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【実話】 第2章 「普通」が壊したもの

    普通って、そんなに大事?


    社会に出た瞬間、「個性」は「欠点」として扱われます。

    特に大きな組織に所属するほど、正しさは1つしか認められません。

    少しズレた発言、少し独特な考え方、 友達には笑ってもらえたその個性が、 社会では「厄介なやつ」の烙印に変わる。

    2章では、社会がつくり出した「普通」というナイフが親友の心をどう壊していったのか、綴っていきます。

    もし今、
    「なんで自分はうまくやれないんだろう」
    「人とズレてるのがしんどい」
    そう感じているあなたがいたら、 ぜひ読んでほしいです。

    生きづらさの正体が、少しだけ見えるかもしれません。


    この話は連載形式で書いています。
    2章を読む前に、できれば 「【第1章】ある日、親友が死んだ」を読んでいただけると、「普通でいようとすることが、どう人を壊すのか」が、よりリアルに、深く伝わります。是非読んでみてください。

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    第2章|「普通」が壊したもの

    彼は、ちょっと変わったやつだった
    子どものころから、ずっとそうだった。

    発言がズレてるというか、考え方の角度が斜め45度って感じで、普通の答えを出すより、変化球を投げがち。

    それがまた面白くて、俺はいつも笑ってた。
    「は?アホかお前!」ってツッコミを入れて、2人で爆笑するのが当たり前だった。

    でも――

    社会に出ると、そのズレは「笑い」じゃなく、「欠点」として扱われた。

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    彼が社会に出てから4年が経った頃だった。

    会社からあるプロジェクトを任されることになったらしい。

    「ちょっと大変かも」と言いながらも、「任されたからには頑張らなきゃな」って笑っていた。

    でも、その「ちょっと」のレベルが異常だった。

    その仕事は、彼の家から片道160km以上も離れた山奥での作業。車で高速を使っても片道3時間半。平日は会社がホテルを取ってくれたけど、土日はなし。
    つまり、週末は一度帰って、また月曜日の朝4時に出発して車を走らせるしかなかった。

    それだけでもキツいのに、休みの日でも「呼び出しがあれば山まで来い」という無茶な体制。

    残業は月に100時間を超えていた。

    身体は確実に悲鳴をあげていた。

    でも、彼は弱音を吐かず、いつものように笑っていた。けど、辛いのはそれだけじゃなかった。

    上司に何度も確認した作業でも、何かトラブルが起これば「全部お前の責任だ」と怒鳴られる。

    報連相ができていないと責められても、「普通とズレた発想」の彼には、なぜ怒られているのかが分からないことも多かった。
    「正しいこと」をしても、「普通と違う伝え方」をすれば、それは「間違い」とされる。

    空気を読めず、タイミングを外し、周囲と微妙にズレる会話。子どもの頃なら、それは「面白いやつ」で済んだけど、社会ではそれは「空気が読めないやつ」「仕事ができないやつ」になってしまった。

    心と身体がボロボロになっていく中で、追い打ちのように不幸が降りかかった。

    祖母が突然倒れた。

    唯一心を許していた彼女には、ある日突然、別れを告げられた。

    すべてが同時に彼を襲った。

    限界を越えたその瞬間――

    彼の中で、何かが「プツン」と音を立てて切れた。

    そして、1章で話したように、彼は俺の家に来て、全てを打ち明けた。あの夜、子どものように泣き崩れながら。

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    その後、彼は仕事を休み、精神科に行った。医師にすべてを話して、診断された結果はこうだった。

    ADHD、ASD、HSP、うつ病、
    パニック障害、不安神経症

    診断書をみて「こんなにあるのか…」と、俺はかける言葉を失った。

    しかし彼は、「やっぱり、俺は普通と違ってたんやな」って、どこか納得した顔をしていた。

    もちろんショックもあったと思う。

    でもそれ以上に、「ああ、これって俺のせいじゃなかったんや」って、はじめて自分を許せた気がしたのかもしれない。

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    彼はずっと、「普通と違う自分」に苦しんでいた。

    それを隠すために、笑って、明るく振る舞って、空気を読んだふりをして、必死に合わせてきた。

    でも、本当はずっと無理をしていた。

    「普通」に見えるように、自分をねじ曲げて、生きていた。

    限界だったんだ。

    心も、身体も、もう十分に頑張っていたんだ。

    きっと彼は、「社会の中の普通」に潰されたんだ。

    友達の中では笑いにできていたズレが、仕事になった瞬間、「欠点」になった。

    それでも食らいつこうとした。

    ズレを直そうと、何度も自分を修正して、周りに合わせようとしていた。

    でも、そのたびに、何かが削られていった。

    気づいたときには、もう、自分の輪郭すら曖昧になっていた。

    違うってだけで、認められない社会って、なんなんだ?

    誰かが「そのままでいい」って言ってくれてたら、彼は、ここまで壊れずに済んだのかもしれない。
    社会が、あいつの「そのまま」を許さなかった。

    ――ズレてるって、そんなに悪いことだろうか?


    ここまで読んでくださって、本当にありがとう ございます。彼の「ズレ」は、ただの個性だったはずなのに、それが社会の中では「欠点」になってしまった。

    もしあなたにも、「違うこと」に悩んだ経験があるなら、この物語が、「あなただけじゃないんだ」と思え る小さな安心になってくれていたら嬉しいです。

    誰かと違っても大丈夫。

    あなたの「そのまま」を、どうか大事にしてあげて ください。

    次章では、壊れてしまった彼と向き合う中で、 「支える」ということの難しさについて書いていきます。

    この話は連載形式で書いています。 どのエピソードも、僕が「誰かを救いたい」と思う ようになった理由につながっています。できれば、 最初から順に読んでもらえたら嬉しいです。


    第1章 ある日、親友が死んだ

    「もう無理かもしれない」
    笑っていた親友が、泣き崩れた夜。 命はあった。でも、心が壊れていた。 これは、「普通」に壊された男の話。

    第2章 | 普通が壊したもの

    子どもの頃は「面白い個性」。でも社会に出た瞬 間、それは「欠点」に変わった。社会が求める普通 とズレていることで、壊れていった心と身体。

    第3章 支えるって、何? うつ病の親友に僕、 きたこと

    休職してもなお鳴り止まないスマホ。誰とも関われ なくなっていく親友に、僕は何ができるのか。うつから無気力ヘー揺れ動く彼の心に、何度も無力 さを痛感しながらも、「そばにいることの力」を信じて、僕は静かに一歩を踏み出した。これは、支えたいと願ったひとりの友の物語。 そして、心理の道へと進む僕自身の、原点の記録。


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