
昭和中期の手塚マンガに於ける還暦(60歳)の描き方に唖然とする件
月曜日は、キャリアについてのお話しを。
手塚治虫という漫画家は、皆さんよくよくご存知かと思います。
代表作品は、『ジャングル大帝』・『鉄腕アトム』・『リボンの騎士』・『火の鳥』・『どろろ』・『ブラック・ジャック』…と、枚挙に暇がありません。
日本を代表する、さらには日本の漫画の歴史を開いた漫画家でありながら、医師免許も保有しており、『ブラックジャック』等ではその専門的な知識がふんだんに盛り込まれています。
学歴としては、戦時の混乱の中で軍医速成のために臨時設けられた旧制医学専門学校を卒業していますが、後に大阪大学(旧・大阪帝国大学)がその附属医学専門部を吸収していますので、早い話が大阪大学医学部卒ということに間違いなく、大学だけで言えば私の大先輩にあたります(苦笑)。
昨今の有名人で医学部といえば、
2019年ラグビーWPの日本代表であった福岡堅樹氏(29歳)が、ラグビーの練習と受験勉強を両立させて順天堂大学の医学部に合格し、医師を目指しています。
或いは、子役でデビューして順調に成長してきた芦田愛菜さん(17歳)が、女優業と学業を両立させながら有名大学の医学部進学を目指していると聞きます。
手塚治虫先生については、時代が違うとはいえ、『ジャングル大帝』や『鉄腕アトム』などの連載の執筆をしながら医師免許を取得しているというのですから、皆さん大したもんですね。
個人的には小学生の頃から手塚治虫師の大ファンで(ご多聞に漏れずBJですが…)、同師著作の『マンガの書き方』を購読して勉強したこともあります(笑)
今回、キャリアのお話しとして何が言いたいかというと…
手塚治虫が昭和の頃の作品中に描かれていた、『老人』の表情です。
まずは、1974年(昭和49年)頃の『ブラックジャック』に描かれた、つまり私が小学4年生頃にリアルタイムで読んでいた頃の『還暦=60歳のおふくろ』です。

病床に伏せっていたこともありますが、顔には深いシワが刻まれ、多くの歯を失っているようです。タイトルを見なければ、還暦には見えません!
(ンミャァでよ~というセリフは、尾張弁なのでしょうが…)
続いて、1977年(昭和52年)頃の『ブラックジャック』に登場する、こちらも還暦(60歳)祝いを楽しみにしている女性の姿です。


髪型や着物は時代と地方を考えればやむを得ないとしても、ほうれい線の入り方や立ち居振る舞いが、現在でいうと90歳レベルに見えてしまいます。
手塚治虫先生が人物を描く時に、何歳ならこんな感じというのをどう考えていたのか?
それが紐解けるような図もありました。
1970年(昭和45年)に出版された『やけっぱちのマリア』に描かれている『男の一生・女の一生』という図です。

医学部出身だけあって、人間の骨格というか各パーツの老化・加齢変化については学術的に理解されているはずです。
その知識を以ってして、この50歳以降の描き方…
まず男性について…
30歳で下腹が出てくる。これは人にもよりますが、まぁ、スポーツを辞めた多くの男性が30歳くらいから太り始めるかもしれません。
35歳で貫録が出る。疲れやすくなる。どうでしょう? 人によりますかね。
45歳でロマンスグレー。私自身が40歳で白髪が始まりましたので、否定はしません。
50歳で老眼。これは正解! ただし、『見えんのぉ』とは言いませんが。
55歳でフガフガ…。確かに私自身は歯周病で数本の歯を失っていますが、フガフガではない。
60歳で杖をついて腰が曲がっています。
というか、企業の定年が60歳から65歳になり、さらには70歳になろうとしている現在、杖をついてフガフガ言ってる人はいませんね…
一方、女性についても見てみましょうか…
15歳手前で『アンネ』。これ、使い捨て生理用品を日本で初めて発売したメーカー名を以って隠語にしています。会社自体がなくなったし、その言葉も今は使わない。
15歳過ぎで『ボインが云々』。これも昭和オヤジの言葉か…
25歳、『結婚しないとオールドミス』。あぁ、言っちゃった。セクハラ認定!
30歳でお母さんタイプ、40歳でうるさ型。大半がそうだった時代なのでしょうか。今は人によります。
45歳でヒステリー。これは50歳を中心とした前後約5年ずつの更年期障害を言っているのでしょうが、そうだとしたら、ここは年代としては現代とそうズレていない。ヒステリーという表現が適切かどうかは、別問題ですが…
50歳以降、老眼・腰曲がり・杖と、男性と同様に老いていく図です。
まず、この時代の日本人の大半が、農業従事者でしょうか。
紫外線は今よりも弱いとはいえ、毎日の日焼けで肌が老化する。
田植えや稲刈り作業で、腰が曲がる。
主食であるコメをメインに摂取し、植物性蛋白質やカルシウムはそれなりに摂っていても、ビタミンが不足している。
今でいう『美白』とは程遠い環境ではあります。
『人生100年時代』と言われる昨今ではありますが、病は気から、老いも気から…
確かに自分の身体でありながら加齢に抗えない部分はたくさんありますが、それはそれで無理せず上手に付き合いながら、気持ちは若く保ちたいものです。
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