【連作詩:北の翼望】 その四 深淵へ
先端こそ二つに分かれた
どす黒い長い長い舌を
清らかなる聖の首に巻き付けて
いまこそ正に縛りあげようと
凛々珠の身体全体が震えたそのとき
突如として地響きがした
穴蔵の奥底であるのに
さらに穴が開いたのだ
物凄い音を立てて
地面が割れたかと思うと
見る見るうちに裂け目ができて
人が通れるくらいの隙間ができたかと思うや否や
凛々珠は聖を抱いたまま
奈落の底へと堕ちていった
翼は失ったままであるのに
まるで背中にそれを有しているかのように
詩の天使と
死の天使とは
一目散に聖を追った
奈落の底へと
暗闇のさらに奥深く深淵へと
堕ちていったのだ