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Photo byaya_ashiato

【連載小説】いろはにほへと vol.3 「お食事はいかが?」

    https://note.com/tibihime/n/n49b3e0d35639

    改めて桃に聞くと、今ここは平安時代の京都だということがわかった。



    わかったけど……納得いかない。さっきまで学校にいたのに、どうして……



    桃が気を使った様に、

    「姫様、お夕食をお持ちしますわね!」

    と言ってどこかへ行ってしまった。

    私は何の気なしに御簾から出て周りを見回してみた。

    すると、

    「姫様、人の目がございますから!!」

    と慌てて女官がやって来た。

    ただ周りを確かめたかっただけなのに、どうして?

    桃が慌てて戻って来た。

    「姫様、どうしたことでしょう?何か用事がありましたら、桃をお呼びください!」

    と怒られた。

    「どうしてそんなにこんなこと位で怒るの?」

    「そんなことどころではありません!人の目につきますゆえ。」

    「人の目にって、誰かに会うといけないみたいな言い方、どうして?なんで?」

    「姫様……礼儀作法もお忘れになっていらっしゃるのですね、お可哀想に……」

    桃は泣き顔だ。

    「わかった、わかったわよ。でも、桃がいないときはどうしたらいいの?さっきみたいな状況のときとかさ。」

    「それはお近くにいる女官を呼んでいただければ済むことです!」

    「女官……ねぇ。」

    「深窓の姫ぎみたるお方が人の目に触れることは許されません。それから殿方とも直接お話になってはいけません。」

    そういや、歴史の授業でちらっとそんなことも習ったような……

    「わかりましたねっ!姫様!」

    「はいっ!わかりました!」

    思わず返事してしまったけど、これからどうしたらいいのやら……


    食事の支度ができたと言い、桃が御簾を巻き上げて隣の部屋へと連れていってくれた。

    食事は質素なものだった。


    それでも、桃は

    「今日は珍しいものをいただきましたのよ!」

    とはしゃいでいる。

    「珍しいもの……?」

    「はい、なんでも醍醐という、外国から伝わってきた料理ですわ!」

    ほうほう、醍醐とな。

    どれどれ、味わってみようではないか。


    「……酸っぱい。」


    と、私は言い、顔をそむけた。

    「これは、こういう食べ物なんですわ!」

    他の食べ物も、味が薄すぎる……もっとしょっぱくできないの?

    「桃……塩、あるかな、塩……」

    「塩でございますか?あるにはございますが……」

    「このお皿に塩を三つまみほど持ってきてくれる?」

    「もしや、姫様、お口に召しませんでしたか?」

    はい。正直に、合いませんでした。

    「全体的に味が薄いよね。」

    と言った私に驚く桃。

    「お毒見した際にはその様には感じませんでしたが……」

    「そうなの?じゃあこれがこの世界の平均なのかな?私はもっとがっつり味が濃い方がいい……」

    すると、桃が、

    「次回からはお塩を多く使うように言ってまいりますわ。」

    と言ってくれた。

    ついでに塩も持って来てくれた。ありがとう!桃!きみは命の恩人だ!


    とりあえず食事を終えると眠くなってきた。そうだよね、今日はいろいろありすぎた……

    とりあえずお風呂に入りたい。

    桃を呼ぶと言った。

    「お風呂に入りたいんだけど……」

    「お風呂でございますか?今から準備させますと、一時かかると思われますが、よろしいですか?」

    「汗を流したいだけだから。」

    「まあ。それは湯殿でございますね。」

    「んあ?そうなの?」

    「湯殿でしたら、割りと直ぐにご用意できるかと。」

    「じゃあ、お願いね。」

    桃は側の女官を呼び、湯殿の準備を整えるように言った。

    「お風呂って、こっちの世界ではどんなものなの?」

    「そうですわね、蒸したり、薬湯であったり、ですわ。」

    「そっかぁ。色々違うんだなぁ。」

    桃は言いにくそうに聞いてきた。

    「先程から、こっちの世界、とおっしゃってますが、どういった意味合いでしょうか……?」

    そこで、私は初めて後世から来たことを桃に告げた。

    桃は大層驚いていたが、意外にすんなりと受け入れた。

    「では、今までの姫様とは別人、ということになるわけですわね。」

    「そういうことになるね。」

    「あの陰陽師、どこまでわかっているのか、わかりませんわね。」

    フフ、と桃は笑った。


    湯殿の準備が整った。

    私は全裸になると、湯をかけて綺麗にした。

    すると、桃が

    「失礼します。お背中を流しに参りました。」

    と言って湯殿へ入って来た。

    入って来るなり、

    「姫様!下着は着たまま湯あみなさってください!」

    と真っ赤になって言った。

    え?そういうもんなの?

    下着はって、あの浴衣のことだよね……。



    なんだか礼儀作法ってうるさいみたい。



    寝るときになって、あの痛かった枕を思い出した。

    桃を呼んでタオルがないか聞く。バカだった。あるわけがない。

    すると、桃が思い付いたように言った。

    「手拭いでしたら、たくさんお持ち出来ますわ。」

    あー、それそれ!さすが、有能な女官は一味違うね!!


    私は手拭いを何重にも巻いて、枕の代わりにして睡眠を取った。


    桜の咲く暖かい日の出来事だった。

     
     
     
    うつ病の頑張る頑張り屋さん。 メンタル系記事は体験・経験から。 イラスト・占いいたします。 JADP認定タロット占い師 Amazonアソシエイトに参加しています。 メンバーシップは占いと雑談・雑学など。 グッズ販売⏬⏬ https://redbears.theshop.jp/

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