
つないだ手のその先に
「ママー!」
一日に何十回も呼ばれていたあの頃。
トイレにも、お風呂にも、1人では行けなかった。
いつまでこんな日が続くんだろう・・
「お願いだから、
5分だけ1人にさせて!」
仕事と子育てに追われて、
眠る前、布団の中で
涙があふれそうになった夜は
一度や二度ではなかった。
私の手をギュっと握っていた
小さな手。
あの日の君はもういないんだね。
ある日、
「……友達と、飯食ってくるわ」
少し低くなった声でそう言う君を見上げる。
あんなに私の後ろ姿をついて
歩いていた小さな男の子は、
いつの間にか私よりずっと
大きくなっていた。
こうして、
少しずつ別々に過ごす時間が
増えていくんだな。
あんなに「一人になりたい」と
願っていたはずなのに、
急に置いてけぼりに
されたような寂しさが
込み上げてくる。
「いってきます」
いつものように手を振る君に、
軽くハイタッチを返す。
その瞬間、そっと手を握ってみた。
あんなに小さかった手が、
今では私の手をすっぽり包むほど
大きくなっていた。
それでも、
あの日と変わらない
ぬくもりがそこにはあった。
子育ては終わるのではなく、
少しずつ形を変えながら
続いていく。
手をつないで並んで歩いた日々も、
少し離れて見送る今も、
どちらもかけがえのない
大切な親子の時間。
今日も私は
大きくなった君のたくましい
背中を見送りながら、
「いってらっしゃい」
そっと心の中でつぶやく。
つないでいた手を離した先にある、
新しい関係を楽しみにしながら。
最後まで
読んでいただき、
ありがとうございました。