2026.06.23 「沢井製薬 v. スキャンポ」 知財高裁令和7年(行ケ)10055 ― 最適化合物からの離脱とその動機付け(ルビプロストン事件)
Summary
知財高裁は2026年6月23日、オピオイド誘発性便秘の治療に用いるプロスタグランジン(PG)誘導体に関する特許についての無効審判請求不成立審決取消訴訟において、沢井製薬の請求を棄却した。
本件特許は、PGE1誘導体である「13,14-ジヒドロ-15-ケト-16,16-ジフルオロ-PGE1」を有効成分とする薬物誘発性便秘処置用組成物に関するものである。
裁判所は、引用発明が最も好ましいと位置付けたPGE2誘導体からPGE1誘導体へ変更する動機付けを否定し、本件発明の進歩性を肯定した。
本件特許は、ルビプロストン(アミティーザ®24μg・12μg)を保護する特許であり、これまで特許権存続期間延長登録及び延長特許権の効力範囲をめぐる紛争の対象ともなっていた。本件は、その前提となる特許の有効性が争われた事件として位置付けられる。
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夜。
研究室の明かりは、ほとんど消えていた。
十九枚の評価データ。
並べられたプロスタグランジン誘導体。
ひとつだけ、赤い丸が付いている。
「被験薬8」
結論は変わらなかった。
一番よく効く。
この化合物が最良だ。
誰も、その結論を疑わなかった。
ーーー
緩和ケア病棟。
患者が眠っている。
モルヒネによって、ようやく痛みから解放された…
…かに見えた。
「先生…。
出ないんです。」
その一言が、
研究者たちに、新たな問いを残した。
ーーー
十年後。
「ピポせんぱ~い。」
ミャオが天井を仰いだ。
「どうして、効かないんでしょう?」
ピポは答えず、一冊の古い実験ノートを取り出した。
黄ばんだページをめくる。
何度も見返したページ。
赤い丸が付いた「被験薬8」。
そのページをめくったとき、
ふと、ピポの視線は止まった。
ミャオがのぞき込む。
「それ…
あまり効かなかった化合物ですよね?」
「そう。」
ピポは静かに答えた。
「あの時の問いには、な。」
最良という答えは、
問いが変われば、
最良ではなくなることがある。
ーーー
季節がいくつも過ぎた。
ある日。
「ピポせんぱ~い…。」
「出ました…。」
ミャオの声は嬉しさで震えていた。
ピポは結果を見つめ、
静かにうなずいた。
一つの発明が生まれた。
ーーー
十数年後。
知的財産高等裁判所。
静まり返った法廷。
「引用例が最良と評価した化合物から、 あえて離れる動機付けはあったのか。」
あの時あらたに生まれた問いは、 十数年の時を経て、 法廷では、 法律の言葉に置き換えられていた。
裁判長が、 静かに口を開く。
「主文…」
(※物語の内容はフィクションです)
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※ 当記事は法的助言を与えるものではありません。全ての情報はその正確性と現在の適用可能性を再確認する必要があります。
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