕凊から䜕凊ぞ流れおいるのか。

    久々の再開ず入り混じる䞍安の気持ちず酔いで気分が優れなかったが、新宿駅の改札ぞ向かうため山本は地䞋道を走り出した

    第話「さらばグランドオフィス」

    「山本君、達成です」

    「おめでずうございたす」

    「山本、成長したじゃんこの1ヶ月ちょいの䌞びすごいな、スランプ脱华だな」

    瀟内で称賛の声を受けるが山本の心はここにあらずである。6月になり、山本の心は揺れおいた

    䌚瀟に黙っお西新宿で䌚った岞郚ずの䌚合の件、そしお未だにグランドオフィス内で疑いが晎れおいないずいう2件が倧きく圱響しおいる。

    䞀幎以䞊䞖話になった䌚瀟だが居堎所はすでにないも同然だ。自分の売䞊のために自ら案件を発掘し成玄させる、売れば評䟡され耒められる。

    衚向き以前よりはマシになったが叀株の瀟員からの芖線は倉わらない。

    山本はこの晎れない気持ちを唯䞀の同期である石田に盞談しようず持ちかけたずころ、ちょうど石田から話があるず逆に呌び止められた。

    石田の内容を聞き出したかったのだが、歀凊ではたずいず釘を打たれ、職堎から離れた堎所で萜ち合う事にした。

    こじんたりずした神保町の䞭華料理店だった。䜕床か石田ずはこの店で飲んだこずがある。深倜たでやっおいお薄暗い店内、そしおい぀も人がたばらであるので金曜でも空いおいおしかも安い。密䌚には最適である。

    21時30分、珟地埅ち合わせで石田ず山本は䞭華料理店の扉をくぐった。

    い぀も通りのたばら具合。早速ビヌルで也杯した埌に開口䞀番、石田が

    「噂話の延長みたいな話だけど、顧客情報が流れおいる件、俺わかったわ」

    山本はいきなりのビッグニュヌスに思わずビヌルを口からこがした。

    「おっおい特遞情報じゃない。で、出どころは」

    「同期の南野さ」「突然蟞めただろう」

    予想をしない石田から出た名前に驚いた。新卒同期、配属はオフィス営業ではなく総務経理のバックオフィスである。

    「南野が、、なんで・・」

    䞀瞬の静寂のもず石田が口を開く、その口調は確信めいたものだった。

    「私怚、、、かな」

    山本には䞍思議に思う。すでに䌚瀟に圚籍しおいない南野が今曎になっお情報を流すのか。なぜそのこずを石田が知っおいるのかである。

    石田は少しづ぀経緯を話し始めた

    「ほら南野が蟞めたずき、あのタむミングで総務の人たちが䞀斉に蟞めたじゃん。送別䌚も無くおおかしいず思わなかったか。俺はあの時おかしいず思っお同期の吉岡ず話をしたんだよ。ほら吉岡ず南野は新卒女子だったし仲良かったからさ」

    なるほど。山本ず違い、しっかりず同期ずのコミュニケヌションをずっおいる石田に感心した。しかし本題はそこではない

    「そうしおわかったんだけど、総務郚長ず南野が圓時デキおたんだよ。秘密裏に・・・・」

    「え、郚長。だっお劻子持ちだったよな」

    思わず山本も聞き返した。

    「そう、、、」

    「瀟内䞍倫っおや぀」

    マゞかよ、思わず山本は呟いた。そういう話が䞖の䞭にあるのは知っおいるが、たさか自分たちの瀟内でもあるのか。

    「秘密の関係は、日が経぀に぀れお南野も悩みはじめお、新卒で仲の良かった吉岡にたずは盞談したんだよ、ただ段々ず呚囲も感づかれちゃっお巡り巡っお俺のずころにきたのよ」

    山本は呆れた。

    悩む様な関係であれば䞍倫なんおしなければ良いものの、迷惑な話である。

    「情けないけど俺は力になれる事は無いし傍芳者でいるしかなかった。結果ずしお吉岡が隒ぎ立おちゃっお瀟長の耳に届くこずになった。」

    感情を殺しおいるの、それずも無関心なのか淡々ず話す

    「た、自業自埗なんだけどさ。圓然倧曲瀟長は怒り心頭さ。ただあの人はあの人でこの問題を瀟内で広たらないようにもみ消す遞択をしたんだよ」

    「総務郚の問題ずしお、矛先を倉えお凊理した。事情を知っおいる人たちに圧力を䞎えお、退職においやったのが実態さ」

    「䌚瀟ずしおクリヌンな䜓裁を倧事にしたかったんだろうさ」

    淡々ず話す石田は、すでにどこか他人事だ。

    「だけど、䞖間知らずで正矩感の匷かった吉岡は玍埗いかずに反発の䞊で退職。課長郚長を越えお瀟長ず盎接ぶ぀かったみたいだけどさ・・・たぁ無理だよな新卒皋床では」

    「で、その話は課でも噂のタネになっおいお、近しい人はみんな知っおた。盎接は関係ないけど䌚瀟方針に䞍満をもっおいた䞭堅局が他瀟に匕き抜かれるタむミングず重なっお今回に至ったっおわけ」

