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リスナーインタビュー【97】男性/20代/放送作家志望の場合

    ※企画の詳細および質問内容はこちらを参照してください。
    ※これまでのインタビューはこちらをご確認ください。

    男性/20代/放送作家志望
    東京都在住
    リスナー歴13年

    ■私のラジオ歴

    祖母の仕事先で聴いた『ゴールデンラジオ』

     中学1年生ぐらいの頃の話なんですが、祖母が居酒屋の掃除をする仕事をしていて。ある時、「お昼をご馳走してあげるから来なよ」とそこに呼んでくれたんです。居酒屋に行ったら、お店に流れていたのが『大竹まこと ゴールデンラジオ』(文化放送)でした。僕にとってこれがちゃんとラジオに触れた最初の記憶です。

     とはいってもほとんど印象に残っていなくて、「スジャータのCMが長いなあ」と感じたことしか覚えていないです。家族や周りの友達がラジオを聴いていることもなく、話題に挙がらなかったですね。

     ただ、特撮が好きなので、それに関係するWEBラジオに触れたことはありました。『仮面ライダーW』の中で、物語の舞台である架空の都市・風都にあるFM局が出てきたんですけど、その番組が実際に存在するという体のWEBコンテンツがあったんです。それをちょっと聴いた記憶がありますが、あくまで特撮が好きだから触れていただけで、ラジオという感覚はあまりなかったですね。

    『バカリズムのオールナイトニッポン』からラジオにハマる

     自分からラジオを聴くようになったのはradikoの存在を知ったあとのこと。バカリズムさんが『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)の特番(2012年8月29日放送)をやると知って、聴いてみようかなと思ったのがきっかけでした。

     子供の頃からテレビで『おはスタ』(テレビ東京)や『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ)、ネタ番組の『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)を見ていて、そこからお笑い好きになっていました。

     たくさん芸人さんがいる中で、特にバカリズムさんが好きで。“思想感”と言えばいいでしょうか。ネタも面白いですし、この人はちょっと違うなと思って、小学生の頃からずっと好きだったんです。DVDは全部見ていますし、単独ライブにも通うぐらいなんです。

     単発の『バカリズムのオールナイトニッポン』がちゃんと聴いた初めての番組でしたが、だいぶ初歩的な話なんですけど、まず“ジングル”というものがよくわからなくて。番組が再開したのかと思ったらまだCMだったり、「CMって結構長いなあ……あっ、ここは短いんだ」と驚いたり、テレビとは細かいところが違うなと感じました。

     中身については細かく覚えていないんですが、テレビで見せるよりもバカリズムさんらしさが出た内容だったように思います。それからラジオにも興味が出てきて、『ナインティナインのオールナイトニッポン』を定期的に聴くようになりました。当時はお笑い好きとはいえそこまで詳しくなかったので、僕が知っているパーソナリティはナイナイさんぐらいだったんです。前から「面白いらしい」という噂は耳にしていました。

    ハガキ職人の存在を知って自分も投稿をスタート

     『ナインティナインのオールナイトニッポン』で初めて知ったのが“ハガキ職人”という存在です。「セルゲイブブカ」のコーナーで読まれていた短くてダジャレのようなネタやマニアックなネタを耳にして、正直中身はほとんど理解できなかったんですけど、何となく面白さは伝わってきて、ネタコーナーってこんな感じなんだなと。

     それで「自分にもできそうだな」「やってみたいな」と感じたんです。普段テレビを見ながら家族と喋っている時に、自分が何となく口にしていたこととちょっと似ていた内容のネタが読まれていたんですよ。たぶんそれで自分でもできるんじゃないかと感じたんでしょうね。

     それで、『バカリズムのオールナイトニッポン(GOLD)』がレギュラー化した時(2013年10月にスタート)に、自分も投稿するようになったんです。自分のメールアドレスも持っていましたし、投稿することにハードルはありませんでした。送ってみたら、わりとすぐに採用されて。それで勘違いしたといいますか(苦笑)。自分でもいけるんじゃないかとちょっと思っちゃいましたね。

     初めて読まれた時は「本当に届いているんだ」「本当に読まれるんだ」みたいな感覚でした。意外と冷静だったと思います。このことについては家族にも友達にもまったく話しませんでした。言ってしまえば自己顕示欲みたいなものなんでしょうけど、たくさんある中から選ばれた、選ばれた上にウケた、みたいなことが嬉しかったんだと思います。

     読まれた喜びも当然あったんですけど、当時はSNSも活発にやってなかったので、あくまで自分の中で満足するだけでした。それでもっと送ればもっと読まれるんじゃないかと考えるようになり、いろいろな番組を聴くようになりました。

     まずは『バカリズムのオールナイトニッポンGOLD』に集中的に送っていましたけど、その後、『オードリーのオールナイトニッポン』の「男の料理」にも投稿していましたね。『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』も聴いていましたけど、なかなか難しくて、送ったり送らなかったりという感じでした。

