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Photo by09chiharu

無意識の顔は、どんな顔?


    夫が何気なく撮った息子の写真に
    テーブルで読みものをしている、
    私の姿が写り込んでいました。


    無邪気に笑う息子の後ろで、
    私は、伏目がちに
    本へ視線を向けているのですが、
    その表情は、なにやら
    暗い翳かげりがあるように見えます。


    よく見てみれば、
    口の端がほんのりと下を向いていて、
    いかにも不機嫌そうなのです。


    私は、決して怒っていたわけではなく、
    ただ無意識のなかにいただけなのですけれど、
    それがこんな風に写るなんて。
    思いがけない自分の「素顔」に出会ってしまい、
    ガラスに映った自分の猫背を見たときのような、なんとも言えないがっくり感が
    胸に広がっていきました。


    口角、、、。
    その写真が呼び水となったように、
    昔、お世話になったマナーの先生の言葉が、
    頭の中にスッとよみがえってきました。


    「私はね、表情の筋肉を怠けさせないために、
    通勤の車内ではこっそり、
    割り箸を横にして口にくわえているんです。
    口角が上がった表情は、
    なにより相手への印象が良いですし、
    自然と、声まで明るくなるんですよ。」


    そのときは、
    先生のそのストイックさに、
    ただただ驚くばかりでしたけれど、
    はて、自分でやってみるとどうなるかしらと、
    台所の引き出しから
    割り箸を一本、取り出してみました。


    誰もいないリビングで、
    そっと横にくわえてみます。


    鏡を覗くと、
    なんだかちょっと間の抜けた、可笑しな姿。
    ですが、先生の言う通り、
    ものの1分もしないうちに
    頬の高いところあたりが
    じんわりと疲れてきてしまいました。


    私は、日ごろ、
    どれほど顔の力を抜いてしまっているのでしょう。


    それからというもの、
    家事でバタバタと動いているときも、
    ひとりで机に向かっているときも、
    はっと気づくたびに、心の中で
    「口角スイッチ」と唱えるようになりました。


    なにも、特別な笑顔を作るわけではありません。
    ただ、口もとをほんの数ミリ、
    上へ引き上げるだけです。


    もっとも、一朝一夕にはいきません。
    気づけば、また口の端が下がっていることも。
    けれど、次にまた不意に
    写真を撮られるようなことがあっても、
    もうあの不機嫌そうな私が写り込むことは
    少なくなりそうです。


    それに、悪気のない不機嫌顔をなくすこと。
    これは、一緒に過ごす相手への、
    一番ささやかで
    優しい気配りなのかもしれません。

     
     
    30歳、日々の綴り。 本、ことば、朝、お花、だし巻き玉子が大好きです◎ 夢に向かって、毎日ちょっとずつ、成長中。

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