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現役鉄道員プレゼンツ 絶対に外さない旅行プラン_夏の山形2泊3日 山寺・銀山温泉・蔵王と「だし」の旅

この旅のポイント

1015段の石段、大正ロマンの温泉街、エメラルドグリーンの火口湖——そしてご飯が止まらない「だし」。夏の山形は、全部が本物だ。

山形は「冬の樹氷」「芋煮」「さくらんぼ」というイメージを持つ人が多い。でも夏の山形には、夏でなければ見られないものが揃っている。

蔵王の御釜(おかま)は雪がなくなる夏が一番近づける。銀山温泉の木造旅館は夏の緑の中でひときわ映える。山寺は松尾芭蕉が「閑さや岩にしみ入る蝉の声」と詠んだように、蝉が鳴く夏が本来の姿だ。そして「だし」は山形の夏にしか生まれない郷土料理だ——夏野菜が旬だから、農繁期の忙しさがあるから、暑さで食欲が落ちるから。夏でなければ作られない、夏の食卓の救世主。

この2泊3日は、夏の山形の「全部が本物」を一度に体験するために組んだ。


アクセス——山形新幹線つばさで直行

東京→山形:山形新幹線つばさで約2時間40分。

現役鉄道員からひとこと

山形新幹線は「ミニ新幹線」と呼ばれる方式で、新幹線の線路から在来線(奥羽本線)の線路に乗り入れる珍しい列車だ。福島駅でスイッチバックし(箱根登山鉄道のブログで書いた「進行方向が変わる」あの体験が新幹線でも起きる)、在来線区間に入ると車窓がぐっと山形らしくなる。普通の新幹線では味わえない「切り替わりの瞬間」を、ぜひ体感してほしい。

山形新幹線・E8系

「だし」について——まずこれを知ってから山形に行く

山形のだし

この旅の軸のひとつが、山形の郷土料理「だし」だ。

「だし」という名前を聞くと料理の出汁を想像するが、全く別物だ。

夏の山形県の定番料理で、きゅうり・なすなど水分を多く含む夏野菜と青じそ・みょうがなどの香味野菜を刻んで和え、味付けしたものだ。山々に囲まれ夏は高温多湿で非常に暑さが厳しい村山地域を中心に食べられてきたといわれており、農繁期のスピード料理としても親しまれてきた。

「だし」という名前の由来には諸説あり、出汁のようにほかの食材を引き立てることから「だし」となった説や、包丁で野菜を細かく切り"出す"ことから「だし」となった説、また野菜を刻んで味付けしただけで手早く食卓に"出す"ことからという説などがある。

そして最も好きな言葉がこれだ。
「だし」のレシピは"100軒の家があれば100種類の味"があるといわれており、非常に多彩なのが面白いところだ。

ご飯にかけてもよし、冷ややっこにのせてもよし、そうめんにかけてもよし。山形の食堂や旅館の朝食に「だし」が出てきたら、迷わずご飯に山盛りのせて食べてほしい。ご飯が止まらなくなる。これが夏の山形の朝食の正解だ。


1日目——山形市内・山寺

①午前:山形駅着・まず「だし」を食べる

山形駅に着いたら、まず昼食前に市内の食堂か道の駅で「だし」を探そう。

山形市内のスーパーでも「だし」は袋入りで売られており、旅先なのにスーパーで食材を買うという行動が、この旅においては「正解」だ。夕食や朝食で宿に出てきたなら、それはラッキーな体験になる。


②午後:山寺(立石寺)——1015段を登る

山形駅から仙山線で山寺駅へ(約20分)。

山形県を代表する観光名所「山寺(立石寺)」は、松尾芭蕉が「閑さや岩にしみ入る蝉の声」と詠んだことで知られる風情ある古刹だ。1,015段の石段を登った先には断崖絶壁に建つ五大堂や開山堂があり、眼下には山形盆地の雄大な景色が広がる。

石段は登ることにより煩悩が消滅すると言われている修行の石段だ。

1015段と聞くと「大変そう」と思うが、石段は整備されており、小さな子どもでも登れるペースで歩ける。登りにかかる時間は40分〜1時間程度。むしろ登りながら「あと何段あるんだろう」と思い続ける感覚と、山頂の五大堂から見下ろす山形盆地の景色の落差が、山寺の醍醐味だ。

宝珠山立石寺

松尾芭蕉が「蝉の声」を詠んだのは夏だった。石段を登りながら降り注ぐ蝉の声を聞くと、俳句の感覚が体で理解できる気がする。

見どころポイント

  • 根本中堂:国内最古のブナ材木造建築・重要文化財

  • 仁王門:2体の仁王像がにらみをきかせる

  • 開山堂・納経堂:巨大な岩の上に建つ赤い堂が山寺を象徴する景色

  • 五大堂:断崖に突き出した展望台・山寺随一の絶景スポット

下山後のグルメ
山寺名物の「山寺力こんにゃく」や「さくらんぼソフトクリーム」「だしそば」が参道に並ぶ。
「だしそば」は山形の「だし」を蕎麦にかけた一品で、山寺ならではの組み合わせだ。

1日目の宿:山形市内または蔵王温泉


2日目——蔵王の御釜と蔵王温泉

①午前:蔵王エコーライン——御釜へ

山形市内または蔵王温泉からバスまたはレンタカーで蔵王へ。夏の蔵王の目玉は「御釜(おかま)」だ。

蔵王の御釜は五色沼とも呼ばれる火口湖で、蔵王の神秘的な「御釜」は、その神秘的なエメラルドグリーンの水面が幻想的な美しさを放つ。標高約1,700mにあり、天候と光の加減によって湖面の色が刻々と変化するため「五色沼」の名がある。冬は雪で近づけないが、夏は遊歩道を歩いて間近まで行ける。