     芸人さんのラジオを聴いて、このコーナーに送りたいと思ったものにはいろいろ投稿していて。芸人さん以外でも『朝井リョウと加藤千恵のオールナイトニッポン0』には送っていましたね。ポッドキャストで『たまむすび』(TBSラジオ)を聴いたり、投稿しなくてもチェックしている番組もありました。この頃ぐらいからラジオ自体をどんどん好きになって、深夜帯に限定せず、幅広く聴くようになったと思います。

    ハガキ職人から作家になる道を知り、自分も志す

     高校時代後半になると、コンスタントにメールを読まれるようになっていましたけど、相変わらず周りには話さず、SNSもほとんどやっていなかったので、ずっと自分の中だけで楽しんでいました。

     高校時代、進路を考える段階でもう放送作家になりたいとは考えていました。存在として大きかったのはRN関口勇斗(チェ・ひろし)さんやRNトゥルーマン翔(高橋亘)さんですね。僕が学生として投稿していた頃、同じ番組にメールを送っていた人たちが作家になっていくのを見て、「ハガキ職人としてすごければ、作家になれるのかもしれない」と考えるようになったんです。今でこそ「作家としてラジオ業界に関わりたい」と具体的に思い描いているんですが、当初はハガキ職人の延長線上に作家があるようなイメージでした。

     ただ、ハガキ職人として名を売れるようなMVPレースがある番組は少なかったんです。『ナインティナインのオールナイトニッポン』はまだハガキ中心でしたし、『爆笑問題 カーボーイ』(TBSラジオ)は正直ネタがマニアックで、僕の世代には厳しくて、名を上げる手段が見つからなかったんですね。実は大学もラジオに関連する方向で考えていたんですが、いろいろあって挫折して……。今になって思うと考え方が甘かったのかもしれません。

     ちょくちょく採用はされていたんですけど、このままでは作家にはなれないのかもしれない。なので、フリーターを続けながら、とにかくハガキ職人として投稿に専念することになりました。

     ずっと作家のことが頭にありながら投稿をしていたんですが、大きかったのは特番として放送された『霜降り明星のオールナイトニッポン』(2019年1月3日)の「あるあるセンター試験」のコーナーです。学校がテーマのあるあるを募集して、ダメだったものを発表する企画だったんですけど、「これはすごそうだぞ。送ってみたい」と思って投稿して。この年の春にレギュラー化したあとも継続的に送るようになりました。番組ではMVPレースも始まったので、そこで名を上げられるかもしれないと考えたところもあります。『霜降り明星のオールナイトニッポン』にはずっと投稿していますね。

     今は放送作家になりたいという気持ちをアピールするようにしていて、ポッドキャストも始めました。もちろん『オールナイトニッポン』に携わるのが一番の目標ですが、とにかくラジオに関わりたいという気持ちが強いです。

     今聴いている番組は、芸人さん関連だと『川島明のねごと』(TBSラジオ)、『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』(ポッドキャスト)、『カラタチの最果てのセンセイ!』(ポッドキャスト)、『霜降り明星のオールナイトニッポン』。あとは昼のラジオも聴いていて、木曜日の『ラジオビバリー昼ズ』(ニッポン放送)や『ザ・ラジオショー』(ニッポン放送)。ほかにも、何にもない時は常にラジオをつけてなんとなく聴いています。特撮関連で言えば『東映公認 鈴村健一・神谷浩史の仮面ラジレンジャー』(文化放送)も聴いていますし、ポッドキャストも含めてかなり幅広くいろいろな番組に触れていると思います。トータルでいうと1週間で40~50時間は聴いていますね。

    ■自分が思うラジオの魅力

    本当の声が聴けるところ 投稿は「お笑いに携わる方法で一番ハードルが低い」

     月並みな考えかもしれないですが、“本当の声”が聴けるところだと思います。テレビだと分かりやすさを重視しますし、編集も入るじゃないですか。息づかいやテンションなども全部含めて伝わるのがラジオかなと思います。

     強いものにしないとYouTubeだとアルゴリズムに引っかからないとか、テレビだと視聴率やインターネットでのバズにつながらないとか、そういうところがあると思うんですけど、ラジオはその流れにとらわれていないというか。ラジオだとすごい地味だけど面白い話がタップリ聴けるんですよね。テレビのエピソードトークだったら数分で終わってしまうところを、ラジオだったらいろいろ寄り道して、同じ話でも30分ぐらいタップリ聴ける。そういうところがラジオの良さだと思います。

     投稿する部分でいうと、お笑いに携わる方法で一番ハードルが低いところが魅力だと思います。誰でもできるし、面白くなくても読まれないだけで自分にダメージがないじゃないですか。今は一般の人が大喜利することもありますが、それよりもさらにハードルが低くて、気楽に参加できるのがラジオ投稿の魅力だと思います。

