
科特隊のオフィスは60年代最先端だった
本筋から無関係なところにネタを探しながら見直しをしてみると、『ウルトラマン』という番組には、当時の世相や文化を感度高く反映してやろうという制作陣の粋と気概を感じますね。今回はお馴染みの宇宙忍者の回。
【1960s kaiju】宇宙忍者バルタン星人

僕らの世代にとってウルトラマンの好敵手といえば、メフィラス星人やゼットン以上に存在感を放っているバルタン星人。六代目まで公式カウントされていますが派生種を入れると何体くらいいるんでしょう(笑)
バルタン星人はイカれた科学者のせいで母星を失い、20億人の同胞たちと宇宙を彷徨っていたら、たまたま見つけた地球が移住に適していたので、問答無用で乗り込んできた連中で、ある意味気の毒な存在にも思えます。まあ、そうはいっても科学センターの警備員やアラシを不意打ちして仮死状態にしたりと強引さは否めず。命を理解できないという発言や「フォッフォッフォッフォ」という不敵な笑い声もあいまって、得体のしれない侵略者として強く印象に残っていますね。
劇中ではイデ隊員が地球の人口が"22億"と言っていますが、調べてみると実際はもう少し多かったようです。この数字の違いはバルタン星人の20億人移住のインパクトを高めるための調整だったとも言われているようですね。

https://www.worldometers.info/world-population/world-population-by-year/
つい最近ニュースになったスペインでの騒動の映像を観て、モロッコから押し寄せる膨大な人の群れがバルタン星人とダブって見えました💦 『鉄腕アトム』にも似たような移民のネタがありましたが、有無を言わせぬ大量移民というのは、それだけで暴力的で、えもいわれぬ恐怖をもたらしますね。
【Words of the Era】電子計算機/電子頭脳

今回は劇中でハヤタ隊員が口にしていた「電子計算機」「電子頭脳」という言葉が耳に引っ掛かったので調べてみました。コンピューターではなく電子計算機です。調べてみると確かにこの時代「コンピューター」という言葉はまだ大衆化されていないとして、あえてこの表現を使うケースが多かったようです。
実際、日本では国産の真空管式計算機が開発された50年代頃は公文書や論文などで「計数型自動電子計算機」や「電子計算機」という漢字表記が使われていて、60年代前半になって官公庁や大企業、銀行などで大型汎用コンピューターの導入が進む中で「コンピューター」というカタカナ表記が増えていったとのこと。
前作『ウルトラQ』でも「電子計算機」や「電子頭脳」と紹介されていたものが、次作『ウルトラセブン』では「コンピューター」と呼ばれているのでまさに『ウルトラマン』放送時は過渡期だったんですね。同時期に放送された『マグマ大使』でもマグマ大使の思考回路は「電子頭脳」と呼ばれていました。
劇中で登場する科特隊のオフィスは、ランプやスイッチ、メーターが壁一面に並んでいて、カタカタと情報がプリントアウトされるようなシーンもあった(気がする)ので、壁面パネルの向こうに電子計算機=コンピューターが組み込まれている感じでした(昭和はだいたいそんな演出でしたよね)。

パンチカードでデータを読み取って、どデカいプリンターで演算結果を印刷する・・・
なんてことをやってました。教室の名前も「電算室」だったなあ、そういえば
今となっては違和感しかないあの姿も、当時としては最先端のコンピューターの姿だと知ってはえ~💦となっています。この時代の最先端といえばIBMが開発し世界を席巻した「IBM System360シリーズ」。当時の写真を見るとメインフレームの様子は、まさに科特隊オフィスです。

マウスやタッチパネルでのモニター操作、音声操作など、この時代には想像もされていなかったか、あるいは想像はしていても実現する技術はまだ無かったでしょうね。個人的には「電子頭脳」や「人工頭脳」という言葉のほうが「AI」なんかより未来の響きを感じます。
それにしても改めて第2話を見て感じるのは、当時の特撮技術の粋を尽くした幻想的な分身シーンの素晴らしさ。成田亮氏のクリーチャーデザインの美しさ、造形を担当した佐藤保氏の質感溢れる着ぐるみが、日本特撮を代表する宇宙人に命を吹き込んでいますよね。イデ隊員がさらっと第四の壁を越えてくる軽妙な脚本と相まって、『ウルトラマン』を代表するエピソードになっていると思います。
このシリーズは不定期で継続投稿する予定ですが「おもしろい!」「次の怪獣のイラストも見てみたい」と思っていただけたら「スキ」をいただけるとヤル気が湧きます。よろしくお願いします!