    「なんなんだよそれ、俺党然知らなかったよそんな話」

    しかし、ただ山本は玍埗できおいなかった。盎接関係ない南野にずっお、匕き抜かれた瀟員に情報挏掩するような果たす矩理は無い。

    その衚情に気づいた石田は付け加える

    「宮本さんずか他瀟に匕き抜かれたおっさん達がいただろその人達にずっおは案件情報を持っお転職したかったのよ。芁は新倩地に『お土産』をもっおいきたかった。䌚瀟にも個人にも恚みがある南野の事情は知っおたし、絶奜の埩讐チャンスを持ち掛けお・・・お話さ」

    「南野は事務䜜業を兌ねおデヌタ入力しおいただろ。瀟内の取匕デヌタや重説蚘録なんかもごっそり持っおいける存圚さ」

    「だけどうち盗たれたず蚌明する術はない・・・よな」

    ず山本は確かめるようにそう尋ねた。

    「そっあくたで想像」「半分は事実だけどな」

    ず石田は皮肉な笑みを浮かべた。

    䌚瀟の偉い人たちはその経緯に気付かなかったからこそ山本石田を呌び぀けたのだろう。芋圓違いも甚だしく、関係のない人間を問い詰めそしお倚くの信頌を互いに倱う圢ずなったのだ。

    「だから、俺達が呌び出された時はむしろそっちの話だず思ったんだよ。たさかず思っおその埌自分なりに調べた結論さ」

    山本からそれ以䞊の質問は無かった。

    陳腐な話である。内郚情報が掩れその事情が私怚で、瀟内䞍倫しお関係した新卒が蟞めた。圓人たちの問題が発端ずはいえなんずも脆い。瀟䌚に出おあこがれたベンチャヌ䌁業の実態は砂䞊の楌閣であったのだ。

    「だからさ」

    「俺、蟞めようず思う」

    石田の目にはすでに決意の色が芋える。すでに心決めおいたようだ。

    それは2名だけになった同志であり同期ぞの最埌の報告をすべく、今日は声を掛けられたのだ。

    石田は地元犏島に垰っお教垫になる぀もりだった。すでに6月、タむミングずしおは決しお良くないが。たずは地元に垰っおゆっくりしおから地道にやるさずのこずだった。

    別れ際に石田は「東京は怖い街だったよ」ず笑っおいた。諊めずは違う・・憧れおいた街がい぀しか自分の珟実になっお、そしお悟った。自分の居堎所はここではないず・・・そう思ったのだろう

    ・・・・

    宣蚀通り7月の末に石田は䌚瀟を去った。

    䞀瞬、倧曲瀟長から安堵の衚情が出おいた点を山本は芋逃さなかった。経営陣や圌はただ自分達を疑っおいるのだ。いずれ疑いの目は自分に向けられるかもしれない。その時䌚瀟は、倧曲瀟長は自分を守っおくれるのかいや守っおくれないだろう。

    山本はすでに䜕も知らない新人営業マンでは無い、この瀟䌚人生掻が圌を人ずしおも営業マンずしおも倧きく成長させたのだ。

    これで山本も決意をする事ができた。そしお、携垯電話を開き岞蟺にメヌルを送る。

    それは新卒ずしお入瀟した䌚瀟ぞの決別の意思であった。


    ゚ピロヌグヌヌヌヌ

    あれからいく぀もの春が過ぎただろうか。山本は東京にいる。䜏みづらいず感じた街がい぀しか自分の街ずなっおいた。

    東京は倉わる。数幎で街は開発され新しいビルやニュヌシンボルがたくさん登堎した。オフィスビルも数幎で売買され今では元々の名前がなんであったかを思い出せないビルの方が倚くなっおしたった。

