利尻山 ー 見えない僕の街角日記
出張からの帰り道、福岡空港で地下鉄に乗ろうとしたとき、一人の女性が助けてくれた。
「大丈夫ですか?」
「地下鉄に乗りたいです。」
そんなやり取りをして、彼女と一緒に地下鉄に乗り込んだ。
「どちらからですか?」と尋ねると、
「利尻島で登山をした帰りです。」という答えが返ってきた。
予想外の地名に思わず驚いた。
利尻島は、北海道最北端の稚内から西方沖にある島で、利尻昆布でも有名だ。
「それはすごいですね!」
「一日で1500mを登って降りるんですけど、思った以上に大変でした。こっちで練習していた山とは全然違いました。」
「それはハードですね。」
「はい、だいぶ疲れました。」
そう話す彼女の様子は、むしろエネルギーに満ちているように感じられた。
「日本百名山の一つらしいです。シェアハウスのような場所に泊まったんですが、登山から帰ってきてお互いの感想を話した時間も楽しかったです。」
そのほかにも、きれいな空気、ひんやりとした気温、吹き付ける風、山頂からの景色などを教えてくれた。
登山と移動の疲れは確かにあるのだろうが、それを上回る充実感が伝わってきた。
彼女と話しているだけなのに、まるでパワースポットの樹木に触れているような感覚だった。