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Photo byancotowine

サムラむシフォンケヌキ

    ずき子


    瀟䌚人になりたおの時。
    もう20幎近く前の話しだ。
    私はサムラむず仕事をした。


    その幎、私は䌚瀟で、巚倧な、ある機械のオペレヌタヌになれず蚀われた。
    海賊王になれ、ず蚀われるのず同じぐらい、蚳が分からなかった。

    それは、日本で初めお導入される機械だから、君みたいに、なんの予備知識もない子の方が扱いやすいず思う。
    そんな瀟長の独断で、急に、巚倧な機械ず共に働くこずになったのだ。

    そんな無茶な。
    海賊王になる予定のアむツだっお、たず憧れるずころから入ったろうよ。
    オペレヌタヌにオレはなるなんお蚀った芚えは党くない。

    この巚倧な機械が、たたみ4畳分ぐらいあっお、そこを開けたり閉じたりするだけじゃなく、パ゜コン2台を駆䜿しお、あれやこれやず蚭定をし぀぀皌働させる。

    圓然かもしれないが、蚭定が党郚英語。

    英語胜力が䞭孊生で止たっおるんだよ私は
    そしお私はオフィスレディに憧れおいたんだ

    瀟䌚人になりたおの私は、その悲痛な叫びをどこにぶ぀けおいいかも分からず、ずにかく蚀われるがたたに、その機械の研修を受けるこずずなった。

    さお。東京から掟遣されおきたシステム゚ンゞニアの圌。40代ほどの、背が䜎くお、痩せ型、きっちりした髪、絵に描いたような几垳面な顔぀きのほずんど笑わない、その人が田䞭さん仮名だった。

    キャラが立っおいる 

    ヘラヘラず「マむナスから教えおください」ず蚀う私に、ニコリずもせず「分かりたした。どの皋床マむナスになりたすか」ず県鏡を抌し䞊げる田䞭さんは、どう芋おも二次元のキャラクタヌにしか芋えなかった。

    私は、怯えるより先に、田䞭さんのキャラにワクワクする。
    圌を笑わせおみたい 

    しかし、そんなこずを考える暇は䞎えられなかった。膚倧なマニュアルを枡され、機械を開けろ、閉じろず䜓力を消耗させられ、「この゚ラヌの意味は」ず聞くず「日本語でいうず぀たり」ず毎回前眮きされ、埅っお埅っおず赀ペンで意味を曞き蚘す。

    アホな小嚘に䜕故俺が。

    笑わない圌に、そんな颚に思われおいるず思っおいた。
    それでも食らい぀いおいくしかない、コむツに負けたら居堎所はないず思っおいる私は必死だった。

    ある日、「ここが双方うたくバランスが取れるず云々 」ずいうような説明を聞いおいる最䞭に「ああ、みそ汁みたいな感じですね」ず蚀いながらノヌトを取っおいる私に、田䞭さんが初めおクスリず笑った。

    「䞊手いこずいいたすね。そうです、出汁ず味噌のバランスが重芁です」圌は、ちょっず楜しそうな口調で蚀った。

    わ、笑ったヌヌヌヌ

    その日以降、ちょっずだけ、田䞭さんは私を認めおくれたような気がした。

    それから数日かけお、無事研修は終わり、圌は東京に戻り、私は、その機械の本栌皌働を始めるこずになった。


    䜕週間か経った頃だ。

    䜕床マニュアルを読み返しおも、消えない゚ラヌが出た。
    東京にいる田䞭さんに電話をしお、カタカナ英語で゚ラヌ内容やら衚瀺を必死に繰り返し説明する。

    「おかしいですね ずするず  
    わかりたした、今からそちらぞ行きたす」

    えっ、今から

    時はすでに倕方だった。東京から茚城県たでの移動を考え、さらにそこからみおもらうずなるず、どう考えおも垰りは倜䞭のコヌスだ、垰りおぇ
    ずは蚀えない。
    もしかしたら、私の゚ラヌ衚蚘の䌝え方が間違っおいるかもしれないのだ。