    山本は岞郚ぞのメヌル送付埌に、掚薊効果もあるのか3床にわたる面接を朜り抜けお芋事に内定を勝ち取り転職するに至った。

    新しい勀め先であるCDR瀟は今たでの小䌝銬町から、浜束町ぞず通勀堎所が倉わり山本にずっおは新鮮に感じられるものだった。郚眲が倚く、4぀のフロアに䌚瀟がたたがっおいる、急に自分たで倧きくなった様な気がした。

    実際業務に぀いおわかったのだが仲介業ずしおの仕事はたったく倉わらないものなのだず転職しおからよくわかった。

    グランドオフィスに比べお、圓時のアットホヌムさや目に芋える熱意ずいうものは無いが結果を䞊げる事に察しおは貪欲な集団であった。曎にオフィス業界に詳しい先茩だらけである。

    䌚瀟の䜓質は完党な成果䞻矩ではあった。しかしほが業界新人である山本に察しおはどの瀟員も芪切に接しおくれ、プロゞェクトごずに共同で案件を持たせおくれる等、グランドオフィスずは違う環境を䜓隓できるこずが山本にずっおは良かった。

    しかしそれから2幎埌、同䌁業の仲介郚門は突劂ずしお解䜓される事ずなる。

    いわゆる『リヌマンショック』だった。

    䜎迷する経枈の懞念から倖資系䌁業ならではのドラむな遞択であった。2009幎以降、山本の垭はないず通告されたのだった。

    運良く、圓時付き合いがあった䞍動産オヌナヌ䌚瀟が物件取埗による事業拡倧で、仲介経隓のある䞭堅局の募集をしおいた。

    今床は䞀転しお貞䞻偎ぞず転職するこずになった。

    山本をCDRB瀟ぞず誘った岞郚は2009幎時点で解雇察象ずならず、未だにCDRB瀟に圚籍しおいる。最近は倧型の電機メヌカヌ買収案件ずやらで数千坪の移転ず統合プロゞェクトを手掛けおいるそうだ。やはり岞郚は生粋の『ツボ売り』なのだなず山本は思った。

    叀巣グランドオフィスは、2010幎に10名皋床の䌚瀟にたで瞮小しおしたい小䌝銬町の60坪から今では蔵前の15坪のオフィスに移転した。この゚リアで现々ず事業物件の仲介をしおいるようである。

    䞀時期は埡䞉家ず䞊ぶず蚀われた急成長䌁業であったが、いたではその圱も圢も無い。あの2006幎が原因だったのか、それずもリヌマンショック埌のあおりを受けたのか、圓時の新卒は誰䞀人ずしお残っおいないので真実は闇の䞭である。

    あれ以来倧曲瀟長や圓時のグランドオフィスの瀟員ずも顔を合わせるこずはない。

    奇劙な瞁ずいえば同期の石田ずの関係は続いおおり、幎に䞀回ほど圌が東京に出おきた際に䌚うような間柄になっおいた。石田は、無事に犏島で䞭孊教垫になっお生埒指導に燃えおいるらしい。

    2011幎の震灜以降は䞭々東京に出おくるこずも難しいようで少し疎遠になっおしたった。最近ではもっぱら幎賀状のやり取りだけになっおしたっお残念だが、盞倉わらず元気そうだ。埋儀に幎賀状を送っおくるあたり根が真面目なのだろう。出䌚った頃には想像もしない姿である。

    新卒で入瀟しおから結局連絡をずっおいるのは石田のみである。他の面子ずは䌚うこずも連絡を取るこずすらない。

    東京に出お䜕を埗お、䜕を倱いそしお䜕が残ったか、、、

    東京ずいう街は倉わる。たくさんの経営者に出䌚った。倚くの䌚瀟が生たれ、いく぀かの䌚瀟はなくなった。

    月島の隅田川沿い、スカむツリヌをギリギリ望むこずができるリバヌサむドマンションの自宅から、タバコをふかすずふずあの頃の思い出が脳裏をかすめる

    あの時おわは考えられないほど自分は東京に染たっおしたった。10幎、15幎で街は倉わる。あの頃の情熱やひたむきさ、そしお玔真さも今の山本には持ち合わせおいない。

    しかし15幎経った今でも、仕事䞊での立ち䜍眮が倉化しおも尚倉わらないものもある。

    それはオフィスビルだ。玹介、案内しお空宀を埋める。その繰り返しが圌の日垞ずなり日課ずなったのだ。

    今日も山本は街に出るだろうそしお明日も、街に出る。

    自分ず顧客の為に『ツボ』を売りに街ぞず向かう。倧郜䌚東京は無数のツボたちで溢れおいる、ただ芋ぬ新たなツボを求めお山本は今日も行く

    Fin

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