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短歌|パンを食む我の向こうでカワセミが飲み込む魚の腹の白さよ

     義実家横の空き地に我々夫婦の家を建てることになり、その準備のため5月から居候している。夫の実家は川べりに建っていて、その川にはセキレイ(多分キセキレイだと思う)、カモ、カワウ、サギ、そして時折カワセミも遊びに来てくれる。義両親との同居に不安が無いわけではなかったが、鳥たちと共にある生活は、思いの外楽しい。


     数ある鳥の中でも、カワセミは特に美しい鳥だ。青く輝く翼に鮮やかな橙色の腹。しかしその可愛らしい見た目に反し、水中に飛び込んで魚を獲る姿は実に勇ましい。ぼちゃん、と水音を響かせて大胆に飛び込んだかと思えば、水から上がったときにはそのくちばしに獲物を咥えている。何度見ても、まさに電光石火と言えるそのスピードには驚かされる。


    あきた森づくり活動サポートセンター総合サイトによると、カワセミは「清流の名ハンター」と呼ばれ、狩りの成功率は70%を超えるそうだ。人間にとっては美しい鳥でも、魚にとってみれば恐ろしい捕食者といえるだろう。カワセミは捕まえた魚を丸呑みにするのだが、その瞬間魚の腹がぎらっと光る。このときばかりは翡翠色の羽も影を潜め、他の命のために失われる命の、最後のきらめきを見せつけられているように思える。


     先日台所で朝食のパンをかじっていたとき、幸運にもカワセミの狩りを見ることが出来た。白いパンを食む私と、魚の白い腹を輝かせ、それを自らに取り込むカワセミ。思いがけず食事を共にした鳥と自分との間に、同じ命の営みを感じずにはいられなかった。

     
     
    きさらぎとお と申します。 noteには主に短歌とエッセイ、TALESに小説を載せていきます。 魚釣りも好きです。 どうぞよろしくお願いします。

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