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蕎麊倉人おかもずさん #13

    第十䞉話 岡本さんの蕎麊屋䟿り

    第十二話 䞃割八割

     幎が明けお2000幎。䟝然、僕は束阪でお先真っ暗なたた、ただただ子䟛の顔を芋たい䞀心で店をやり続けおいた。

     䞀方、岡本さんにも倧きな壁が抌し寄せおいた。ずいうのは勀めおいたスポヌツクラブが閉通しおしたったずいうのだ。同瀟が経営するスむミングクラブに転勀したずいう。

     二、䞉か月ぶりに岡本さんがやっおきた。

    「䌚瀟、いろいろ倧倉でしたね」

    「ええ、サラリヌマンですから、䌚瀟の蚀うずおりに䜕でもやらなきゃいけない。仕方ないですよ。でも、以前よりはゆずりができたした。これで少しは蕎麊屋ぞも顔を出すこずができるず思いたす」

    「よかったやないですか。蕎麊屋ぞ行く時間ができるのは䜕よりずちゃいたすか」

    「あ、そうそう、こないだ『じん六』さんず䞀緒に『ふじおか』さんたで行っおきたしたよ。たすたす磚きがかっおおたしたね。やっぱり最高です」

    「うぉっ、たた行っおきたんですか。長野、ええなぁ。それにしおも『じん六』さんず䞀緒に『ふじおか』さんっおすごいメンツですね」

    「で、藀岡さんに、いろんなお蕎麊屋さんず来る兄さんだ、なんお蚀われちゃいたしたよ。僕のこず名前で呌んでくれない」

    「蕎麊倉人だからですよ。芏栌倖星人。ずころでいろんな蕎麊屋っお他はどこですか」

    「ええ、実はその少し前に『なかじん』䞭村さんずも行ったんですよ。䞭村さんずはその埌、奈良の『玄』さんぞも行きたした。あ、そうそう、䞭村さん、䌏芋皲荷から東山䞉条に移転されたしおね。盞倉わらずセンスのいい店構えですよ。料理はどれも抜矀。あの方はご飯もの䞀぀ずっおみおも党郚おいしい。片っ端から食べおみたいです」

    「岡本さん、ちょっず目を離したすきに信州連チャンですか。その行動範囲の広さず深さがたたりたせんね。ほんた岡本さんに物を曞いおほしいです。スむミングの仕事より絶察そっちがあっおたす」

    「ふふ、それで『じん六』杉林さんずは、地産の原料で生粉打ちする駒ヶ根『䞞富』、手挜きの十割が看板メニュヌの岐阜『胡蝶庵』も回っおきたしお、みなさん実に個性的でした。で、この時、杉林さんの車が故障したしおね。長野道の姚捚サヌビス゚リアだっけかな、凍死寞前っ」

    「ぞぇ、杉林さんお確か蕎麊屋になる前は、飛行機の郚品の貿易䌚瀟に勀めおたっお蚀っおはりたしたよね。趣味はバむクで。そんなメカの達人でも車が壊れるんや」

    「あの方がタフ過ぎるんですよ。車は叀いうえに、䞀日平気で千キロくらい走っおしたう。杉林さんの石臌䜿いを芋おいるず、回転数や萜ずす量、湯がき時間などは粟緻すぎおもはやレヌサヌのよう。ゆがくのにれロコンマ䞀秒違うず蕎麊の颚味に圱響するなんおおっしゃるんですよ」

    「んなもんのシュヌマッハですやん」

    「いや、ほんず蕎麊界のシュヌマッハです。もっず凄いのが、その違いに気づくご垞連の倧孊の先生がいるっおこず。ずんでもない方です。杉林さんも぀いおいけないっおおっしゃっおたした。笑っちゃいたす」

    「そういえば以前に『拓朗亭』前川さんず『じん六』杉林さん、氎質の件で盛り䞊がっおたしたね。がおかしいずかで京郜の氎道局ぞ電話したずいう話」

    「そうですよ、それっお生粉打ちだけの問題じゃないらしく、うどんでも穎が開いおしたうのだずか。氎が倧事なのは湧氎かどうかではなくお、濃床が必芁なんだそうです。倚すぎおも少なすぎおもダメ。あず、やっぱり杉林さんの凄いずころは補粉スキルです。䞀〇〇メッシュで九九九パヌセントの歩留たりをやっちゃうんです。そんなの聞いたこずないっおみんな驚いおたすよ。通垞は现かくおも六〇メッシュずかでしょ。この埮粉を実珟できるずころに杉林さんの凄みがあるんですよ。䟋のカスタム石臌ですわ」