蔵王エコーラインは山岳ドライブルートとして有名で、高山植物が咲き乱れる夏の蔵王は「空に一番近い花畑」とも呼ばれる。バスを使う場合は山交バスの蔵王ライナーが運行期間に確認が必要なので事前に調べておこう。

蔵王のお釜

ひとこと
御釜は天候が急変しやすい場所だ。山の天気は平地とは全く違う。下から晴れていても、山頂に着いたら霧で何も見えないということが多い。見られたらラッキーという気持ちで行き、見えたときの感動を最大化しよう。


②午後・夜:蔵王温泉

蔵王温泉は全国的にも珍しい強酸性の硫黄泉で、pH値が1〜2という酸性度は漂白剤に近いレベルだ。

肌への刺激が強いが、その分「効いている」感が抜群で、湯上がりの肌がつるつるになる。白濁した湯が印象的で、入った後には薄く硫黄の香りが残る——これが蔵王温泉を「温泉に入った」と実感させてくれる。

共同浴場「下湯」「上湯」「川原湯」の3か所は大人200円で入浴でき、温泉地ならではの地元の雰囲気を感じられる。宿の大浴場も素晴らしいが、共同浴場のはしごも蔵王の楽しみ方のひとつだ。

2日目の宿:蔵王温泉の旅館


3日目——銀山温泉・帰路

最終日は山形観光の中でも最も「絵になる場所」、銀山温泉へ。

①午前:銀山温泉——大正ロマンの温泉街を歩く

蔵王から山形駅へ戻り、山形新幹線で大石田駅へ(約30分)。大石田駅から路線バスで銀山温泉へ(約40分)。

バスの本数が少ないので(1〜2時間に1本程度)、必ず事前に時刻表を確認してから乗ること。

銀山温泉は銀山川沿いに大正〜昭和初期に建てられた木造多層の旅館が並ぶ温泉街で、温泉街の入口にある銀山川沿いの足湯は無料で利用でき、各旅館と同じ源泉を使用しており、風情ある街並みを眺めながら散策の疲れを癒せる。ガス灯が灯る夜の雰囲気も格別だ。

銀山温泉

夏の緑と木造建築の組み合わせが美しく、川のせせらぎを聞きながら石畳を歩くだけで写真が自然と映える。温泉街の奥には落差約22mの「白銀の滝」があり、轟音とともに水しぶきが舞い上がる様子は迫力満点だ。

日帰り入浴
銀山温泉は宿泊がメインだが、日帰り入浴に対応している施設もある(要事前確認)。


②昼:山形牛と板そば

銀山温泉から大石田駅に戻り、昼食は山形の食文化で締めくくろう。

山形牛は艶やかな霜降りが特徴で、山形の農家が大切に育てた和牛だ。山形市内の焼肉店や洋食店で山形牛のステーキや山形牛すき焼きを。また「板そば」は山形の蕎麦文化を代表する一品で、大きな木の板に盛られた蕎麦をつゆにつけて食べるスタイルが山形らしい。


③午後:帰路

大石田から山形新幹線で東京へ。帰りのつばさの車内で、お土産の「だし」を開けてご飯にかけたらそれが最後の「山形の味」になる——なんてことはできないが、持ち帰った「だし」を家で食べながら山形を思い出してほしい。


スケジュール早見表


旅のポイント4つ

① 「だし」は朝食に宿で出てくることが多い
蔵王温泉の旅館の朝食には高い確率でだしが出てくる。白いご飯にたっぷりのせて、まずここで「山形の夏の朝」を体験しよう。市内の食堂でも頼める店がある。

② 御釜は天候次第——早朝に動く
御釜は午後になるにつれ雲がかかりやすい。見るなら午前中の早い時間が勝率が高い。朝8〜9時台に向かうのがベスト。

③ 山寺は夏の蝉の声の中で登る
松尾芭蕉が閑さや岩にしみ入る蝉の声と詠んだように、蝉の声が鳴り響く夏の山寺が本来の姿だ。秋や春とはまた違う、夏だけの山寺の空気がある。

④ 銀山温泉は往復バスの時刻を要確認
大石田駅から銀山温泉のバスは1〜2時間に1本。帰りのバスを逃すと次まで長く待つことになる。事前に往復の時刻を調べてから動こう。


現役鉄道員からの総評

山形は「食べるものが全部美味しい」県だと思っている。だし・板そば・山形牛・さくらんぼ・玉こんにゃく——どれも「山形でしか食べられない本物の味」がある。

そして夏の山形は、その食の豊かさが最高潮になる季節だ。旬の夏野菜をざく切りにして醤油で和えただけの「だし」が、白いご飯の上でこれほど完成した料理になる——それを実感できるのは、夏の山形に来た人間だけの特権だ。

山寺の石段を汗かきながら登り、蔵王の御釜のエメラルドグリーンに息を飲み、銀山温泉の木造旅館の前でしばらく立ち尽くす——この旅は「夏の山形」を体で覚える旅だ。

※料金・時刻・運行期間はすべて目安です。最新情報は各施設・JR東日本公式サイト・山交バス公式サイトでご確認ください。


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