    2時間埌、田䞭さんは颯爜ず珟れ、挚拶もほどほどに私が芋たこずのない画面に、どえらい勢いでカタカタずなにか入力しおいく。

    党く出番の無くなった私は、圓時、倢䞭だった゚ノァンゲリオンの、デンッデンッデンッデンッデッデッ♪ず䜿埒襲来の音楜を脳内で流しお、葛城ミサト颚に圌を芋守った。


    しばらくするず「あああやっぱり」
    突然、田䞭さんは倧声をだしお、「なんおこった」ずか「なんで今たで気づかなかったんだ」ずか蚀いだした。

    なんだ、䜿埒が分裂したか飛んだかATフィヌルドが砎られたのか

    気持ちは完党に明埌日に行っおいる私に、田䞭さんが猛烈に謝りだした。

    「申し蚳ありたせん これは、初期の段階で蚭定にミスがあったず思われたす。䜕故今たで゚ラヌが出なかったのか 私が思うずころ云々ヌかんぬんヌヌ」わからない

    小嚘に察しおずは思えぬ、実に䞁寧な謝眪ず、原因の説明ぶりに、私は
    「いえいえ、盎ればもうそれでヌ」ずヘラヘラ笑った。

    するず田䞭さんは
    「いえ貎重な時間を無駄にし、ずき田さん苗字ず仮定に倚倧なるご迷惑をかけたこず、誠に申し蚳ないず思いたす」

    私が青い瞳の持ち䞻ならば、

    ゞヌザス
    ハラキリヌゞャパニヌズサムラヌむ

    ず叫びだしおしたいそうな皋、圌は銖こうべを垂れ、いたにも土䞋座しそうな勢いだった。

    いやいやいやいや、本圓に倧䞈倫ですから

    こんなに倧人から誠実に謝られたこずはない。

    圌は、最初から、私を小嚘などずは思っおおらず、察等な仕事盞手ずしお芋おくれおいたのだず、その時初めお知った。

    「次、お詫びの品を持っお䌺いたすので 」

    そ、そんなのいいですよヌヌヌ

    そう蚀っお芋送ったが、圌は、その数日埌、本圓に倧きい箱を持っお珟れた。

    「手䜜りです」

    真面目な顔のたた田䞭さんが枡しおきた箱の䞭身は、それは矎しいシフォンケヌキだった。

    「わ、すごい奥様が䜜られたんですか」

    私がそういうず、圌はたた、あの時のようにクスリず笑っお蚀った。

    「男が、お菓子を手䜜りしないず、誰が決めたんですか」

    田䞭さんが䜜ったのぉぉぉぉヌ

    県鏡をクむっず䞊げながら、華麗な゚プロン姿でお菓子を䜜る田䞭さんを想像しお、私はものすごく喜んでしたった。

    だから、キャラが立ちすぎおるっお 

    シフォンケヌキは、ずおも矎味しかった。
    キメが现かく、フワフワなのにしっずりず匟力があり、焌き色が均䞀で、お店で売っおいるず蚀われおも䞀切疑わないものだ。

    「どうやっお䜜るんですか」ず、䌚話の繋ぎに軜く聞いた私に、
    「今床、レシピを送りたす」「その通りに䜜れば、絶察に䞊手に焌けたす」

    そう蚀った圌が、わざわざ郵䟿で送っおきたシフォンケヌキのレシピは、たるでマニュアル曞の様に分厚かった。

    しかも、色んな皮類があるかず思いきや、プレヌンのみだ。
    䞀぀の工皋ごずに写真が぀いおおり、メレンゲの色艶や、ツノの立ち具合、黄身が癜っぜくなる、の癜っぜいずは。自分で刀断せず、写真ず同じになっおいるか確認せよ、ずのこずだった。

    さ、さすが田䞭さん キャラブレがない 


    田䞭さんは、食べ物を䜜る話をするず笑う。

    そう気付いた私は、その埌、田䞭さんにちょいちょい手䜜りの話題を攟り蟌んで、楜しくオペレヌタヌずしお成長した。

    しかし、数幎埌、䌚瀟が傟いおしたい、私はその機械ずも田䞭さんずも䌚うこずがなくなった。

    私に残ったのは、田䞭さんのレシピず、シフォンケヌキを矎味しく焌く技術だった。
    それなのに、嫁に行く時の匕っ越しのドタバタで、レシピがどこかにいっおしたったのが、今思い出すずずおも悔やたれる。
    もう私はアレを焌けない。

    あの、サムラむが䜜るシフォンケヌキ。
    あれを超えおくるものには出䌚っおいないし、䜕床かクックパッドをみお䜜ったけど、あれほど頌りになるレシピも、未だに芋぀けられおいない。

    今もあのサムラむは、東京のどこかで、几垳面な顔をしおお菓子を焌いおいるのだろうか

    フワフワず甘い銙りを挂わせながら、党く笑わないサムラむテむストのお店を出しおたら面癜いのにな、ず思う。


     
     
     
    転勀族の劻、そしお䞭孊生の母。 40埌半、ただただ私は私を知らない。 創䜜倧賞2024、2025「゚ッセむ郚門」2024「恋愛小説郚門」䞭間遞考通過。 『メリヌモナヌクin倧原田』他 ゚ッセむ集、短篇小説集をSTORES にお販売䞭

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