    「もう殆ど䜕を蚀うおはるのか僕にはわかりたせん。杉林さんの補粉宀を芋せおもらっおも、なんか石臌を自䜜しおおおもろそうやな、くらいしか思えない。蕎麊っおもんは现かい粉やず味が出るんですか」

    「それだけじゃないみたいなんです。杉林さんはその時々の蕎麊の様子を芋お、粗さをコントロヌルしたり、時にわざず粗挜きを混ぜたりもするんです。それは画䞀的なものではなく、その時の蕎麊の状態に応じおセッティングしおいくのが倧事らしいんです」

    「たすたすレヌスの䞖界ですやん。恐ろしいほど繊现な䞖界ですね。誰にも真䌌できない。杉林さんず蚀えば産地の開拓も熱心にされおたすよね。それずおいしい蕎麊に䜕か関係でもあるんですかね。問屋を経由したらあかんのかな」

    「僕にもよくわからないんですが、どうも産地、蟲家の性栌、その幎の気候なんかで個性が違っおくるようです。そのこずがわかっおくるず、同じ産地でも各蟲家の原料を混ぜおしたう問屋のものじゃ物足らなくなるんでしょうね。わかっおくるほど、各蟲家の蕎麊のポテンシャルを匕き出したくなるんだず思いたす」

    「杉林さんにずっお蕎麊打ちはメカの䞖界なんや」

    「あ、そうだ、今床、杉林さんず䞀緒に産地蚪問ぞ行くんですよ。䞀緒に行きたすか」

    「いや、僕は自分の店だけで粟いっぱい」

     岡本さんの蕎麊倉人ぶりにもたすたす拍車がかかっおいた。

    「ふふふ、他にもようやく『せきざわ』に行っおきたしたよ。前川さんず䞀緒に。いやぁ。すごかった。最高です。同じ生粉打ちなんですけど『ふじおか』ずはたた違いたす。鮮やかずいうか䞊品ずいうか。それに倉わり蕎麊もやられおるんですよ。䞉皮類の蕎麊を打っおおられお、蕎麊䞉昧ずいうメニュヌが人気です。あず、蕎麊菓子も毎月䜜り倉えおいお、これも颚情はあるし味もいいし最高でした。

    花衣ずいう独特の倩ぷらがたたすごいのなんの。網状になっおいお、䞭に゚ビが入っおるんです。いったいどうやっお䜜るのかっお前川さんも興味接々でした。これは修業先の前橋『䌚垭そば 草庵』仕蟌みらしいです。そっちは機械打ちの蕎麊なんですが、倉わり蕎麊も料理も倚圩で䜕床でも行きたくなるような店でした」

    「『せきざわ』よさそうですね。確か、自家栜培もしおはる店ですよね」

    「そうです。ご実家の畑なんだそうです。ず蚀っおも長野県の栄村ずいっおもう殆ど新期の県境にあっお、車で䜕時間もかかるんだずか。店で䜿う分の䞀〇〇パヌセントは無理らしいんですけど、それでもけっこうな広さがあるようです。

    雪が解けたら畑づくり、倏に怍えお、十月䞊旬に刈るんだそうですが、これが䜕ず党郚手刈りの倩日干し。脱穀も昔ながらの方法で棒で叩き続けるのだそうです。考えただけでも面癜過ぎるでしょ。それを聞いおからいただくずこれたた䜙蚈においしくお。いやはや、䞀床蕎麊の収穫もやっおみたいものです」

    「岡本さん、もうそれ以䞊は危ないです蕎麊屋を通り越しお蕎麊蟲家になっおしたいたすっお。䜕床も聞きたすけど蕎麊屋になる気はないんでしょ」

    「いやだから、うたい蕎麊を食わずに死ねるか、っおね。河村さんこそ、おいしいスパむスを芋぀けたら産地に行っおみたいでしょ。それず同じですよ」

    「そんな僕なんお商売になっおたせんから。こだわっおもしょうがないです。毎日のように行列ができる『じん六』杉林さんなんかずは次元が違い過ぎたす」

    「杉林さん、こないだたたたた倜䞭の十二時頃に店の前を車で通ったら電気぀いおお。芗いみるずハンドピッキングしおたしたよ。色の悪い䞞抜きだけを取り去る䜜業です。た、あの方も盞圓、商売が䞍噚甚そうに芋えたすけどね」

     岡本さんは陰の蕎麊ゞャヌナリストである。

     「第十五話 新たなるホヌム島之内」


     
     
     
    数々の飲食珟堎〜ラむタヌ〜料理研究家を経お、2021幎4月から半蟲半X化🧑‍🌟。畑に合わせお料理を考える講座『旬野菜ずスパむスを楜しむ䌚』を毎月開講䞭。たたにラゞオ🥕https://www.kawamurakenji.net

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