
なぜ私はズームレンズを買わないのか
私は昔から、ズームレンズと少し距離を置いている。
別に、ズームレンズが嫌いなわけではない。
便利なことも、十分に知っている。
一眼レフを使っていた頃は、もちろんズームレンズも使っていたし、
妻のカメラにはズームレンズが付いていることが多いので、ここ10年近くまったく触っていない、というわけでもない。
それでも、自分でレンズを買うとなると、なぜか単焦点レンズを選んでしまう。
では、
なぜズームレンズを使わないのか。
改めて考えてみると、
本当にどうでもいい理由だ。
なんとなく、
単焦点レンズのほうが良さそうだから。
その焦点距離のためだけに設計されている。
だから、きっと写りも良いに違いない。
そんなふうに思っている。
もちろん、レンズに詳しい人なら、設計やレンズ構成など、もっと明確な理由を説明できるのだと思う。
でも、素人の私には、
単焦点レンズで撮った50mmと、
ズームレンズで撮った50mm。
その2枚を見せられて、違いに気づける自信がない。
たぶん、気づかない。
それなのに、私は単焦点を選ぶ。
結局、理屈というより、
「ひとつの焦点距離のために作られたもの」
ということに惹かれているのだと思う。
何でもできるものより、
ひとつのことに特化したもの。
そういう道具に、なぜか惹かれてしまう。
だから、OM-5を使うようになってからも、基本的には単焦点レンズを選んできた。
19mm。
30mm。
60mm。
レンズを変えれば、見えるものも変わる。
その都度、撮り方を考え直す。
それも写真の楽しさだと思っている。
ところが今、
私が気になっているレンズが少し面白い。
そのレンズは、補正撮影によって、
11mm。
14mm。
18mm。
と、3つの焦点距離を切り替えることができる。
ひとつのレンズで、違う画角を使い分けられる。
どう考えても、ズームレンズに近い。
でも、
これはズームレンズではない。
単焦点レンズでもない。
なんとも中途半端な立ち位置だ。
私はズームレンズが便利なことは、昔から知っている。
一本でいろいろな画角を使える。
レンズを交換する必要もない。
その便利さを知らないわけではない。
だからこそ、面白い。
私はこれまで、ズームレンズを避けながら、
レンズを交換する自由を楽しんできた。
それなのに今は、
一本のレンズで複数の焦点距離を使えるものに惹かれている。
ズームレンズの便利さに、少しずつ近づいている。
それでも私は、
「これはズームレンズではない」
と思っている。
たぶん、意地だ。
ここまで来ると、何と戦っているのか自分でもよく分からない。
でも、
ズームレンズに近づきながら、
最後までズームレンズとは認めたくない。
それが今の私なのだと思う。
もしかすると、
これが私のズームレンズに対する、
最後の抵抗なのかもしれない。
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