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明日世界が終わるなら、私は塩おむすびを食べたい

    「おむすびできたよ」
    庭で遊んでいた私たちは、その声を聞くと縁台に駆け寄った。

    小学生の頃、夏休みの大半を田舎の祖父母宅で過ごしていた。
    おやつは大体、おむすびだった。
    力強くギュッと握られた、つやつやの塩おむすび。

    祖父母の家にお嫁にきた、みっちゃん姉ちゃんが握ってくれたものだ。
    姉ちゃんはふっくらとした、健やかに笑う女性で、塩おむすびはそんな姉ちゃんにそっくりだった。

    炊き立てご飯のつやつやおむすび。
    しっかり塩の味がして、齧るとふんわり優しく並ぶ、ごはんつぶたちに会える。

    ふふ、こんにちは。
    ふふ、こんにちは。

    こんなにしっかり目が合ったことが、お互いちょっと照れくさくて、ふふ、と笑いながらご挨拶して、いただきます。

    ごはんつぶたちは、わあーと言いながらお口の中で小さくなり、ごっくんされて喉を通り、お腹の中でぽかぽかと、いのちを動かす力になる。

    お、い、し、い。
    身体がじんわり温まり、なんだか元気が湧いてくる。

    「ようし、トンボいっぱい獲ってくる!」
    あの日のわたしはそう言って、田んぼへと走って行った。

    大人になって考えてみたら、お嫁に来たみっちゃん姉ちゃんは、お姑さんに言われて仕方なく、おむすびを握ったのかもしれない。

    わざわざ午後3時に、ご飯を炊いて。
    あつあつのうちに、ひとつひとつ、しっかり塩つけて握ってくれたのだ。

    面倒だったはずだけれど、そんな気持ちの影響を、あのおむすびは全く受けていなかった。
    ただひたむきに、つやつやと、いのちの喜びを漲らせていた。

    明日世界が終わるなら、私は塩おむすびを食べたい。

    夏休みに縁台で食べた、あのおむすびを思い出しながら。

    つやつやのご飯つぶたちと、ふふ、こんにちは、と話しながら。

    ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡

    ハスつかさんの「おむすびの輪」に参加してみました。おむすび大好き&ハスつかさん大好きなので💛明日までどなたでも参加できますよ~♬




     
     
     

    Tokko

     
     
    絵描き詩人、文芸翻訳家、英語講師、創作品販売、想いライター💛 好きな人の輪を広げ、ふんわり生きるため、Tokko in Wonderlandを作りました。 自分を生ききり、世界をハッピーに☆彡 https://tokko-in-wonderland.com/

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