    ■一番好きな(好きだった)番組

    バカリズムとアルコ&ピースの『オールナイトニッポン』

     好きだった番組を挙げるなら『バカリズムのオールナイトニッポンGOLD』と『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』ですね。

     他の芸人さんのエピソードトークだと実際にあったことを話す形が多いですけど、バカリズムさんはちょっと違うんですよね。もちろんあった話もあるんですけど、「今はこういうことを考えていて」ということだったり、バカリズムさんの脳内が見えるようなトークが多くて、それが面白かったんです。

     あとは、コーナー自体にも“バカリズムらしさ”みたいなものが出ていて。他の番組だと芸能のマニアックな話や昔のアイドルいじりみたいな形があるんですけど、バカリズムさんにはあまりそれがないんです。リスナーにもバカリズム的な笑いが求められるところがあって、実際にバカリズムさんの琴線に触れなかったから、今週は読むメールがないという回もありました。そういうところも魅力的でした。

     『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』に触れた時は「こんなラジオ聴いたことない」と感じました。今でもこんなラジオはないですし、たぶんこの先もないと思います。あの番組の生放送で読まれた時の快感は、冷静に受け止めている僕でも走り回ってガッツポーズするレベルでした。本当に特別感がありましたね。生放送でできることの楽しさが全部詰まってましたし、あの番組で「やっぱり生放送っていいな」と思ったところもありました。

    ■ラジオで人生が変わった(心が震えた)瞬間

    山里亮太さんが結婚についてリスナーに向けて喋ってくれた時

     感動したという話で言えば、『山里亮太の不毛な議論』(TBSラジオ)で山里さんが結婚を発表した時(2019年6月5日放送)です。

     『不毛な議論』は好きでよく聴いていたんですが、結婚を発表した回は剥き出しの山里さんが喋っているような感じがして。ああ、この人は本当にリスナーだけに向けて喋っているんだなって思いました。もちろん全部のラジオがたぶんそうだと思うんですけど、この時はより強く感じて。自分もモテない人生なんですけど、そういう部分をある種、背負ってくれていた山里さんが結婚して幸せになる葛藤みたいなことを全部喋ってくれているように感じて、聴いていて感動しましたね。

     自分を重ねていたというのはおこがましいんですが、山里さんは指標みたいなところがあったんです。ご本人もそれを客観視していて、「だから自分はリスナーのためにも幸せになっちゃいけない」みたいなことを言っていましたし、「それでも僕は幸せになります」ということをリスナーに対して素のまま喋ってくれていて、本当に感動したのと同時にすごく嬉しかったです。

    ■自分がパーソナリティになったら、番組のテーマ曲は何を使う?

    オープニングはフジロッ久(仮)の『おかしなふたり』、エンディングはLampの『明日になれば僕は』

     オープニングがフジロッ久(仮)の『おかしなふたり』です。とにかく明るくて、ずっと明るいまま終わるみたいな曲なんです。この曲を初めて聴いた時に、「自分が何かするなら、オープニングはこれにしよう」と思って。ずっとこれがいいなと考えていたので、迷わず選びました。

     エンディングがLampの『明日になれば僕は』です。『朝井リョウと加藤千恵のオールナイトニッポン0』の『赤黄色の金木犀』(フジファブリック)とか、『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』の『夢見るバンドワゴン』(andymori)とかを聴いて育ってきているので、エンディングはちょっと切ない曲を入れたいなって思ったんです。それで今好きな曲の中で切ない感じがする『明日になれば僕は』を選びました。

     『オールナイトニッポン』は好きなんですけど、「『BITTERSWEET SAMBA』に乗って喋りたい」という感覚はそんなにありません。憧れはするんですけど、やっぱり作家として関わりたいですね。

    ■私にとってラジオとは○○である

    私にとってラジオとは「生活」である。

     ラジオって朝から夜までずっと生放送していて、リスナーの生活に寄り添ってくれますし、僕にとってもラジオを聴くこと自体が生活に組み込まれているんです。これがなくなると結構しんどいなと思うんですね。

     最近、体調を崩し気味だったんですが、そういう時でもラジオを聴くとちょっと楽になる瞬間があって。これまでもそうやって助けられてきたところがあるし、生きていくのに欠かせない存在だなと思うんです。

     他のメディアとは違い、本当に暮らしや日々に密着したものだと自分では思っているので、「生活」という言葉が一番当てはまるように感じました。これで実際にラジオの作家になれたら、それは「生活」になるので、一番カッコいいんですけど(苦笑)。

    (取材/構成:村上謙三久)

     
     
    『ラジオの時間』編集部の公式noteです。ラジオに関するインタビューやコラムを随時公開。『芸人ラジオ』『声優ラジオの時間』『お笑いラジオの時間』などのラジオ本を制作。noteの運営はラジオ本の著書もある村上謙三久が担当しています。

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