
誰からも連絡が来なかった日
土曜日の夜、スマホの画面が一度も光らなかった。
マツコはベッドに転がって、天井を睨んだ。
「誰も連絡してこない。自分のこと、どうでもいいんでしょ、みんな。友達ってなんなの。こっちはちゃんとしてるのに、なんで誰も返してこないわけ。ほんと人間不信になりそう」
我慢できなくなって、友人のAに「最近どう?」と送った。Aから「元気だよ!マツコは?」と返ってきた。
「全然元気じゃない。仕事もクソだし、なんかもう全部嫌になってきた。誰も気にかけてくれないし、疲れた」と打った。
Aは「大変だね……」と返してきた。でもその後が続かなかった。
翌週も送った。同じような内容だった。Aの返信が来るまでの時間が、少しずつ長くなっていった。
1ヶ月後、Aから連絡が来ることはなくなった。マツコは「やっぱり自分には誰もいない」と思った。
Aが離れたのは、マツコのことが嫌いになったからじゃない。会うたびに重くなる気持ちを、もう持てなくなっただけだった。
やざわもその夜、誰からも連絡が来なかった。
「あ、今日は自分の時間か」
積んでいた本を2時間読んで、好きな音楽だけ流した。お風呂でゆっくりした。静かで、悪くない夜だった。
翌週、友人のBに「先週読んだ本がめちゃくちゃよかった」と送った。Bから「どんな本?」と返ってきて、そのまま話が弾んだ。「今度会って話したい!」という流れになった。
やざわが楽しそうにしているから、会いたくなる。ただそれだけだ。
孤独を嘆いた人間は、会うたびに孤独を配った。自分の時間を楽しんだ人間は、会うたびに豊かさを配った。
人が来るのは、いつも後者のそばだった。