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【占い師が残した、たった一つの色眼鏡の言葉】色眼鏡-01

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    前回の苦い教訓を踏まえ、私はあらためてあの占いの館へと足を運んでいた。


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    前回の苦い教訓を踏まえ、私はあらためてあの占いの館へと足を運んでいた。 2度目ともなれば、もう躊躇はない。門から庭をつっきり、迷わず重い扉に手をかけようとしたその時、内側から低く響く声がした。 「しばしお待ちを……」
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    ギーと不気味な音を立てて開いた扉の向こうに立っていたのは、いかにも怪しげな老執事だった。 「お待ちしておりました。ご案内いたします」 物腰こそ柔らかく穏やかだが、どこか油断できない気配がある。


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    執事は案内を促すように背を向けて歩き出した。 その時、彼の背中越しに、ぼそりと小さな呟きが漏れ聞こえた。 「……今回は残念なことでございましたね」 ゾクっとした。アポなしで突撃したというのに、まさか前回の悲劇まで知っているというのか。私は言葉を呑み込み、黙ってその背中を追うしかなかった。


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    部屋の奥に鎮座する占い師は、私を見るなり、相変わらず意味深な笑みを浮かべていた。そして、私の挨拶さえ遮るように開口一番、こう言い放ったのだ。 「こないだはね、魚神様に通ずる『10年に1度の特別な日』だったのよ。本当に残念だったわねぇ」
    私は一瞬で言葉を失った。 友人のドタキャンのせいで、一人寂しく躍らせる羽目になり、結果としてなんとも微妙な釣果に終わったあの日のすべてが、やはり見透かされている……。


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    「面目ない……。実は、次はタイを狙いに行こうと思っているんですが……」 言い訳がましく次の作戦を切り出そうとした私を、彼女の鋭い視線がピシャリと制した。「次はね、自分で選ぶのよ」 占い師はテーブルの上に何枚かのカードを広げ、指先で促した。


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    緊張で生唾を飲み込みながら、私が神妙な面持ちで選んだ運命の1枚――。 そこに描かれていたのは、真っ赤なサングラスをかけた一対の骸骨が、両手を上げてファンキーに踊り狂っている絵だった。


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    ま、また踊るのか……!?絶句し、脳内で悪い妄想を膨らませる私に、占い師の落ち着いた声が降ってきた。
    「色眼鏡で見てはダメよ」 それが、今回の彼女からの訓示だった。 えっ? 一体どういうことだ? 偏光グラスを外して海を見ろということなのか? はたまた、釣りのタックルを邪念のない真っ白な気持ちで準備しろという意味なのか……。
    問い詰めようにも、占い師はそれ以上、貝のように口を閉ざして何も語ってはくれなかった。


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    「色眼鏡」 そのたった一つのキーワードが頭の中でぐるぐると不気味に回り続けるのを感じながら、私は車のエンジンをかけ、次なるタイ釣りに向けて帰路についた。


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